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» 2011年07月14日 22時21分 UPDATE

サービス名は「モバキャス」、mmbiがマルチメディア放送の具体像を説明

2012年4月に開始予定の携帯端末向けマルチメディア放送のサービス名が「モバキャス」に決定した。あわせて、ソフト事業者を目指すmmbiがサービスの具体的なイメージを発表した。

[田中聡,ITmedia]

 ISDB-Tマルチメディアフォーラムは7月14日、2012年4月にサービス開始予定の携帯端末向けマルチメディア放送のサービス名が「モバキャス」に決定したことを発表した。

photophoto ISDB-Tマルチメディアフォーラム幹事長の岡村智之氏がサービス名「モバキャス」を発表
photo ISDB-Tマルチメディアフォーラムの会員

 携帯端末向けマルチメディア放送は、2011年7月24日に停波する(岩手県、宮城県、福島県は2012年3月31日に延期)アナログテレビのVHF帯(207.5MHz〜222MHzの14.5MHz)を使ってストリーミングやデータ配信を行う新しい放送サービス。このマルチメディア放送のVHF帯が割り当てられる事業者の1枠を巡り、KDDIとクアルコムジャパンが共同設立したメディアフロージャパン企画と、NTTドコモとフジテレビらが設立したマルチメディア放送(以下、mmbi)が免許を申請したが、2010年9月8日に電波監理審議会の答申を経て、mmbiにマルチメディア放送の免許が付与された。

 その後、2011年1月11日にmmbiが会社分割を用いて、受託放送事業を承継する100%子会社「株式会社ジャパン・モバイルキャスティング」を設立し、mmbiはソフト事業者としてサービスの提供に注力することになった。

2012年4月当初は東名阪を中心に展開

 ISDB-Tマルチメディアフォーラムは、ISDB-T方式に準じるISDB-Tmmを用いたモバイルマルチメディア放送の発展を目的として活動している団体。2011年6月末時点で99社が加入している(ちなみに、KDDIとクアルコムジャパンも加入済み)。幹事長の岡村智之氏は「モバキャス」のコンセプトについて「スマートフォンが生まれたことで、モバイル端末の可能性が大きく広がっている。今までのテレビと違い、ドラマやスポーツなどの番組だけでなく、新聞や雑誌、ゲームも放送する。モバイル専用の新しい放送を身近に感じてもらいたい。覚えやすく、親しみやすい存在でありたいという気持ちを込めた」と説明した。

 なお、放送用のインフラを構築する受託放送事業者(ハード事業者)の正式名称は「基幹放送局提供事業者」、コンテンツを提供する委託放送事業者(ソフト事業者)は「認定基幹放送事業者」に改められた。ハード事業者はジャパン・モバイルキャスティングに決定しており、ソフト事業者は今後総務省が募集し、同省の審査を経て認定される。mmbiはすでに応募することを表明している。

photo ジャパン・モバイルキャスティング代表取締役社長 永松則行氏

 マルチメディア放送は携帯キャリアの通信網を介さず、放送波でコンテンツを配信できるのが大きな特徴。モバキャスでも、ソフト事業者から送られた番組やゲーム、音楽などをセンター局(東京の六本木に設置)で受け、そこから通信衛星によって全国の送信所に配信する。送信所ではコンテンツをVHF帯に変換してユーザーに届けられる。送信所は東京スカイツリーには新設するが、他の地域では既存のアナログ放送用の電波塔を活用して効率よく構築していく。スカイツリーでは4段16面(計64面)にアンテナを設置しており、ジャパン・モバイルキャスティング代表取締役社長の永松則行氏によると、スカイツリー1局で関東全域(約1600万世帯)をカバーできるという。

