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» 2010年04月02日 19時10分 UPDATE

より高精細、高輝度に――シャープがタッチパネル対応3D液晶を発表

シャープがモバイル機器向けに新開発した、タッチパネル対応の3D液晶を発表。左右の目に異なる光を届ける「視差バリア」を採用し、2Dと3D表示を切り替えられるのが特長だ。同社がこれまで開発した3D液晶から進化したポイントとは――。

[田中聡,ITmedia]

 シャープがケータイやデジタルカメラ、ゲーム機などのモバイル機器向けに、2D/3Dの切り替えが可能な液晶を発表。新たな3D液晶は、光の進行方向を制御することで左右の目に異なる光を届ける「視差バリア」を採用し、タッチパネルにも対応している。2010年度上期からからタッチパネルなしの液晶を順次量産し、2010年度下期にタッチパネル非対応の液晶、2010年度中にタッチパネル対応の液晶の搭載端末を出荷する見通し。

photophoto 3D液晶や静電式、マルチタッチ対応のタッチパネルを使った操作も可能

 3D液晶を新開発した背景は、コンテンツの3D化がモバイル市場にも広がりつつあることが深く関わっている。シャープ 常務執行役員 液晶事業統轄 液晶事業本部長の長谷川祥典氏は「コンテンツやインフラは、2Dの世界でも映画から家庭、携帯端末へ広がっている。同じような流れが3Dの世界でも起こる」とみる。

photophotophoto シャープ 常務執行役員 液晶事業統轄 兼 液晶事業本部長 長谷川祥典氏(写真=左)。コンテンツやインフラは、映画→家庭→携帯電話へと発展していく(写真=中)。シャープはこれまでもケータイやPCに3D液晶を採用してきた(写真=右)

 同社はこれまでも、3D液晶を搭載したケータイやPCを発売したが、「決して成功したわけではなかった」と長谷川氏は振り返る。その主な要因として (1)ディスプレイの輝度と解像度が低いこと (2)モジュールが厚くなること (3)横向きの表示しかできないこと などが挙げられた。そこで新型の3D液晶では (1)表示品質の改善 (2)画像の二重映りの低減 (3)薄型化しやすいタッチパネルの採用 に注力した。

 表示品質は、液晶技術の「CGシリコン」を進化させることで、解像度と輝度の向上に成功。画面サイズと解像度は2.4インチQVGA(240×320ピクセル)から3.4インチフルワイドVGA(480×854ピクセル)に、輝度は250cd/平方メートルから500cd/平方メートルに進化した。タッチパネル一体型の3D液晶スイッチパネルを開発することで、タッチパネルと同等の厚さを実現したことも大きな改善点だ。なお、説明員によると、ワイドVGA(480×800ピクセル)サイズの液晶を採用しているスマートフォンが多いことから、ワイドVGA向けの3D液晶も開発するという。

 3D映像を見られる最適な距離は約30センチメートル。3D液晶に用いるタッチパネルは静電容量式で、マルチタッチにも対応している。また、今回の液晶は縦画面と横画面の両方で2Dと3D表示の切り替えが可能になった。これまでは縦表示と横表示で異なる液晶パネルが必要だったが、ソフトウェアの処理を行うことで、1枚の3D液晶だけで縦横表示が可能になる。モーションセンサーを利用した縦横表示の切り替えもできる。

photophoto 新開発した3D液晶の特長(写真=左)。左右の目に異なる光を届ける「視差バリア」。今回の液晶では、2D表示の品質も保てるよう、2Dと3Dの表示を切り替えられるスイッチパネルを採用した(写真=右)。「モバイルの世界で3Dを普及させるためには、2Dの画像もきれいに見えないといけない。2Dがちゃんと見えてこそ3Dが生きる」(長谷川氏)
photophotophoto CGシリコン技術により、高解像度と高輝度を実現(写真=左)。画像の二重映りを低減し、より鮮明に表示できる(写真=中)。3D液晶とタッチパネルを一体化することで薄型化を実現(写真=右)

 今回の3D液晶は、シャープ製品のほか、他社向けの製品にも提供する予定。長谷川氏によると、すでに商談の引き合いが来ているとのことで、3〜5インチクラスで商品化される見通し。ケータイメーカーと話を進めていることは明かされたが、ゲームメーカーについては明言を避けた。また将来的には「PCなど10インチを超えるディスプレイや、大型のテレビにも3D液晶を採用したい」とのこと。

 シャープが2002年〜2003年にケータイ向けに提供した3D液晶では、ソフト処理によって、撮影した写真を3Dで表示することもできた。ただし今回の3D液晶はハードウェアとして実装しており、ソフト処理による3D化はできない。3D表示をするには、画像や映像などのコンテンツ自体が3Dに対応している必要があり、撮影した写真やワンセグの映像などの2Dコンテンツは3D化できない。

 長谷川氏は「モバイルの世界で3D液晶を定着させるためには、アプリケーションが重要。将来、Webコンテンツが広がってきたら、コンテンツプロバイダーと協力しながら広げてきたい」と話し、コンテンツの拡充にも積極的な姿勢を示した。

photophotophoto 3D対応のデコメールやゲームへの展開も期待される(写真=左)。2010年上半期から、タッチパネルを搭載しないタイプの液晶を量産する(写真=中)。シャープはモバイル機器へ続々と3D液晶を搭載していく構えだ(写真=右)
photophoto 会場ではタッチパネルを使った3D液晶のデモも実施。写真からは分からないが、30センチメートルの距離から3D映像を見られた
photophoto 縦表示の3D画像や3D映像のデモも行っていた
photophotophoto 2眼カメラを使った3D表示もデモも実施していたが、具体的な商品化については未定

 「これまで、シャープはカラー液晶でモバイル機器のマーケットを作ってきた。今回のタッチパネル液晶は、モバイル世界で“3D Ready”を実現できる画期的なモジュール。新しい3Dのマーケットを作っていきたい」と長谷川氏は意気込みを話す。今回発表された3D液晶は、新しいコンテンツやビジネスを創出する可能性を秘めている。2010年度にどのような形で登場するのか、注目したい。

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