―― SA002は「Cyber-Shotケータイ S003」とともに、世界初の防水スライドケータイですが、どのあたりが一番難しかったのでしょうか?
郡氏 ディスプレイ側とキー側の部品をつなぐフレキシブルケーブルの防水が非常に難しかったです。折りたたみ端末の場合は、ディスプレイ側とキー側の入り口と出口をパッキンで押さえているのですが、SA002は薄型化のために防水テープを採用しています。これを使って組み立てるのも難しかったところです。
―― 防水テープとはどういうものですか? セロハンテープのような薄さなのでしょうか。
郡氏 セロハンテープ程度のものありますし、もっと厚いものもあります。SA002では「W65K」などで培ってきた防水技術を応用していますが、フレキの部分は新規で設計しています。単純にパッキンでも構成的には成り立ちますが、本体が厚くなってしまいます。SA002は薄型化がマストな条件だったので、テープを採用しました。
―― この手法はケータイでは一般的なのでしょうか。
郡氏 フレキのところにテープを使うのは見たことがないですね。SA002が初めてじゃないかと思います。
―― では、スライドケータイで防水が難しいのは、フレキ部分の防水が難しいから、ということですね。
郡氏 そうです。
―― これまでできなかった理由はあるのでしょうか。防水ケータイが出てからは、けっこう時間が経っているように思いますが、試行錯誤されてきたということでしょうか。
郡氏 要素技術としては、2008年ごろにはすでに固まっていましたが、一番の難点が「組み立てられない」ことでした。折りたたみとスライドでは組み立てる方法が違っていまして、防水テープを使った上での組み立ては苦戦したところです。通常、テープは置いただけでは何の機能も果たせず、ある程度の加重をかけることになります。スライドの場合は、ディスプレイ側を組み立ててからキー側を取り付ける形になっていますが、どのように加重をかけながら組み立てるのに時間がかかりました。
また、防水テープを使うと、組み立てが難しいのはもちろんですが、バラすことも難しくなります。修理をするときのことも考える必要があるので、気を遣いました。
―― カメラのスペックが、SA001から大幅にアップしていますね。
黒木氏 実際に8メガの解像度が必要かどうかはご意見があると思いますが、やはりきれいに撮るという部分では画素数が一番目立つところですし、ユーザーさんも気にされます。シーズンごとにカメラスペックの最低ラインがあると思っていて、今回は8メガはないとカメラとしての訴求はできないだろうと判断しました。
―― アルバム機能の「フォトブック」やフォトスタンド機能の「グラフィックスタンド」も新たに搭載していますね。
黒木氏 特にスマートフォンで、写真を指でスライドさせて見る機会が多くなっています。その流れで、ケータイで写真を快適に見たいという需要も増えてきているので、拡大・縮小をスムーズにして、ストレスなく写真を見るためには、アルバム機能の需要はあると思います。
―― 「オリジナルフォーカスマーク」というのは、どういうものですか?
黒木氏 センターAF時に、標準以外に「ハート」「ドロップス」「リラックマ」にフォーカスマークを設定できるというものです。例えばリラックマだと、フォーカスを合わせると星形が緑色になって、リラックマの口が開きます。フォーカスが外れると赤くなって、そのときにリラックマの表情が微妙に変わります。
―― 顔がちょっと動くんですね(笑)。
黒木氏 あまり表情がないキャラクターなので分かりにくいかもしれませんが、フォーカスが外れると、ちょっと悲しそうな顔になるんです。「ハート」は分かりやすいと思います。
―― 写される人には全然分からない機能ですね。
黒木氏 写す人がくすっと笑うという機能ですね(笑)。
―― ほかにSA001から進化したところは、どこでしょうか。
黒木氏 計3000種類のデコレーション絵文字とau絵文字をプリセットしています。絵文字はカテゴリーごとに表示され、簡単に選べますし、送受信したデコレーション絵文字は、残したいものだけを選んで保存できます。また、データフォルダの容量を、SA001の250Mバイトから700Mバイトに拡張しています。
―― スライド連携機能も踏襲していますか?
黒木氏 そうですね。メールを読んだ後、端末を開くだけで返信メール作成画面になる「メール返信機能」や、オープン通話/クローズ終話は踏襲しています。スライドを開くたびに待受画像がランダムに切り替わる「オープンシャッフル」もあります。
また、SA001でも好評だったディスプレイ面には、傷が付きにくい強化ガラスを採用し、油汚れをふき取りやすいクリアクリーンコートという特殊なコーティングを施しています。
―― アドレス帳の時短検索など、以前のSAモデルで採用されていた機能はほぼ復活しましたか?
黒木氏 細かい要望はいただいていますが、Kシリーズの機能も含めて、どのように搭載していくかは検討しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.