PR

神尾寿のMobile+Views(PR特別編):スマートフォン×スマートTVが踏み込む未踏の領域 NOTTVの可能性を考える

2012年4月からサービス開始が予定されているスマートフォン向け放送局の名称が「NOTTV(ノッティーヴィー)」に決まった。サービス開始に向けて、少しずつ具体像が明らかになっている段階だが、このスマートフォン向け放送局の可能性を考えてみたい。

 10月4日、mmbiが日本で開始するスマートフォン向け放送局「NOTTV(ノッティーヴィー)」を発表した。詳しくはニュース記事に譲るが、これは地上デジタル放送への完全移行に伴い利用可能になった207.5MHz〜222MHz帯を用いる、まったく新しい放送サービス。通信と放送が連携するよう設計されているのが特徴だ。主な機能としては、通常のテレビのように時間軸に沿って放送されている番組が視聴できる「リアルタイム視聴」と、あらかじめ配信された番組から観たいものを選んで視聴できる「シフトタイム視聴」の2つが提供される。

 インターネットの世界ではスマートフォン/タブレット端末によって「スマート革命」が進行中だが、同じようなインパクトがNOTTVによって放送でも起きるのか。NOTTVの記者発表会を見ながら、考えてみたい。

手のひらに収まるスマートTV

 「従来のテレビにできないことをする。テレビを超えたテレビになる」

Photo mmbi代表取締役社長の二木治成氏

 mmbi代表取締役社長の二木治成氏は、新放送局の名称とロゴを披露した後、力強く“新しいメディア”であることを強調した。そのためにあえて、「NOT+TV」という分かりやすくも新しい命名を行ったという。開局は4月の予定で、「日本初のスマートフォン向け放送局」(二木氏)というのがセールスポイントである。

 「月額数百円で(リアルタイム型放送)3チャンネルが楽しめる。またNOTTV独自の仕組みとして、蓄積型放送によるシフトタイムがある。基本料で見られるチャンネルに加えて、プレミアムな有料コンテンツも用意していきたい。2012年度に100万加入、数年後に1000万加入を目指したい」(二木氏)

 ユーザー視点では対応端末がどれだけ増えるかが注目であるが、当初は資本関係のあるNTTドコモが、対応するスマートフォンを順次投入する計画だという。また「スマートフォンとタブレット端末はソフトウェア的には近い存在。NOTTVは従来のワンセグより約10倍の高画質で楽しめるため、タブレット端末への展開も考えている」(二木氏)という。NOTTVは現在のワンセグ放送と互換性のあるISDB-Tmm方式を採用しているため、"ワンセグ対応のスマートフォン"に注力する日本メーカーを中心に対応端末が出てきそうだ。

Photo mmbi 常務取締役の小牧次郎氏

 一方、コンテンツ面では「ライブ中継に注力したい」(mmbi 常務取締役の小牧次郎氏)という。モバイルマルチメディア放送が議論されていたころは、蓄積型放送が注目の機能とされてきたが、今ではYouTubeやHuluなどクラウド型の映像配信サービスが普及している。「クラウドにデータがあるストック型のコンテンツに“量”で勝てるわけがない」(小牧氏)というのだ。そこでNOTTVでは、同時視聴数が増えても品質が劣化しない放送インフラの強みを活かし、Twitterなどリアルタイム系SNSとの連携を強化。ライブ中継を見ながらユーザー同士がコミュニケーションをしたり、番組自体に参加するといった使い方ができる。

 小牧氏は、「スマートフォンは完全に立ち上がった。次はモバイルのスマートTVだ。NOTTVは、通信機能のあるスマートフォン向け放送であり、最初から100%ネットワークにつながっていて、SNSとの連携は当たり前になっていく」と話す。Twitterなどリアルタイム型SNSが注目される今だからこそ、リアルタイム性と同報性を兼ね備えており、通信との親和性も高いNOTTVに大きな可能性があると言えそうだ。

基本性能の高さはタブレット向き

 実際の端末・サービスにも目を向けてみよう。

Photo CEATEC JAPAN 2011でNOTTVを体験

 今回、NOTTVの名称を発表したCEATEC JAPAN 2011のmmbiブースでは、NOTTVのデモンストレーションコーナーを用意。NOTTVによるリアルタイム視聴やシフトタイム視聴、Twitterとの連携機能なども、動態で試すことができた。

 これらのデモンストレーション端末を触ってみて、まず最初に感じるのが「NOTTVの品質の高さ」である。3チャンネルとなるリアルタイム型放送は映像品質がとても高く、スマートフォンはもちろん、タブレット端末の大画面・解像度で見ても十分に満足できるクオリティだ。これを一度目にしてしまったら、とてもではないがワンセグの画質には戻れない。スマートフォンやタブレット端末を横向きにして、映像を全画面表示すれば、映画の字幕なども違和感なく読めそうだ。

