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» 2011年07月21日 22時25分 UPDATE

紙ケータイ誕生の舞台裏:F-12Cは“100年ケータイ”――富士通×グローブ・トロッターが目指す普遍性と愛着 (1/2)

Fブランド初のAndroid端末「F-12C」は、英国の旅行カバンブランド「GLOBE-TROTTER」とコラボし、富士通ならではの使いやすい機能やUIも盛り込んだ意欲作。F-12Cはどんな経緯で開発されたのか。富士通とグローブ・トロッターが説明した。

[田中聡,ITmedia]

 富士通が7月21日、NTTドコモから発売予定のAndroidスマートフォン「F-12C」の製品説明会を英国大使公邸で開催した。今回はデーヴィッド・フィトン駐日英国代理大使の厚意により、英国大使公邸を発表会場に使えることになり、会場にはF-12CとコラボレートしたGLOBE-TROTTERのカバンも多数展示された。

photophoto 「F-12C」。ボディカラーはBlackとRose Gold

歴史的、技術的にも意味があるコラボ

photo デーヴィッド・フィトン駐日英国代理大使

 F-12Cは、Fブランドとして初めて投入するAndroidスマートフォン。IPX5/IPX8相当の防水性能を有するほか、最薄部約9.8ミリ・重さ約110グラムという薄型・軽量ボディも特長だ。独自のユーザーインタフェース「NX!comfort UI」や、音声でアプリやアドレス帳のデータを呼び出せる機能、相手の声を聞こえやすくする「スーパーはっきりボイス3」を採用するなど、使い勝手にもこだわった。英国の老舗旅行カバンブランド「GLOBE-TROTTER」とコラボレートしているのも大きな特徴で、Blackには同ブランドのカバンと同様の質感を再現すべくシボ加工を施したほか、端末の4隅も、同ブランドのカバンをモチーフにしたラウンド形状としている。

 さらに、GLOBE-TROTTERのカバンにも使われている紙素材「ヴァルカン・ファイバー」を使った5000台の限定モデル「Classic Orange」も10〜11月に発売する予定。フィトン氏は「GLOBE-TROTTERは、電話機が発明された1876年から21年後の1897年に創業した。大切なコミュニケーションツールである携帯電話とコラボレートしたことは、歴史的、技術的にも意味がある。2012年にはロンドンオリンピックが開催されるが、GLOBE-TROTTERのスーツケースとF-12Cを持っていらしてほしい」と話した。

photophoto GLOBE-TROTTERのカバンの要素がF-12Cにも反映されている
photophoto 富士通 執行役員副社長 佐相秀幸氏(写真=左)と富士通 モバイルフォン事業本部 本部長 高田克美氏(写真=右)

  富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏は、富士通と英国の関係について触れ、「富士通と英国には非常に長い歴史がある」と話す。富士通は、英国ロンドンに拠点を置くITサービス会社「Fujitsu Service」を子会社に持っており、その前身だったICL(International Computers Limited)のころから英国とは接点があった。「英国政府や公共機関とは密にやり取りをしている。財政事情が厳しいことが伝わってきているが、よいビジネスパートナーとして協力していきたい」と話した。

 富士通が携帯電話の開発方針に常々挙げているコンセプトが「ヒューマンセントリック(人間中心)」だ。東芝と事業統合をした後に「REGZA Phone」をドコモとau向けに供給し、「非常に人気が高かった。大成功のプロダクトと認識している」と佐相氏は手応えを話す。今回のF-12Cは「機能だけでなくデザインも非常にいい仕上がりになっている」と胸を張る。

 今後フィーチャーフォン(従来のケータイ)からスマートフォンに移行していく中で、「ガラパゴスと揶揄されることもあるが、日本の洗練された機能や品質をスマートフォンにも落とし込みたい」とした。「2011年度はスマートフォンを含めた携帯電話の売上は700万台を目標にしている」(佐相氏)。さらに、佐相氏は同社のスマートフォンを海外展開する考えがあることも明かした。富士通 モバイルフォン事業本部 本部長の高田克美氏は「海外の通信事業者が具体的に決まっているわけではないが、国内の技術をベースにしたスマートフォンを、欧州と北米を含めて2012年には提供できるよう調査している」と説明する。

photophotophoto 携帯電話における富士通の開発方針(写真=左)。富士通のスマートフォンの考え方(写真=中)。スマートフォンユーザーのすそ野拡大を狙う(写真=右)

F-12Cでスマートフォンの不満点を解消

photo スマートフォン買い替え時の心配事や、スマートフォン使用時の不満点

 富士通東芝モバイルコミュニケーションズが開発したREGZA Phoneは、先進的な機能を求めるユーザーに向けたモデルだが、F-12Cはより幅広いユーザーを対象としており、スマートフォン利用者のすそ野を広げることを狙う。富士通がスマートフォン利用者と使っていない人に調査をしたところ、「操作が難しそう」「文字入力がしにくい」「動作が遅い」「サイズが大きくて重い」「バッテリーの持ちが悪い」といった不満点や心配事が挙がった。そこで同社はこれらのネガティブな部分を解消し、初心者でも迷わずに使えるよう基本機能の使いやすさを徹底追求した。

