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» 2011年09月21日 14時00分 UPDATE

たまねぎIT戦士のEVO体験記:第4回:「あると便利」なテザリング、本当に“使える”の? (1/2)

EVO WiMAXを買った理由は「テザリング」……という人は多いはず。これからのスマートフォンはテザリング機能があって当たり前になりそう。テザリングは「あると便利」という人もいるけれど、実用に耐えうるのかどうか気になるところです。

[池田憲弘,ITmedia]

 「4人でWi-Fiルーター買わない? 1人あたり月1000円ちょいになるはずだからさ」

 大学でゼミ活動にいそしんでいたころ、同期にこのように相談されたことがあります。個人でルーターの通信費を払い続けるだけのお金がない、という理由もあるけれど、この話を本気で検討するほど、当時はネット環境の確保が重要な問題でした。今となっては「あのころ、EVO WiMAXを持ってたらなぁ……」と思うことがしばしばあります。

photo あの頃を思い出しつつ、大学の構内でノマドワーク体験

 こんにちは。第4回目の連載のテーマはテザリングです。大学3年生になり、ゼミに入っってからは、ほぼ毎日ノートPCと電源を持ち歩く生活をしていました。大学内は無線LANが使えるので良いのですが、学校以外の場所でもノートPCを使えたら……と願い続けていたことが「HTC EVO WiMAX ISW11HT」の購入の決め手になったといっても過言ではありません。

 ゼミの友人にEVO WiMAXの話をすると

同期「なんで去年買わなかったのさ。大学以外の場所でも集まれたじゃん」

池田「いや、これ発売したのが今年の4月だからさ」

同期「……去年あったらよかったのにね」

 という反応がほとんどです。ということで今回は、使いたくて仕方なかった「テザリング」の性能や使い勝手についてお話ししようと思います。

そもそもテザリングって?

photo テザリング機能に魅力を感じてEVO WiMAXを買った人も多いのではないでしょうか

 使用感の話をする前に、テザリングの説明を少しだけ。テザリングとは、スマートフォンなどのモバイル端末を無線LANのアクセスポイントとして使い、PCやタブレットなどを携帯電話回線を通じてインターネットに常時接続させることや、その機能を指します。スマートフォンにモバイルWi-Fiルーターの機能が内蔵しているという感覚ですね。

 テザリングを使用するときのパケット通信料は各キャリアで差がありますが、EVO WiMAXのキャリアであるKDDIは現在のところ、テザリングを使用してもパケット通信料は月額5460円としているので、料金を意識することなく気軽に使えます。

 EVO WiMAXではテザリングの方法が「Wi-Fiテザリング」と「USBテザリング」の2種類があります。テザリング機能を利用する方法は簡単で、Wi-Fiテザリングの場合はメニューからWi-Fiテザリングを選択し、ネットワーク名とパスワードを決めるだけ。テザリング機能をオンにすると、15秒ほどでアンテナが機能し始め、無線LANのアクセスポイントとして使えるようになります。EVO WiMAX1台で、Wi-Fi対応機器が最大8台まで接続できるのも魅力的ですね(通常設定では2台まで、8台にするには設定が必要)。

photophotophoto メニュー画面からWi-Fiテザリングを選んで、パスワードを入力するだけ。この画面でユーザーを管理の部分を押すと、最大接続数が設定できる

 一方、USBテザリングについてはインターネットに接続する機器とEVO WiMAXをUSBで接続すれば使えます。USB接続なので通信が安定し、Wi-Fiテザリングよりも通信が速いといわれていますが、同時に複数の機器をインターネットに接続することはできません。また、HTC syncというソフトを接続機器側にインストールする必要がありますが、Windowsのみの対応なので、MacBookなどのノートPCではUSBテザリングを使えません。

