タッチデバイス時代の“スペースキー”を目指した「ATOK Pad for iPhone」林信行が開発者に聞く(3/3 ページ)

» 2010年09月22日 16時00分 公開
[林信行,ITmedia]
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タッチ時代のスペースキーを生み出したい

標準のフリック入力以外に、まったく新しい入力方式としてリボルバータッチを用意したのも特徴だ。濁音や拗音も一連の操作でさっと入力できる

――今回、フリック入力のほかにもリボルバータッチやダブルトリガーなど、さまざまな入力方式を用意していますが、みなさんは普段、どれを使っているのですか?

齋藤 私自身はリボルバーとフリックの両方で入力ができますが両手を使ってリボルバー入力していることが多いかもしれません。

金森 私も両方で文字入力できるので、テスト機がリボルバーになっていればリボルバー、フリックの状態になっていればフリックで入力しています。

本田 私はBluetooth Keyboardを使ってテストをしていますが、それ以外のときはリボルバーです。

仁科 私はテストの時だけリボルバー入力していますが、後はフリック入力をしていますね。

――実際にどれが一番、速く入力できるのでしょう。

齋藤 フリック入力は、これまで2年間使い続けてきたこともあってやはり分があるのですが、濁点や半濁点、小文字がある文章を入力する場合は、リボルバータッチのほうがキーストロークも少なくなり有利です。熟練度が上がればリボルバーのほうが有利だと思っています。

本田 私もリボルバーが速いですね。

齋藤 リボルバータッチ入力は、フリック入力と異なり、入力する文字が親指の腹で隠れず、常に見えているので初心者にも分かりやすいと思います。親指をキーの上に置き、そこから親指の上に広がる入力したい文字の方向に指を滑らせます。実はこのほうが本来の英語の「フリック」という言葉にもイメージが近いんじゃないかなと思っています。

――文字入力方法が充実しているのはよいのですが、一方で、ユーザーを混乱させてしまう心配はないのでしょうか。

インプットメソッドとしての採用も「まだあきらめていない」と語る佐藤氏

佐藤 確かにiPhoneが標準で採用しているのがフリックなので、もしかしたらほとんどのユーザーはフリックしか使わないかもしれません。何かのおりにリボルバータッチを少し試して、それでおしまい、という形になってしまうのかもしれません。それでも、「こういう考え方もあるのか」と我々の提案に興味を持ってもらえればうれしいです。

齋藤 ジャストシステムは、かつてスペースを押してかな文字を漢字に変換する、というスタンダードを作り出しました。今回のATOK Pad for iPhoneは、まだまだ閉じた世界かもしれませんが、それに迫るようなタッチデバイス時代の新しいスタンダードを生み出すきっかけになればいいな、と思っています。

佐藤 我々もそうなるようにジャストシステムなりの考え方を示したつもりです。

――今回のiPhone向けATOK開発の経験を生かして、ほかに作ってみたいiPhone用アプリケーションはありますか?

齋藤 そうですね……ATOK Pad for iPhoneで作ったUIなどを生かして、タイピングのゲームは作りたいな、と思っています。1分で何文字入力できたかなどのランキングを表示する機能も盛り込めたら楽しいかもしれません。

――ユーザーどうしが競いながら、より速く快適な文字入力を追求させるきっかけにもなり、場合によってはリボルバータッチなど、ほかの入力方式に目を向かせることにもなりそうですね。ぜひ、実現させてください。

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