そして、もう1つ紹介されたのが、タイトーの「インベーダーケード」である。これは同社のアプリ「スペースインベーダー HD」と連携する周辺機器であり、iPadを懐かしのスペースインベーダーの筐体にしてしまうというものだ。
「我々はこのようなアクセサリ連動型アプリのことを『アプセサリ』と呼んでいますが、こういった新たなゲームが続々と増えている。これはiPadがシリーズを通して互換性を重視し、周辺機器を開発しやすいエコシステムを構築してきたからと言えるでしょう」(ブロドリック氏)
iPad向けにこうした新たなエンターテインメントが作られる一方で、従来型ゲームの展開も進んでいる。とりわけiPad 2ではデュアルコアCPUのApple A5が搭載されたことにより、「モダンコンバット3」などリアルで本格的なゲームも登場しているのだ。
「これらの(本格的でリアルな)ゲームに共通して言えるのが、iPad 2の性能をフル活用していることと、操作体系がiPad向けにうまくチューニングされていることです。モーションコントロールやマルチタッチスクリーンを使い、(ゲーム専用機のコントローラーなどとは違う)iPadでの快適な操作を実現しています。さらに一部のゲームアプリでは、Apple TVのミラーリング機能を活用し、マルチプレーヤーゲームを実現したものも登場してきています。こうした現状は、iPadが強力で、優れたゲームプラットフォームとして広く認められてきた証左だと言えるでしょう」(ブロドリック氏)
今回の取材においてブロドリック氏は、主にゲームなどエンターテインメント分野のアプリを中心にiPad 2の魅力と競争力の源泉について話した。しかし、iPad 2がファミリー層向けのプロダクトとして強いのは、その分野だけではない。iPad 2ではiTunes Storeによるコンテンツ配信が利用可能であり、とりわけiTunes Movie Storeでの映画販売はiPadの魅力底上げに大きく貢献している。
さらに筆者がiPad 2のファミリー利用でかなり有益と実感するのが、ビデオ電話サービス「Face Time」である。これはiPadやiPhone、iPod touchなどiOSデバイス同士で利用でき、世界中どこからでも高品質なビデオ電話が無料で利用できる。しかも、Skypeなどと異なり、iOSに機能が組み込まれているため、あまりネットに詳しくない妻や子どもも「普通の電話感覚」で簡単に使えるのだ。我が家では、筆者のiPhone 4Sと子どもたちのiPad 2でFace Timeを使ってビデオ電話をするのが、出張時の恒例となっている。
「iPad 2はポストPC時代のデバイスとして、誰もが簡単にApp Storeからアプリをダウンロードして、さまざまな用途で使えるものになっています。子どもたちの学習ツールにもなりますし、強力なゲームコンソールにもなる。主婦の皆さんには、キッチン向けのレシピ端末にもなるでしょう。もちろん、多くの企業がiPadを法人導入していることからも分かるとおり、とても使いやすいビジネスツールにもなります」(ブロドリック氏)
iOS 5とアプリの力により、家族全員のニーズに応え、しかもITリテラシーを問わず誰にも使いやすい。iPad 2が「最高のクリスマスプレゼント」と評される背景には、同機がポストPC時代のデバイスとして入念に作られ、そのコンセプトが着実に成功していることがある。とりわけファミリー層は、そのメリットを実感しやすい。これはアメリカ市場のみならず、iPad向け日本語アプリが着実に増えている日本市場も同様である。
家族を笑顔にするスマートデバイス。その一面が、iPad 2には確実にある。今年のクリスマスプレゼントのリストがまだ埋まっていなければ、そこにiPad 2を書き込むことは検討の価値があるだろう。
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