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» 2011年04月22日 19時14分 UPDATE

災害時のケータイ活用を考える(1):登録、通知、確認――ケータイ&スマートフォン向け「災害用伝言板」利用ガイド (1/2)

ケータイから利用できる「災害用伝言板」は、通話やメールを使わずに、被災者と安否情報を共有できる便利なツールだ。いざというときに備えて、この災害用伝言板の利用方法を理解しておきたい。登録から確認までの操作方法と、キャリアと端末ごとの仕様の違いをまとめた。

[田中聡,ITmedia]

 東北地方を中心に襲った東日本大震災は、日本に未曾有の被害をもたらした。今もなお余震が続き、被災地はもとより、直接的な被害の少なかった地域でも不安を抱えながら過ごしている方々は多いだろう。今回の震災を経て、緊急地震速報や災害用伝言板、ワンセグなど、あらためて携帯電話の機能が見直され、注目を集めている。家族の安否を確認したり、ライフラインの途絶えた場所で情報収集をしたりする上で、携帯電話の果たす役割は大きい。本コーナーでは災害時に効率よく、そして正しく携帯電話を活用する方法を紹介したい。第1回では「災害用伝言板」に焦点を当てた。

災害用伝言板を利用する意味

 災害が発生すると、被災地やその近隣に住んでいる家族の安否を確認しようとして通話が集中するため、電話回線へのアクセスが通信設備の許容量を超え、つながらなくなる「輻輳(ふくそう)」が発生しやすい。3月11日の震災発生後も、ネットワークのシステムダウンを防ぐためにドコモが最大90%、KDDIが最大95%、ソフトバンクモバイルが最大70%の通信規制(発信規制)を行い、電話発信しにくい状態が続いた。さらに、ドコモは宮城県のみ30%のデータ通信規制を実施。KDDIはCDMA 1X端末に対して発信とデータ通信を規制し、CDMA 1X WIN端末に対しては発信規制がメインで、データ通信規制はほとんど実施しなかった。データ通信ユーザーが多いイー・モバイルは発信規制をいっさい行わず、ウィルコムはPHSから他社網へかける電話のみ、発信規制を実施していた。

 このように、通信事業者は音声通信とデータ通信を個別に規制することができ、今回各社が実施した規制の対象は「発信」がほとんどだった。災害発生時には、パケット通信の回線も混雑するだろうが、メールやブラウザによるデータ通信の方が、通話よりも利用しやすい状況だったといえる。

 多数のユーザーがいっせいに発信することで、救急車や消防車、警察などへの緊急電話さえもつながりにくくなる恐れがあり、最悪の場合、人命にも関わりかねない。災害発生時には極力通話をせず、メールやブラウザを用いて安否情報を確認し合うことを心がけたい。災害用伝言板は、家族や友人と容易に安否情報を共有できるツールであることはもちろんだが、発信が減ることで、携帯電話の音声ネットワークの負荷を抑えることにも貢献する。

最大10件の安否状況を登録できる

photo ケータイ、PHS、スマートフォンなどさまざまな端末から災害用伝言板を利用できる

 災害用伝言板は、震度6弱以上の地震など大規模な災害が発生した際に、ケータイから自分の安否を登録し、家族や知人の安否を確認できるサービス。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイル、ウィルコムの5社が提供しており、2011年4月22日現在、いずれのキャリアの端末からも全国から登録できる。「無事です」「被害があります」「自宅に居ます」「避難所に居ます」といった項目を選ぶほか、メッセージを入力することで登録できる。ドコモ、ソフトバンク、ウィルコム端末から登録したメッセージは、1つの災害における伝言板サービスが終了するまで、auとイー・モバイル端末から登録したメッセージは登録から最大744時間(31日間)保存される。ただし、10件を超えるメッセージは古いものから順に上書きされる。

