富士通が5月20日、同社の2010年夏モデルと新CMの発表会を開催し、同社のケータイ開発における方向性や、NTTドコモ向けに投入する「F-06B」「F-07B」「F-08B」の狙いを説明した。
富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏は、富士通ケータイの2009年度の出荷台数は518万台に上り、前年比110%だったことを明かした。2009年度下半期は、2009年冬モデルや2010年3月に発売した“セパレートケータイ”「F-04B」が好調で、目標以上の数値を達成できたという。「富士通のシェアは、パナソニック モバイルの2位に続く僅差の3位。2010年度は今回の商品でスタートを切る。12月にはLTEサービスも始まり、富士通もLTEのデータ端末を提供する予定なので、しっかりと支援していきたい」と意気込みを話した。
富士通が考えるケータイのスタイルは、使い慣れたキーボード(物理キー)の操作性を損なわないことが前提となっている。その上で、カメラやビデオなどのAV機能、インターネット検索などを快適に使いこなせる形状を考案し、大画面やタッチパネル、縦横画面の自由な操作性を実現した。その結果生まれたのが、「折りたたみヨコモーション」「スライドヨコモーション」「セパレート」という3つのスタイルだ。これらは「折りたたみ」「スライド」という基本形を発展させたものだ。
さまざまなスタイルを提案する富士通の最新ケータイ、F-06B、F-07B、F-08Bはどんなコンセプトで開発されたのだろうか。富士通 執行役員常務の大谷信雄氏は、夏モデルが属する2つのシリーズのすみ分けをまずは説明。「PRIMEシリーズは、他社に絶対負けない最先端の技術を提供するとともに、人間にフィットしたスタイルを提案する。STYLEシリーズは充実したスペックを持ちながら、デザインも重視する」と説明した。
PRIMEシリーズのF-06Bは、2009年夏モデルの「F-09A」以来となるスライドヨコモーションを実現し、フルハイビジョン動画撮影や防水対応など、さらなる機能向上を果たした。また、同社が“サクサク操作タッチパネル”と呼ぶほどチューニングをしたタッチパネルは、「『F-01B』よりも感度が6倍向上している」(大谷氏)という。
STYLEシリーズのF-07Bは、「F906i」以来となる、折りたたみ型のヨコモーションを採用。「ヨコモーション端末は現在約250万人のユーザーが使っているが、そのうちの7割から、次もヨコモーションを使いたいという声をいただいている」(大谷氏)とのことで、ヨコモーションが根強い支持を集めていることを強調した。F906iの発売から2年が経ったこともあり、買い換えのタイミングを狙ってF-07Bを投入する考えだ。
高価格帯のF-06B、中価格帯のF-07Bに続き、低価格帯に属するのが、STYLEシリーズのF-08Bだ。「ekubo」の愛称を持つ同モデルは、背面パネルの窪みをなでると、イルミネーションが点灯するユニークな仕掛けを用意した。低価格ながら、IPX5/IPX7/IPX8等級の防水性能や、ワンセグ、おサイフケータイなどの基本機能はサポートしている。
また、富士通は同社のケータイを一言で表現できるよう“5秒アピール”を導入している。これは「店頭に多数の新機種が並ぶので、販売員が一言で説明できないと注目されないことと、開発者全員が共有することで、軸足がぶれないようにする狙いがある」(大谷氏)という。今回の新機種は、F-06Bが「ハイスペック防水×スライドヨコモーション」、F-07Bが「ワンプッシュ×スリムヨコモーション」、F-08Bが「充実シンプル防水ケータイ」というフレーズを用意した。
発表会では、夏モデル3機種に搭載した注目機能のデモンストレーションを実施した。
F-06BとF-08Bの防水性能はIPX5とIPX7だけでなく、水深1.5メートルでケータイを約30分間使用できるIPX8もサポートしているので、水中での撮影も可能になる。会場では、水槽にF-06Bを沈めて写真を撮影するデモが実施された。
F-06Bの新しいカメラ機能として、シャッターを押した前後に7枚の写真を撮り、まばたき、ブレ、笑顔度を総合的に判断してお勧めの1枚を提案をする「ベストショットセレクト」を採用した。
F-06Bは広辞苑のマルチメディア電子辞書を利用できるのも大きな特長。同梱のDVD-ROMを、PC経由でmicroSDにコピーすることで利用できる。辞書データは1.3〜1.4Gバイトで、すべての辞書を保存するには、microSDに2Gバイト以上の空き容量があることが推奨される。
この辞書は22辞書+6分野という容量の多さはもちろん、調べた言葉に関連する動画や音楽を辞書経由で閲覧できるのが、ほかの電子辞書にはないポイントだ。デモでは「阿波踊り」という単語を調べたところ、阿波踊りの説明ページから動画や音楽を確認できた。なお、広辞苑のマルチメディア電子辞書は、一般向けにもDVD-ROMが販売されており、価格は1万円ほどだが、同製品を同梱するF-06Bの価格は、これまでのPRIMEシリーズと同程度となる。
このほか、F-06B、F-07B、F-08Bには「メール自動返信」機能も搭載している。同機能では、指定した相手から電話着信やメール受信があると、あらかじめ設定した言葉で自動でメールを返信できる。会議や移動中、就寝中などケータイを利用できないシーンで設定しておくと便利だ。メッセージは3種類まで設定でき、1メッセージあたりは100文字まで作成できる。ただし着信相手によってメッセージを変えることはできない。
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