第5回 iWnn、ATOK、POBox Touch、Simeji――Androidの日本語入力システムを比較する最新ケータイ徹底比較(スマートフォン2010年冬モデル編)(2/2 ページ)

» 2011年03月10日 20時47分 公開
[田中聡,ITmedia]
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意外と差がある? テンキーの応用操作を試す

 テンキーを応用した操作についても見ていこう。

 「T9」や「ケータイShoin」は、「だかま」で「ドコモ」という具合に、母音が「あ」の文字だけを入力して変換できる「ワンタッチ変換」に対応していた。今回取り上げた日本語入力システムでは、いずれもワンタッチ変換は利用できない。フリック入力でカバーできるとはいえ、ワンタッチ変換の方が確実に入力できる感もあるので対応を望みたい。

 ケータイではおなじみの、かな入力から英数カナに変換できる操作は、iWnn、ATOK、OpenWnnフリック対応、POBox Touch 3.0いずれも対応しているが、Simejiは英字の変換はできない。数字を変換すると、「時」「分」「年」などの単位を連携する操作はSimeji以外、「1111」なら「1」キーを4回連打するなど、同じ数字をカーソル移動せずに入力する操作はOpenWnnフリック対応版以外で利用できる。ATOKとOpenWnnフリック対応版は、1度かなから変換した英数カナは、以降はかな1文字を入力するだけで予測しれくれるが、他は数字のみが同様の方法では予測されなかった。

photophotophotophoto 「あか」を押して「英数カナ」を選ぶと「12」と変換される(写真=左端)。数字を変換すると、単位が連携予測される(写真=左中)。1度変換した英字は、以降はかなを1文字入力するだけで変換候補に出る(写真=右中)。OpenWnnフリック対応版は、1度変換した数字も候補に出る(写真=右端)
photophoto 「→」ボタンを押した回数分で変換候補の文字数が決まる「ワイルドカード予測」(写真=左)。OpenWnnフリック対応版では、設定から「自動空白挿入」のチェックを外すと、英字を変換後にスペースが空かなくなる(写真=右)。

 1文字を入力後に、「→」ボタンを押した回数に応じて変換候補が変わる「ワイルドカード予測」は、iWnn対応機種とOpenWnnフリック対応版で利用できる。「あ」を入力後に「→」を4回押すと「ありがとう」が候補に表れるという具合で、文字数の多い単語ほど効率よく入力できるだろう。

 意外と対応機種が少ないのが、英字入力後に半角スペースが空く仕様をオフにできる設定。この中で対応しているのはATOK、POBox Touch 3.0、OpenWnnフリック対応版のみ。iWnnで自動スペースをオフにできる機種はこの中にはない。自動スペースをオフにすれば、ログイン画面でメールアドレスやアカウントなどを入力する際に、スペースが空くたびにクリアキーで削除する手間が省ける。

QWERTYキーボードの使い勝手は?

 POBox Touch 3.0ではQWERTYキーを快適に使えるよう豊富な工夫が施されている。その1つが「アシストキーボード」で、「A」「I」「U」「E」「O」の母音キーを大きく表示する「ワイド」、次に入力されるキーのみを表示する「ハイライト」、ワイドとハイライトを合わせた「ダイナミック」の3種類から設定できる。さらに、ローマ字入力で使う必要のない「Q」「L」「X」「C」「V」を非表示にして、他のキーをより大きくすることもできる。これなら「片手持ちで縦画面」という条件でも入力できそうだ。

photophotophotophoto 左から、POBox Touch 3.0のアシスト機能の「ワイド」「ハイライト」「ダイナミック」。POBox Touch設定の「表示キー選択」から、使用しないキーを非表示にできる(写真=右端)

 シャープ端末のiWnnにも、アシストキーボードに似た「ローマ字キーボード補助」という設定が用意されている。これをオンにすると、QWERTYキーで日本語入力をする際に、不要なキーがグレーアウトする。ただ、POBox Touch 3.0のように母音キーを大きくしたり、キー自体を非表示にするといった設定はない。

photo シャープ端末では、iWnnの設定で「ローマ字キーボード補助」にチェックを入れると、使わないキーがグレーアウトする

 QWERTYキーは「かな」「英字」「数字」の3パターンを切り替えて利用する機種がほとんどだが、ATOKだと数字と英字が1画面に表示されるので、パスワード入力などの際に、文字種を切り替える手間を省けて便利だ。Simejiでは、設定の「英語ソフトキーボード」を「拡張フルキーボード」にすると、数字と英字が1画面に表示される。

photophotophoto ATOKは数字とアルファベットが1画面に表示される(写真=左)。Simejiも英語ソフトキーボードを「拡張キーボード」にすると、QWERTYキーの上に数字が表れる(写真=右)
日本語入力システムの仕様(その2)
機種、日本語入力システム ワンタッチ変換 英数カナ変換 数字の単位を連携予測 変換した英数カナの予測変換 同じ数字をカーソル移動せずに変換 ワイルドカード予測 英字入力後の半角スペース空きオフ ローマ字キーボード補助
GALAXY S △(英カナのみ)
GALAXY Tab △(英カナのみ)
LYNX 3D SH-03C △(英カナのみ)
REGZA Phone T-01C
IS03 △(英カナのみ)
SIRIUS α IS06 △(英カナのみ)
DELL Streak 001DL △(英カナのみ)
HTC Desire HD 001HT △(英カナのみ)
GALAPAGOS 003SH △(英カナのみ)
Libero 003Z △(英カナのみ)
HTC Aria △(英カナのみ)
Pocket WiFi S △(英カナのみ)
Xperia SO-01B △(英カナのみ)
OpenWnnフリック対応版
Simeji △(カナ数のみ)


 こうして見ていくと、入力機能のすべての項目に対応した“万能な”日本語入力システムはないことが分かる(もちろん、今回取り上げた項目がすべての側面ではないが)。iWnn対応機を比べると、入力ミス補正や自動カーソル移動、ローマ字キーボード補助など、シャープ端末が他の機種よりも工夫が施されていると感じる。ATOKは、多彩なフリック・ジェスチャー入力や優れた英数カナ変換、数字+アルファベット付きQWERTYキーなど、iWnnとは違ったアプローチで工夫されている。また、QWERTYキーの使い勝手はPOBox Touch 3.0にも一日の長がある。POBox Touchのように、iWnnやATOKもバージョンアップでさらに使い勝手が向上することに期待したい。

※初出時に、ATOKは英字の予測変換ができないとの記述がありましたが、正しくはできます。お詫びして訂正いたします。(3/11 12:07)

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