海外で「ドコモ海外利用」アプリを使ってみたふぉーんなハナシ

» 2011年08月02日 00時00分 公開
[平賀洋一,ITmedia]

 いよいよ8月に入り、社会人も夏休み直前。この夏は、買い換えた春モデルや夏モデルのスマートフォンを持って海外に――というスマホユーザーも多いのでは。海外でのスマートフォン利用で気を付けたいのが、海外利用時のパケット料金だ。

 スマートフォンは1度の通信で大量のパケット通信を行うため、パケット料金も定額制が必須。アプリによってはバックグラウンドで通信を行うものもあり、自分で操作しなくてもいつの間にか通信をしていることも多い。無線LANをメインで使うことで、3G通信のパケット代を抑えることも可能だが、1度に大量の通信を行うことから、定額プランに入っておいたほうがベターだ。

 スマートフォンを安心して海外利用できるよう、各キャリアとも一時的なパケット定額プランを提供している。この分野で先鞭をつけたソフトバンクモバイルの「海外パケットし放題」(1日上限1980円〜2980円の2段階制)、NTTドコモの「海外パケ・ホーダイ」(1日上限1980〜2980円の2段階制)、KDDIの「海外ダブル定額」(1日上限1980〜2980円の2段階制)、イー・アクセスの「海外データ1日定額」(1日上限1480円〜2880円の2段階制)だ。

 各キャリアの海外定額サービスとも、国内でパケット定額を利用していて国際ローミングサービスに申し込んでいる状態であれば、特別な手続きなしで利用できる。だが、滞在先の通信事業者(オペレーター)を自分で設定する必要があり、そのオペレーターの電波が届くエリアに入らないと設定が行えない。つまり、出発前に日本で設定しておくことができない。そこでスマートフォンでの設定をサポートするアプリも、ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルから提供されている。

 先日の韓国取材でドコモの「ドコモ海外利用」アプリを利用したので、その使い勝手をレビューしてみたい。利用後の7月28日にアプリが最新版にバージョンしたため、デザインなどが一部異なっている点はご了承いただきたい。

あくまでサポート 自動での接続設定はしない

photo 「ドコモ海外利用」のウィジェットをホーム画面に配置。海外パケ・ホーダイ適用中なので安心してネットができる

 さて、ドコモの海外利用アプリは4月21日にリリースされたので、それ以前に出荷されたドコモスマートフォンにはプリインストールされていない。アプリ一覧を見ても入っていないという人は、日本にいるうちにAndroid マーケットからダウンロードしておこう。アプリのダウンロードと利用に関してはもちろん無料だ。

 アプリを起動すると、ステータスと事業者選択ガイドのタブが表示される。ステータスは今使っている、または使える事業者を表示している。国内なら“ドコモ”と出ているはずだ。事業選択ガイドは、各国・地域別に海外パケット通信が利用できる通信事業者を表示するもので、事業者を選んでも自動で設定してくれるわけではない。あくまで“ガイド”という位置づけだ。ただし、画面下から「事業者を選択する」ボタンを押すと[モバイルネットワーク設定]から[ネットワークオペレーター]の設定画面を開いてくれるので、初めから自分で設定するよりもずっと手軽だ。

 また、現地の通信事業者表示は、同じ会社でも社名やサービス名、単なる数字とまちまちなことも多い。

 取材先の韓国でドコモ向けに海外ローミングを提供しているのは、現地でシェア2位のKT。KTは2006年までKTFreetel(KTF)という名前だったが、親会社のKTに吸収合併され、現在の名前になった。またモバイル向けの通信サービスを「Olleh」(オレ)というブランドで展開しているため、端末の設定画面で見るとKT/KTF/ollehとさまざまな名前で表示される。すべてを覚えたりメモしても良いが、その場でアプリが教えてくれるのはありがたい。

photophotophoto アプリを起動して「事業者選択ガイド」のタブを選択。プルダウンメニューから滞在中の国や地域を選ぶと、海外パケット通信が定額利用できる通信事業者が分かる(左)。画面下の設定ボタンを押すと、Android OSのオペレーター選択画面に遷移。ここで“非対応”のSK Telecomを選ぶとパケ死コース(中)。ステータス画面にもどると、適用中になっている(右)
photo 国内端末を海外に持って行くと、現地の通信事業者を介してドコモから海外ローミング開始のSMS(受信無料)が届く。このSMSで接続先が分かるが、設定の操作は自分で行うことになる

 また、海外パケット通信が有効か無効かを一目で確認できるウィジェットも用意されている。これをホーム画面に配置しておけば、スマートフォンを操作する前に定額か否かの確認ができ、まさかの海外パケ死を事前に防ぐことができる。不慣れな土地で余計な心配をしなくてすむのはポイントが高い。

 今回の取材ではソウル周辺をバス移動することが多く、現地で圏外表示になることはなかった。また、ほとんどがHSDPA対応エリアで、日本に居るのと変わらない快適さでスマートフォンが利用できた。とはいえ、それは日本と並ぶケータイ大国“韓国”ならではのこと。世界中どこもで日本のような通信環境があるわけではないので、海外ローミング時の通信速度に過度な期待は禁物だろう。

 ちなみに、海外パケット通信を設定したまま帰国すると、ウィジェットには「圏外」と表示される。現地の通信事業者からみれば日本は当然圏外なので、ドコモに接続するよう設定し直さなくてはならない。国内では[ネットワークオペレーター]を[自動的に選択]にしておく必要があるが、アプリは設定してくれないので手動で操作する。

 パケット定額が利用できる事業者と、定額が適用されている/いないが明確に分かるので、アプリの満足度は高い。しかし希望を言えば、各地域で定額利用できる、あるいは最も安くパケット通信ができる事業者に自動で接続できるようになるとうれしい。また、帰国してからのスムーズな切り替えもサポートできるようになると、もっと使いやすくなるだろう。

現地の通信事業者を設定したまま日本に帰国すると、「圏外」になる

 Webブラウジングやメールはもちろん、GPSを使った位置情報サービスやSNS、写真投稿、動画視聴や生中継など、海外でパケット通信を定額利用できると、スマートフォンの利用シーンがぐっと広がる。1日2980円はちょっと高いかもしれないが、非日常の場でスマートフォンを使いまくるという経験は、なかなか有意義なのではないだろうか。

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