 複数人で使いたいときやタブレットを使うときはWi-Fiテザリング、1人でノートPCを使うときは状況によって使い分ける、という方法がいいでしょう。また、EVO WiMAXのWiMAXアンテナがオフなら3G回線、オンならWiMAX回線でのテザリングとなります。両者の通信速度や安定性は、スマートフォンでの通信と似ています。

photophotophoto USBテザリングを使うときはHTC SyncをインストールしたPCに接続するだけでOK(写真=左)3G回線でのテザリングと、WiMAXでのテザリングでは画面左上のマークが異なる。3G回線の場合(写真=中央)と、WiMAXの場合(写真=右)。テザリング中はWi-Fiアンテナは自動的にオフになる

テザリングの通信速度、3GとWiMAXでどれだけ違う?

 では、いよいよテザリングを使ってみます。まずは速度から。ノートPC(ThinkPad T410i)をテザリングで接続し「BNRスピードテスト」で上り速度と下り速度を5回ずつ測ります。場所は会社、自宅、カフェの3カ所。数値のばらつきが大きいため、最も高い数値を採用しました。

テザリングの通信速度 3G vs WiMAX(単位はMbps)
  下り速度(3G) 上り速度(3G) 下り速度(WiMAX) 上り速度(WiMAX)
田町のカフェ 1.21 0.81 6.63 3.46
会社自席 2.61 0.4 0.72 0.42

 田町のカフェでは、確かに下り上りともにWiMAXの方が非常に速いけれど、速度は安定せず、遅いときは3G回線とだいたい同じ早さになります。しかし、速度は安定しなくても、Webサイトの閲覧では問題になりません。3G回線並の速度でも1Mbps(=125Kバイト/秒)以上の速度が出るため、Webサイトの閲覧程度ではストレスを感じることがなかった、というわけです。実際にファイルのダウンロードしてみましたが、上記の表と近い速度が出ます。

photo BNRスピードテストは下り、上りの両方の速度が短い時間で計れます。数値化はされないですが、通信の安定性も大まかに分かります

 一方、会社の自席など窓から遠い地点になるとWiMAXが遅い、という傾向はテザリングではさらに顕著に結果に表れました。会社の自席付近(窓から10メートル程度)では、3G回線よりも速度が遅くなってしまいました。上り速度が速いのがWiMAXの特徴ですが、上りも3G回線と同程度と少々残念な結果に。

 速度を調べてみましたが、やはり数字だけ見てもいまいち実感が湧かないので、普段使う場面を想定したロードテストを試してみます。個人的に一番イライラしやすい「ネット上にアップされた動画の視聴」の快適さについて調べました。ニコニコ動画にアップされている動画のロード時間を測るという方法です。1分53秒の動画のロードにかかった時間は以下の通りです。

動画ロード時間測定(動画の長さは113秒)
  3G WiMAX
田町のカフェ 96秒 101秒
会社自席 91秒 409秒

 動画の視聴時間に対してロード時間の方が少なければ、一度も動画が止まらずに最後まで見られる通信速度だと考えられます。ロード時間が視聴時間を下回るケースが多いので、基本的には動画の視聴も問題ないはずです。屋内のWiMAXについては、動画時間の4倍程度ロードに時間を要しており、動画視聴については厳しい……というより無理です。屋内(窓から遠い)でテザリングを行う場合は3G回線にするのが無難でしょう。

 ちなみに、USBテザリングの速度を測ったところ、Wi-Fiテザリングとあまり変化はありませんでした。USBテザリングとWi-Fiテザリングの結果をまとめたのが次の表です(会社自席、3G回線のみ、5回測定で最後の1つは平均値)。

テザリングの通信速度 Wi-Fi vs USB(単位はMbps)
下り速度(Wi-Fi) 上り速度(Wi-Fi) 下り速度(USB) 上り速度(USB)
1.8 0.4 1.97 0.29
2.5 0.37 1.41 0.36
2.37 0.29 1.64 0.34
2.61 0.32 2.31 0.38
1.36 0.38 2.19 0.34
2.13 0.35 1.9 0.34
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