 シフトタイム視聴は端末の外部メモリ内(microSDカードなど)に「番組(コンテンツ)」が自動で一時蓄積される形で提供される。一度蓄積されたコンテンツは電波が届かない場所でも見られるため、地下鉄などでも映像が途切れずに視聴できる。なお、このシフトタイム視聴では映像だけでなく、電子書籍やゲーム、アプリの配信も可能。今後、映像系以外のコンテンツプロバイダーが参入し、定期配信系のサービスが増えることが予想される。またNOTTVは当面はスマートフォン/タブレット端末向けの放送という立ち位置になるが、将来的にはこの蓄積型放送の仕組みを使って、カーナビゲーション向けの地図更新サービスやデジタルサイネージ向けにデータ配信するといった展開も十分に考えられそうだ。

 NOTTVのクライアントアプリにも目を向けてみよう。

 今回のCEATECで展示されていたのはデモ用のものであったが、スマートフォンの画面の大きさを生かし、画面を2分割して視聴中の映像とTwitterのタイムラインをうまく組み合わせたUIを実現していた。こうしたSNSの表示以外にも、番組情報などを通信を使って表示させることもできるなど、通信コンテンツと放送コンテンツが無理なく同居している。

 一方、NOTTVのもう1つのセールスポイントであるシフトタイムのUIは、ストック(一時蓄積)された番組を一覧画面から選んで視聴するというスタイルになっている。一覧画面ではサムネイル画像のほか番組概要なども表示されていて選びやすい。アプリ自体の動作がキビキビとしていることもあり、とても出来のいいHDDレコーダーを使用しているような感覚である。

Photo NOTTVのサービスイメージ

“中衆向けメディア”としての可能性

 これまでのマルチメディア放送は、世界的に見てもいまだ大規模な成功事例がなく、NOTTVはまさに“手探り”でこの市場を開拓することになる。モバイル通信インフラの次世代化・高速化が進み、クラウド型の映像配信サービスやライブ中継サービスが台頭する中で、うまく差別化が図れるかという課題があるのは確かだ。

 しかし筆者は、NOTTVの未来は悲観的な要素ばかりではないと思う。その理由は大きく3つある。

 1つは、NOTTVのターゲット端末が「スマートフォン」という、今後もっともユーザーとの接触頻度・接触時間の長いデバイスであることだ。地上デジタル放送への移行にともないテレビの普及はアナログテレビ全盛期より約3000万台ほど減少しており、若年層を中心に“個室でテレビを見る”文化は急速にしぼんでいる。この減少した「テレビ視聴時間」をうまく取り込んでいるのが、スマートフォンなどのモバイル端末だ。NOTTVはスマートフォンをターゲットにすることで、テレビから離れてしまったユーザーの利用シーン・利用時間にアプローチすることができる。すべてはコンテンツ次第ではあるが、うまくいけばスマートフォンから新たな映像コンテンツ市場を作ることができるかもしれない。

 2つ目は、NOTTVがテレビとインターネットの映像配信サービスの中間に“中規模な視聴ニーズ”を作れるかもしれないということだ。従来の地上波テレビは数千万人規模の視聴者を想定して番組作りを行っており、一方で、インターネットの映像配信サービスは数万人規模の視聴があれば「すごい」と言われるのが現状だ。テレビが大衆向け放送メディアであれば、インターネットの映像配信サービスは小衆向けのものであり、視聴者規模のちょうど中間がない。NOTTVは全国一斉放送で地上波テレビのようなマス(大衆)向け放送もできるが、他方で、そのサービス特性やシフトタイムなど従来にない新機能などから、数十万から数百万人に向けた放送への対応にも向いている。筆者は地上波テレビとインターネット映像配信の中間にある“中衆向けメディアサービス”の部分に、成長の可能性があると考えるのだ。むろん、このポジションで成功するには、NOTTVの対応端末が少なくとも1000万台以上は普及する必要があるが、中長期的な可能性としては注目したい部分である。

 そして、3つ目の可能性が、今年3月11日の東日本大震災で注目されるようになった「災害時のメディア」の有用性である。今回の3.11で分かったように、震災など大規模・広域での災害時には、モバイル通信インフラは基地局の損壊や通信集中による輻輳といった問題が生じやすい。一方、NOTTVは一般的な携帯電話基地局よりも災害に強い放送アンテナを使用しており、中継伝送路には衛星インフラも活用している。また放送メディアの特性上、輻輳も発生しない。この強みを生かして、帰宅支援地図や各種帰宅支援コンテンツをデータ配信したり、各避難所の状況をシフトタイムで配信して、必要な人が必要なときに観るといった使い方ができる。放送インフラの特性と通信サービスのような柔軟な機能性を持つNOTTVは、災害時メディアとして活躍するのではないかと思う。

 NOTTVはサービス開始まで時間があることもあり、料金体系や番組編成など、まだ見えない部分も多い。しかし、通信と放送の連携にはサービス/コンテンツビジネスの面で未踏の領域が多くあり、そこにスマートフォンやタブレット端末の爆発的普及が組み合わさることでさまざまなシナジー効果が生まれるだろう。NOTTVの挑戦を、期待を持って見守りたい。


提供:株式会社mmbi
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年11月13日

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

関連リンク