Android3.0搭載のタブレット端末「MOTOROLA XOOM Wi-Fi」を試す(2/2 ページ)

» 2011年04月14日 09時00分 公開
[eBook USER特別取材班,ITmedia]
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Windowsのデスクトップに近いレイアウトのホーム画面

 OSは前出の通り、Android3.0を搭載している。Android3.0は開発コードで「Honeycom」と呼ばれてきたOSで、タブレット端末をターゲットに最適化が図られている。従来のAndroid2.xベースのタブレット端末、例えばGALAXY Tabなどの発展系というよりも、まるで別物と考えた方がよい。

 購入後に本体の電源を投入すると、Android端末ならではの初期設定のウィザードが始まるので、Googleアカウントなどを入力していく。この辺りは従来のAndroid2.x系の端末と同じだ。すでにGoogleアカウントにひもづけられたAndroid端末があれば、Googleアカウントが認証された時点で従来の端末にインストールされたアプリがまとめてコピーされ、そのままXOOMでも利用できるようになる。

 起動直後のホーム画面は、中央に幾つかのウィジェットが配置され、その下部にブラウザやメールなど、主要なアイコンが並ぶ形となっている(XOOMではアナログ時計のみだが、国内向けではさらに幾つかのウィジェットが並ぶ仕様となっている)。このホーム画面は左右にフリックすることで、5つの画面を切り替えて利用できる。各画面にはショートカットなどを自由に配置できるが、購入時点ではほぼ「素」の状態で、ユーザーが好みに合わせてカスタマイズできるようになっている。

ホーム画面 ホーム画面。中央にアナログ時計ウィジェット、その下に主要なアプリのアイコンが並ぶ。ちなみにこれは海外版の仕様であり、国内版では複数のウィジェットが初期段階で並ぶ
ホーム画面右上のアイコンをタップすると、アプリ一覧が表示される(写真=左)/ホーム画面は5つの画面をスワイプして切り替えることができる(写真=右)
5つのホーム画面には、ショートカットのほか、各種ウィジェットも配置可能

 画面の最下部にはタスクバーが設けられており、左端には戻る、ホーム、最近使ったアプリの3つのボタンが並び、右端には時刻表示、Wi-Fiの電波状況、電池残量表示などの通知領域となっている。これらのレイアウトだけ見ていると、Windowsのデスクトップに近い配置なのが面白いといえば面白い。

ホーム画面左下には戻る、ホーム、アプリ、最近使ったアプリの3つのボタンが並ぶ。これは最近使ったアプリを表示したところ(写真=左)/ホーム画面右下は通知領域。写真はアップデート可能なアプリが見つかった時の表示(写真=右)

 さらに画面の左上には検索窓をワンタッチで開けるGoogleロゴと、音声検索を行うためのマイクアイコンがある。右上には、アプリ一覧を表示するボタンと、デスクトップを切り替えるための「+」ボタンなどのサブメニューが用意されている。

ホーム画面左上のGoogleロゴをタップすると検索画面が開く(写真=左)/Googleロゴの隣にあるマイクアイコンをタップすると音声検索に切り替わる(写真=右)

 これら画面の上下に配置されたタスクバーやメニュー類は、デスクトップを切り替えても常時表示された状態にある。画面が小さなスマートフォンなどでは、こうしたタスクバー類は切り替え後に非表示となることも多いが、画面サイズの大きいタブレットということで、常に表示された状態となる。

タブレット端末に対する、Androidアプリの最適化を期待

 アプリについては、それがAndroidアプリである以上、いったん起動してしまえばOSの違いを強く意識するような挙動の違いはない。もっとも、XOOMはパフォーマンスが非常に高いため、Android2.x系上での動作と比べると、同じアプリと思えないほどスムーズに動く場合もある。特にスクロールなど高速な描画が必要となる操作でこの傾向は顕著だ。従来のAndroid端末ではiPadに比べて動きのカクカク感が目立っていたが、それがほぼ完全といっていいくらいに払しょくされているのは頼もしい。以下、動画で実際に確認してほしい。

 その一方で、タブレットではなくスマートフォンサイズに最適化されているアプリでは、まれに使い勝手に難がある場合がある。その最たるものが読書系のアプリで、本体を横向きにした際に見開き表示に対応していなかったり、単ページ表示のまま本体を横向きにするとページが横幅いっぱいまで拡大され、縦スクロールで読まなくてはいけなくなる場合がある。こうしたアプリ側の対応は、これからAndroid3.0が普及するまで、しばらく待たなくてはいけないだろう。

XOOMの画面はワイド比率なので、読書アプリを表示した場合は縦横の比率がややアンバランスになる。このほか現段階では、見開き表示に対応しないアプリも少なくない(写真=右)/ブラウザでeBook USERのトップページを表示したところ。特に奇をてらった表示や挙動はない。スクロールも高速だ(画像クリックで縦表示画面を表示します)
本体背面のスピーカーを用いて音楽を聴くこともできる。アルバムアートワークはWindowsのAeroに似たエフェクトが採用されている(写真=左)/地図。3D表示にも対応する(写真=右)

 さて、ここまでXOOMのパフォーマンスを称賛してきたが、念のため、ベンチマークも行ってみた。ベンチマークアプリ「Quadrant Professional」を使用したベンチマーク結果では、CPU、メモリ、I/O、3Dグラフィックそれぞれで高い値を示しており、総合スコアは1890と、GALAXY Tabのおよそ2倍近くとなっている。これまで高パフォーマンスといわれていたNexus Oneですらスコアは1300台なので、XOOMのパフォーマンスの高さが分かる。唯一、2Dのグラフィック性能がやや弱いのが気になる程度だ。

ベンチマークアプリ「Quadrant Professional」によるベンチマーク結果。XOOM(最上段)のスコアは1890で、CPU、メモリ、I/O、3Dグラフィックそれぞれで高い値を示している(写真=左)/Android 2.2を搭載した「GALAXY Tab」のベンチマーク結果。上から5段目がGALAXY Tab。総合スコアは990と、XOOMのほぼ半分(写真=右)

今後のスタンダードとなるタブレット端末

 以上ざっと試用してみたが、体感速度的にはiPadと非常に近く、ストレスのない操作が行えることには感心した。ここでは十分にチェックできなかったが、バッテリーの持ちも良好で、iPadほどではないものの頻繁な充電は必要なく利用できる。

 唯一ネックとなるのは重量、そして厚みだろう。公称で700グラムということで、初代のiPad Wi-Fiよりも重い。片手持ちはもちろん、両手で長時間ホールドするのも厳しいことから、読書端末など手に持った状態での利用を考えているのであれば、少し慎重に判断した方がよい。厚みも初代iPadよりは薄いものの、iPad2(8.8ミリ)と比べるとその差は歴然であり、この辺りが市場投入を急いだ理由ではないかと勘ぐりたくなる。

 とはいえ、現在発売されているAndroidタブレットの中では最も完成度が高く、Android搭載タブレットを探しているのであれば、XOOMは最有力候補といえそうだ。今後発売されるAndroidタブレットの比較対象となることが予想されるので、開発者にとってもチェックが欠かせない製品だといえるだろう。auではモバイルルータとして使えるパンテック社製データ通信端末「Wi-Fi WALKER DATA05」とのセットモデルも販売されているので、用途に合わせてチョイスするとよさそうだ。

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