 さらに、マルチメディア放送では衛星回線を使うので、災害時に発生する輻輳などの影響を受けにくいというメリットもある。「非常用の電源があれば、全国どこでも臨時送信所を構築できるので、被災地に対して情報配信を行うことも可能」(永松氏)。また、通信をするために電波を送受信するのに対し、放送波は「受けるだけ」なので、バッテリーの消費を比較的抑えられるのもメリットといえる。

 サービスは2012年4月の時点では東名阪と主要都市で展開し、世帯カバー率は2012年度末には約73%、2014年度末には約91%を目指す。「2016年には125局を設置し、都市部では全国カバーできると考えている」(永松氏)

 モバキャスの受信端末は、サービス開始当初はスマートフォンとなる見込みで、2016年度までに「5000万台の携帯端末が普及することを想定している」(永松氏)とのこと。最初のモバキャス対応スマートフォンが、4月のサービス開始に間に合う形で発売される予定だ。ソフト事業者側に発生する設備使用料は1セグメントあたり約5億円。

photophoto 東京地区は東京スカイツリーに、その他の地域には既存の電波塔に送信所を設置する(写真=左)。災害時にも輻輳の影響を受けることなく情報を配信できる(写真=右)
photophoto 全国世帯カバー率の目安(写真=左)。マルチメディア放送対応端末普及の見通し(写真=右)
photophoto 東京スカイツリー向けのマルチメディア放送用アンテナ

リアルタイム+蓄積型コンテンツに通信機能を連携させる

 マルチメディア放送には、放送コンテンツをストリーミング配信する「リアルタイム型放送」と、端末内のコンテンツを保存できる「蓄積型放送」の2つが含まれる。では、モバキャスでは具体的にどのようなサービスが提供されるのだろうか。mmbiが提供するサービスのコンセプトは「モバイル・スマートTV」。「スマートTVはテレビとインターネットが融合したサービスだが、そのモバイル版。世界をみても同様のサービスはなく、チャレンジングな取り組みだと思う」とmmbi 代表取締役社長の二木治成氏は話した。

photophoto マルチメディア放送のサービスイメージ(写真=左)。mmbiが掲げるコンセプト「モバイル・スマートTV」(写真=右)
photophoto mmbi 代表取締役社長 二木治成氏(写真=左)とmmbi常務取締役 小牧次郎氏(写真=右)

 サービスイメージは、リアルタイム型放送と蓄積型放送に、携帯端末の通信を融合させたものになる。その具体例の1つがSNSとの連携で、番組を視聴しながらTwitterやFacebookに投稿し、1画面で映像とTwitterのタイムラインを表示するといったことが可能になる。リアルタイム型放送と蓄積型放送も連携させ、音楽のライブを見ながら関連する楽曲をためるなど、放送中のデータを蓄積して後で視聴することもできる。このほか、番組内で紹介されたクーポンやアプリを入手するなど、複数のコンテンツを同時に配信する機能も実装する予定。災害時には災害直前・直後にリアルタイム型放送で緊急地震速報を配信し、発生後には安否情報や避難所情報などを配信する。二木氏は映像の画質についても触れ、「ワンセグの10倍ほどきれいだ」とアピールした。

photophotophoto SNSとの連携(写真=左)。リアルタイム型放送と蓄積型放送の連携(写真=中)。蓄積型放送の複合コンテンツ(写真=右)
photophoto 災害時における役割(写真=左)。事業が発展するには、コンテンツ・料金、エリア、対応端末が重要になる(写真=右)

 サービスの目標加入者数は「初年度に100万加入を実現できるように頑張りたい」(二木氏)とした。料金については「数百円の範囲で月額基本料金を設け、プレミアコンテンツとしてさらに価値のあるコンテンツを見せることを考えている」とのこと。

 「まだ免許はないが、企画は山のように出している。通信機能を内蔵している端末を利用するので、ソーシャルメディアとの連携など、テレビではできなかったことを実現させたい」(mmbi常務取締役 小牧次郎氏)

photophoto モバキャスのサポーターとして、アイドリング!!!も駆け付けた
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