コラム
» 2010年03月05日 20時38分 UPDATE

海外ケータイとプリペイドSIMを日本で購入する:第1回 通信方式と周波数――購入前に確認しておきたい情報

海外に長期間滞在するのなら、国際ローミングよりも現地の端末とSIMカードを購入する方が安く済むことが多い。本コーナーでは、日本国内で海外ケータイやSIMカードを入手する方法を紹介する。第1回は準備編として、購入前に押えておくべき事項をまとめた。

[Kunihisa Takayama(K-MAX),ITmedia]

 3月は学生の春休みや卒業シーズンが重なり、旅行者が多い。思い切って海外に出かける人はもちろん、出張で渡航するビジネスマンもいるだろう。海外に滞在するのが短期間でも、ケータイは欠かせないツールだ。つい数年前まで、日本のケータイで国際ローミングに対応している機種は限られていたが、最近は3G(W-CDMAまたはCDMA2000)方式とGSM方式に対応した機種が増えており、普段使いのケータイを気軽に海外へ持ち出せるようになった。

 だが国際ローミングの通信料は高額であり、現地で何気なく使っていて、帰国後に高額な請求書が届いて驚いたという話はよく耳にする。これは発信時の通話料が高いだけではなく、海外では着信時にも課金されることが大きい。渡航回数が多い人や渡航期間が長い人は、日本のケータイをそのまま持ち出して使ってしまうと通信費は馬鹿にならない額になる。

 そこでお勧めしたいのが、現地の携帯電話回線を使用して通信費を抑える方法だ。海外で使用できるケータイを事前にレンタルできるサービスもあるが、日数が長くなったり複数渡航するような場合だと都度手続きが必要となり面倒だ。また、トータルの経費で見ると割高になる場合もある。渡航回数が多いほど、自分で現地の回線を調達して利用する方がコストを抑えられるだろう。

プリペイドSIMと端末を購入すれば料金がお得に

 海外では、日本で一般的な料金後払いのポストペイド契約だけではなく、料金先払いのプリペイド契約が普及している。プリペイドのSIMカードと料金チャージ用のリチャージカード(バウチャーと呼ぶ場合もある)を購入することで、外国人の旅行者でも現地の携帯電話回線を現地価格で利用できることが多い。この方法なら、安価に使える回線を入手できる。

 ただし日本の通信事業者が販売しているほとんどのケータイにはSIMロックがかかっているので、現地で使用できるプリペイドSIMカードをケータイに挿入しても使用できない。現地のSIMカードを使用するためには、SIMロックのかかっていない「SIMロックフリー」端末が必要になる。

photophoto NTTドコモの「HT-03A」(写真=左)とディズニー・モバイルの「DM001SH」(写真=右)。日本のケータイに他社のSIMカードを挿入すると、起動時に写真のようなメッセージが出て通信機能が使えない。機種によっては全機能が利用できないものもある。ディズニー・モバイル端末は、ソフトバンクモバイルのSIMカードも使用できなかった

 イー・モバイルの「EMONSTER(S11HT)」や「E.T.(H12HW)」、ウィルコムの「HYBRID W-ZERO3」など、日本国内でもSIMロックフリー端末は存在するが、海外の方が選択肢は多い。ケータイやSIMカードは渡航先でも購入できるが、現地語や英語が話せないと買い物をするのは難しく、不安も大きい。携帯電話とSIMカードは“日本国内で”調達する方が安心だろう。購入方法の詳細は次回説明する。

渡航先の通信方式と周波数を確認する

 海外で販売されているケータイを購入する際には、いくつかの注意点がある。まず、現地の通信方式や周波数に対応していないと、せっかく端末を購入しても利用できないので、使用するプリペイドSIMを提供している通信事業者の周波数に、端末が対応しているか必要があること。

 GSM方式の900MHz/1800MHzデュアルバンドにのみ対応した安価な機種もあるが、北米では利用できない。900/1800/1900MHzのトライバンド、850/900/1800/1900MHzのクワッドバンドに対応した機種なら、北米のGSMエリアでも利用できる。

 W-CDMA(UMTS)方式についても同様で、標準的な周波数帯である2100MHz帯には対応しているものの、以下の周波数帯のいずれかに対応していない端末も存在する。

  • 1900MHz帯と850MHz帯(北米AT&Tが使用)
  • 北米AWSバンドと呼ばれる1700/2100MHz帯(北米T-Mobile USAが使用)
  • 900MHz帯(欧州やアジア、オセアニア地域の一部で使用)

 W-CDMA方式でもトライバンド対応機やクワッドバンド対応機があるため、対応している周波数帯が多いモデルを購入しておいた方が、後々の使い回しを考えると便利だろう。ちなみに、北米AWSバンドは“1700MHz”帯と表記されていることが多いが、これは日本のイー・モバイルが使用している1700MHz(1.7GHz)帯とは異なる帯域を使用しているため、互換性はない。したがって、1700MHz帯対応と表記されている端末にイー・モバイルのSIMカードを挿入しても使用できない。

photophoto オンラインショップやメーカーサイトの製品ページには各端末の仕様が公開されており、どの周波数に対応しているかも分かる
photo Nokia製端末の製品ラベル。モデルナンバーの末尾が対応周波数を表している。写真の端末はアジア向けの製品(香港調達品)であるため、3Gの対応周波数は2100MHz/850MHzとなっている

 また、同じ端末でも国や地域によって対応周波数帯が異なる場合がある。例えばNokia端末の場合、モデルナンバーの後ろの番号によって対応周波数が異なり、W-CDMAの対応周波数は2100MHz/900MHz(ヨーロッパ向け)、2100MHz/850MHz(アジア向け)、850MHz/1900MHz(北米向け)の3種類がある。北米向けの機種を買うと、それ以外のW-CDMAエリアでは使用できないことがある。

 このように説明すると難しく感じるかもしれないが、要は対応する周波数が渡航先と合致していれば間違いはない。ショップで購入する場合、「○○○(渡航先)で使えるケータイを探している」と相談するのもいいだろう。

 なお、海外製のケータイで、日本の技術基準適合証明を受けていないものは、日本国内で電波を出すと(つまり電源を入れると)電波法違反になる場合があるので注意したい。技術基準適合証明を受けた端末には「技適マーク」がつけられている。詳細は総務省のWebサイト(外部リンク)を参照。

 続いて、日本語入力や日本語表示ができるか、またはそれが簡単に設定できるかも確認したい。海外ケータイはスマートフォンだけではなく一般的なケータイも含まれるため、後から日本語入力ソフトや日本語フォントをインストールできないものもある。日本語はいっさい使用しない、電話とSMSだけ利用できれば十分という人ならどれを選んでも問題ないだろうが、日本語でメールのやり取りをしたい、ブラウザで日本語のサイトをチェックしたいのなら、日本語対応ついても確認しておこう(こちらも詳細は次回以降で取り上げる)。

 以上のことを念頭に置いて、次回は実際の購入手続きを解説する。

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