 そんなF-12Cのキャッチコピーは「防水コンパクトスマートフォン」。デザインにはGLOBE-TROTTERの要素を取り入れ、コンパクトかつ軽量のボディや押しやすいキーを採用するなど、長年使われる「愛着と普遍性」を目指した。機能では「見やすさ」「聞きやすさ」「使いやすさ」を追求し、「ヒューマンセントリックエンジン」を開発。見やすさの点では明るい場所でも視認性の高い500カンデラの液晶、聞きやすさの点では騒音を感知して通話時の音声を聞きやすくする「スーパーはっきりボイス3」、走行中や歩行中などの状態を感知して聞きやすくする「ぴったりボイス」、年齢に応じて聞きやすくする「あわせるボイス」を採用した。

photophoto 手になじむラウンドフォルムを実現(写真=左)。キー、ストラップホール、レシーバーなど細部にわたって使いやすさに配慮した(写真=右)
photophoto 素材自体は異なるが、ヴァルカン・ファイバーの質感を再現したBlack(写真=左)。Blackとは質感の異なるテクスチャー加工を施したRose Gold(写真=右)
photophotophoto 「見やすさ」「聞きやすさ」「使いやすさ」にこだわったヒューマンセントリックエンジン(写真=左)。高輝度な500カンデラパネル、乱反射を防ぐ抑制シート、明るさ調整など液晶の見やすさにも注力した(写真=中)。快適に通話できる機能も用意した(写真=右)
photo タッチパネルのチューニングも施した

 快適に使えるよう、タッチパネルの操作性にもこだわった。「部品から発生するさまざまなノイズとの戦いになるが、ハードとソフトのチューニングを施す中で、できる限り使いやすく仕上げた」と高田氏は話す。さらに、アイコン選択時、スクロール時、長押し時、スクロール終了時に高速でフィードバックが得られるよう専用ドライバも搭載した。

 日本語入力システムには、富士通が独自にカスタマイズした「ATOK」を用意。Googleの音声入力ができるほか、絵文字や記号をワンタッチで表示できる専用のボタンを設置。さらに、キーパッド上をなぞるとそのまま手書きで入力できる。かなモード時に英数の手書き入力もできるので、時刻やアルファベットの商品名などを伝えるときなどに役立つ。

photophotophoto ATOKのキーパッドには、絵文字や記号一覧をワンタッチで呼び出せるボタンや、モード変更せずに手書き入力できるUIを用意した(写真=左)。キーパッド上をなぞると、ひらがな、漢字、英数字、絵文字などを手書きで入力できる(写真=中、右)

 NX!comfort UIでは歩数計、短縮ダイヤル、日時/天気、アプリ履歴などオリジナルのウィジェットや、ステータスバーを表示するためのつまみを用意するなど、迷わず使えるようこだわった。スケジュール登録や電話発信、アプリ呼び出しなどを音声で行える「しゃべってカンタン操作」も面白い。例えば「山田さんに電話」と話すと、アドレス帳に登録されたフリガナから「山田」を探し、山田さんに電話発信してくれる。同じ読みの人を複数登録した場合は、誰に電話をかけるかの選択肢が現れる。

photophotophoto 音声でさまざまな操作ができる「しゃべってカンタン操作」(写真=左)。「山田さんにメールを送る」デモが実施された(写真=中、右)
photophotophoto 壁紙の変更も音声経由で行える(写真=左、中)。音声で呼び出すアプリのヨミガナを個別に変更できる(写真=右)

 タッチ&トライ用に展示されたF-12Cの実機は、ほぼ製品版に近い仕上がりで、プリインストールアプリやウィジェットも確認できた。5月16日の発表会で触れたものよりも動作はキビキビしており、約110グラムという軽さや手書き入力対応のATOKなど、REGZA Phoneよりも使いやすさに磨きがかけられている印象を受けた。F-12Cの発売は8月上旬以降の予定なので、ドコモの発表を待ちたい。

photophotophotophoto 歩数計やアプリ履歴など、ホーム画面には独自のウィジェットが設置されている
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photophotophotophoto 豊富なアプリをプリインストール。富士通ならではのアプリとして「ヘルスチェッカー」を用意
photophotophoto 基本スペックも充実させた(写真=左)。F-12Cは防水性能に対応しているが、イヤフォンジャックにカバーは設けられていない。これは、イヤフォンジャックの奥に蓋を接着することで浸水を防いでいるため(写真=中)。Xperia arcと比較。F-12Cの方がコンパクトだ(写真=右)
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