photophotophoto 災害用伝言板では、選択肢の中から選んだ安否情報とコメントの両方を登録できる

 なお、災害用伝言板へ「登録」するには、利用している携帯キャリアの3GやPHSなどのネットワークに接続している必要があり、無線LANや他社のアクセスポイント経由では登録できない(PCや他社ケータイ向けの災害用伝言板サイトから「確認」することは可能)。例えば、ドコモのスマートフォンで災害用伝言板を利用できるのはspモード契約者なので、アクセスポイントを「spmode.ne.jp」に設定しておかないと、伝言板に登録できない。災害発生時は、災害用伝言板にアクセスが集中、パケット通信回線が混雑するなどの影響で、スムーズに登録できない可能性があることは留意しておきたい。ケータイ以外から安否の登録と確認をする方法として、固定電話や公衆電話から利用できる「災害用伝言ダイヤル(171)」と、PCから利用できる「災害用ブロードバンド伝言板(web171)」(外部リンク)が提供されていることも覚えておきたい。

登録された安否情報の「通知」も可能

 安否情報が登録されると、その旨を指定したユーザーにメールで通知する機能(お知らせメール)も用意されている。ドコモとauは最大5件、ソフトバンク、イー・モバイル、ウィルコムは最大10件のメールアドレスを設定できる。安否情報の登録後に、お知らせメールを送るかどうかを聞かれるので、ここから送信を決定すればよい。ドコモ以外の端末は災害用伝言板のトップ画面からもあて先を設定できる。ドコモの災害用伝言板トップページにはお知らせメールの設定が用意されていないので、少々不便だと感じた。また、auのISシリーズではお知らせメールを送信できないので、早期の実装を望みたい。

photophotophotophoto 安否情報を登録したことを通知するためのメールアドレスを設定できる
photophoto 受信したお知らせメール

他キャリアユーザーの安否も確認できる

 登録された安否情報は、全国から、災害用伝言板の「確認」を選んで電話番号を入力することで確認できる。同キャリアのケータイはもちろん、特定のURLにアクセスすると、他キャリア端末やPCからも安否の確認は可能だ。災害用伝言板は、かつては異なる携帯キャリアの安否は確認できない不便な仕様だったが、2010年3月1日から「全社一括検索」が提供された。これにより、他キャリアユーザーの番号も検索できるようになったので、相手が加入しているキャリアを知らなくても問題ない。例えばドコモの災害用伝言板からソフトバンクユーザーの安否を確認する場合、ソフトバンクの災害用伝言板にアクセスする形で確認できる。

photophotophotophoto 災害用伝言板のトップページで「確認」を選び、電話番号を入力すると、登録された安否情報の日時が一覧で表示され、各日時を選ぶと登録内容が表示される
photophotophoto 安否を調べたい相手が他キャリアの場合、他社の伝言板にアクセスする形で安否を確認できる。その際、パケット通信料が発生する

 各キャリアは、他社の端末やPCからアクセスできる災害用伝言板のURLを公開している(以下を参照)が、全社一括検索により、他社ユーザーの安否をケータイから調べる際に、必ずしもURLからアクセスする必要はない。

他キャリア端末とPC向け災害用伝言板
キャリア URL
NTTドコモ http://dengon.docomo.ne.jp/top.cgi
au http://dengon.ezweb.ne.jp/
ソフトバンク http://dengon.softbank.ne.jp/J
イー・モバイル http://dengon.emnet.ne.jp/
ウィルコム http://dengon.willcom-inc.com/dengon/Top.do

ドコモ同士なら“登録のお願い”も可能

photophoto 相手がドコモユーザーの場合、災害用伝言板への登録をうながすメッセージを送信でき(写真=左)、受信メールから災害用伝言板にアクセスできる(写真=右)

