“双子”モデル「T-01B」「IS02」のUI、文字入力、タッチパネルを徹底検証「T-01B」「IS02」レビュー(前編)(2/2 ページ)

» 2010年08月30日 20時00分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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QWERTYキー+ATOKで実現した快適な日本語入力

photo 本体幅ほぼいっぱいに配置されたQWERTYキー。ストロークは短いが、タッチ感は適度に固く、両手親指打ちに適したタイプだ。

 T-01BとIS02のハードウェア面での大きな特徴はスライド式のQWERTYキーだ。底面積の約3分の2を占めるキーボードは12列×4段。SHIFT、TAB、ENTER、BS、DEL、CTRL、OK、文字などの独立キーや方向キーも備え、Windows Mobileの利用では重要な左右ソフトキーも備えている。無線LANのオン/オフやメール、ブラウザの起動などもFnキーとの併用で可能。

 キー配置はPCよりも変則的だが、ホームキーやOKキーが独立しており、CTRLキーとの併用でWindowsでお馴染みの各種ショートカット操作(コピー、ペーストなど)が可能。操作性に大きな不満はない。両手でホールドして親指で打つスタイルなので、手が小さい人でも無理なくタイピングできる。最上段のキーの上には十分なスペースがあるのも嬉しい。数字キー用にもう1段キーを配置するよりは、こちらの方が好ましいと思う。

 QWERTYキーを強力にアシストするのが「ATOK」だ。モバイル機器では当り前になった読み予測機能や次文節予測を備えるほか、複文節変換はPC並みだと感じた。複文節での変換はiPhoneも含めて今時のスマートフォンはどれも優秀と感じるが、T-01BとIS02では単文節変換時におかしな変換候補に表示されることは少なく、固有名詞も豊富だ。

 和英辞書機能を有効にすると日本語から英単語への変換もでき、こちらは厳密にはATOKの機能ではないが、PCと同様にCTRL-U、I、O、Pでローマ字かな入力のままカタカナ、英字変換も自在に行える。方向キーを使った文節の長さ変更も容易だ。候補表示も高速で、外付けキーボードを接続して高速に文字入力した場合でも、候補表示がもたつくことはほとんどなかった。

 カスタマイズ機能も強力で、縦画面と横画面ごとに候補表示行数を設定したり次文節予測を無効にしたりといったことが可能だ。つまり縦画面+タッチ操作では、操作回数を減らすために次文節予測をフル活用し、キーボード入力の横画面ではあえて次文節予測を使わないという使い方もできる。

photo 左上がIS02、左下がiPhone3GS(iOS4)、右がXperia。予測変換はリセット直後のもの。IS02は単漢字と固有名詞なども含めて予測候補は非常に豊富。iPhone3GSはほぼ有り得ない当て字の候補も並ぶ。Xperiaは読み予測が10キー入力を基本にしているために「わ」と同じキーに配置された「ー」を含む候補も並ぶ。少なくともQWERTYキーでの操作が前提ならIS02が一番真っ当な候補表示といえる
photo 縦、横画面別に設定できるカスタマイズ。「未入力時には候補表示しない」をチェックすると次文節予測が無効になる

 タッチ操作で利用する東芝独自のソフトウェアキーボード「T-Keyboard」も、T-01Aから改善されている。10キースタイルでは独自の2タッチ入力を継承しつつ、トグル式で面倒だったキーボードパネル切替が一覧からの選択式となったほか、方向キーが左右だけに絞られた代わりに、BSキーやENTERキーが大型化された。

photophotophoto 10キー入力はトグルに加えて独自の2タッチ入力をサポート(写真=左)。QWERTY入力では、タップしたキーがポップアップするので入力ミスを防げる(写真=中)。入力モードの切り替えは一覧からの選択式になり、T-01Aのトグル式よりは「ひらがな」「アルファベット」間の頻繁な切り替えなどは楽になった(写真=右)

 Windows Phone向けに公開されている「touchkeysip」と「gesture10キー」の組み合わせでフリック入力も可能で、T-01BとIS02向の静電容量式タッチパネル向けにカスタマイズされたファイルも公開されている。WindowsMobile 6.5.3ではソフトウェアキーボードのオプションが設定できなくなっているが、これも可能とするソフトがすでに公開されている。

タッチパネルが役立つUIを採用

 T-01BとIS02のOSであるWindowsMobile 6.5.3も静電容量式タッチパネルに対応している。WindowsMobile 6.5の段階でタッチ操作を意識したホーム画面(Windows標準)の追加、大きなアイコンを蜂の巣状に配置したメニュー、ポップアップメニューでの項目間の拡大、標準ブラウザのIEのUI変更などが導入されていたが、この時点では感圧式タッチパネルのみの対応で、スタイラスとの併用が前提となっていた。

 WindowsMobile 6.5.3では、アイコンのサイズや間隔の拡大、「OK」や閉じるボタンを画面下部のバー右端に配置するなど、画面レイアウトを変更。これらはアプリケーションにも適用され、静電容量式タッチパネル向けに大幅に改良された。画面最上段のステータスバーをタップするとネットワーク、音量、バッテリー、時計などステータスバーに関連するアイコンがポップアップし、設定画面を容易に呼び出せる。画面を1.5倍ほどにズームするルーペ機能もステータスバーにあり、タッチ操作が困難な古いアプリなどの操作時に役立つ。

photophotophoto Windows Mobile 5世代のソフトである「GSFinder+ for W-ZERO3」。メニューの項目間隔が十分に確保されているのが分る。画面に収まりきらない項目は上下にフリックすることでスクロールして表示できる。閉じるボタンは右下にある(写真=左)。ステータスバーをタップすると、各種設定アイコンが並ぶバーがポップアップし、設定画面などを呼び出せる(写真=中)。ズーム機能を使って設定画面を拡大。タッチ操作が難しい画面レイアウトでも、ある程度操作しやすくなる(写真=右)

 Windows PhoneはiPhoneのiOSやXperiaなどのAndroidにはない魅力を持つ。特にQWERTYキーの利用時にはWindowsの作法の多くをそのまま利用できたり、Bluetooth対応のキーボードやマウスが使えたりもするし、PCとの同期やファイル交換もBluetoothで可能だ。また初期状態では無効化されているが、GSFinderなどでSamba機能を有効にすると、無線LAN経由でダイレクトにPC上のファイルを共有できたりもする。Windows搭載PCと併用してデータを共有する、QWERTYキーを使ってPCライクに使うという視点で見れば、T-01BやIS02のようなWindows Mobile搭載端末に優位性があるのも事実だろう。

 今回はT-01BとIS02共通の使い勝手や機能に触れた。次回はこれら2機種の違いや、ほかのスマートフォンとの比較について触れていく予定だ。

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