 災害用伝言板は、ケータイに慣れ親しんでない人にとってはハードルがまだ高く、電話やメールのように手軽に利用できるツールとは言い難い。そこで便利なのが、ドコモが提供している「登録お願いメール」だ。この機能では、電話番号を入力したものの、被災者が安否情報をまだ登録していない場合、被災者へ登録を依頼するメールを送信できる。受信したメールには災害用伝言板のリンクが案内されているので、ケータイでブラウジングをしない人でも登録しやすいだろう。なお、この機能を利用するには、双方がiモードかspモードに契約している必要がある。

 このほか、ドコモの災害用伝言板には、個別にあて先設定せずにファミリー割引のメンバーにお知らせメールを通知し、電話番号を入力せずに安否情報を閲覧できる機能が用意されている。上記の登録お願いメールとファミリー割引との連携機能は、現時点ではドコモ端末のみで利用できる。他キャリアもぜひ採用してほしい機能だ。

photophoto 安否情報を登録後、ファミリー割引グループにメールを送信できる(写真=左)。ファミリー割引グループの安否確認も可能(写真=右)

料金は基本的に無料だが、有料の場合も

photo イー・モバイル端末から災害用伝言板を利用する場合、アクセスポイントを「EMnet」に設定しておく

 災害用伝言板の利用料金は無料だが、ドコモはiモードかspモード、auはIS NET、EZ WIN、EZwebmultiのいずれか、ソフトバンクはS!ベーシックパックかS!ベーシックパック(i)、イー・モバイルはEMnetに申し込んでおく必要がある。ドコモ、au、ソフトバンクは、3G通信をする際にはこれらISPへの契約が必須なので大きな問題ではないが、イー・モバイルのEMnetは、キャリア独自のサービスが不要なら申し込む必要はないので、災害用伝言板を利用する可能性があるなら申し込んでおきたい。

 安否情報の登録と、同キャリアユーザーの安否確認については、通信料も基本的には発生しない。ただし、他キャリアが提供する災害用伝言板へアクセスして安否を検索、お知らせメールを受信するなどの際には通信料が発生する。auのISシリーズ(IS NET契約者)については、災害用伝言板のどの機能を利用する場合でも通信料が発生する。

各社の災害用伝言板
ドコモ(iモード端末) ドコモ(スマートフォン) au(Ezweb端末) au(ISシリーズ)(※1) ソフトバンク(Yahoo!ケータイ端末) ソフトバンク(スマートフォン) ソフトバンク(iPhone) イー・モバイル ウィルコム
運用条件 震度6弱以上の地震など大規模な災害が発生した場合
対応するISP iモード spモード EZ WIN、EZwebmulti IS NET S!ベーシックパック S!ベーシックパック(i) EMnet −(不要)
利用料金 無料
パケット通信料 無料(※2) 有料 無料(※2)
アクセス方法 「iMenu」トップから 「ドコモマーケット」トップから 「au one」トップから 「災害用伝言板」アプリを利用 「Yahoo!ケータイ」トップから 「My SoftBank」から 「災害用伝言板」アプリを利用 EMnet公式サイトトップから 「H"LINK」トップから
安否情報の選択肢 「無事です。」「被害があります。」「自宅に居ます。」「避難所に居ます。」 「無事です。」「被害があります。」「自宅に居ます。」「避難所に居ます。」「コメント見て」 「無事です」「自宅にいます」「被害があります」「避難所にいます」 「無事です」「被害があります」「自宅に居ます」「避難所に居ます」
コメントの文字数 最大全角100文字
安否情報の保存件数 最大10件/1電話番号
安否情報の保存期間 1つの災害でのサービスを終了するまで 最大744時間(31日) 1つの災害でのサービスを
終了するまで
最大744時間(31日) 1つの災害でのサービスを終了するまで
お知らせメールの最大登録件数 最大5件 最大5件 最大10件
登録お願いメール
ファミリー割引グループとの連携
対応言語 日本語、英語 日本語 日本語、英語
※1:2011年4月22日時点での対応機種はIS01、IS03、REGZA Phone IS04、IS05。
※2:他社の災害用伝言板へのアクセスや、お知らせメールの受信などには通信料がかかる。

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