インタビュー
» 2011年12月19日 09時00分 UPDATE

開発陣に聞く「DIGNO ISW11K」:すべての人に価値あるスマートフォンを――京セラが考える「本当の使いやすさ」とは (1/2)

京セラが満を持して国内市場に投入するAndroidスマートフォン「DIGNO ISW11K」。おサイフケータイやワンセグ、赤外線などケータイでおなじみの機能を盛り込みつつ、防水やWiMAXにも対応した意欲作だ。その開発背景を担当者に聞いた。

[平賀洋一,ITmedia]

 KDDIが発売した「DIGNO ISW11K」は、京セラが初めて国内市場に投入するAndroidスマートフォンだ。

photophoto 「DIGNO ISW11K」

 京セラのAndroid端末と言えば、小型・軽量モデルの「Zio」や2画面タッチパネルの個性派モデル「Echo」が北米を中心に展開されている。こうした海外モデルはワイヤレスジャパンなどで公開展示されて京セラ製スマートフォンへの期待は高まっていたが、国内キャリアから登場することはなかった。

 今回、KDDIがauの2011年冬モデルとして発表したDIGNO ISW11Kは、防水ボディに4インチのワイドVGA(480×800ピクセル)有機ELディスプレイを搭載。おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信を筆頭に、auのEメール(〜@ezweb.ne.jp)とCメール(SMS)にも対応し、緊急地震速報やWIN HIGH SPEED、グローバルパスポートCDMA/GSMなど、全部入りといっても良いほど機能やスペックが充実している。また、ボディの厚さが約8.7ミリと、防水でWiMAX対応でありながら薄型なのも魅力だ。

すべての人に価値ある1台を DIGNOブランドで海外展開も

 そのDIGNO ISW11Kについて、商品企画を担当した京セラ 通信機器関連事業本部 マーケティング部 国内商品企画部の黒木薫氏と、デザインを担当した同事業本部 デザインセンター デザイン戦略課の八谷英俊氏に、開発背景を聞いた。

photo 京セラの黒木氏(写真=左)と八谷氏(写真=右)

 前述のように、京セラは海外市場で個性的なスマートフォンを打ち出す一方、国内のau向けには、簡単ケータイやシンプルなエントリーモデル、法人向け端末など、幅広いユーザーを視野に入れたラインアップ展開を行ってきた。このDIGNO ISW11Kというスマートフォンは、どんな位置付けの製品なのだろうか。

 「スマートフォンが普及したといっても、まだまだ従来の携帯電話をお持ちのユーザーも多い。今回の冬モデルでは、まずは安心してスマートフォンに乗り換えてもらえるような製品として開発しました。フィーチャーフォンで当たり前の防水やワンセグ、おサイフケータイなどをサポートして、WiMAXやGSMなども盛り込むことで、オールインワンスマートフォンとして選んでもらえると考えています」(黒木氏)

 初めてのスマートフォン向け――というと、エントリーモデルという印象もあるが、DIGNO ISW11Kが想定するユーザー層は幅広く、WiMAXやWIN HIGH-SPEEDのサポートやデザイン性の高い薄型ボディなど、ハイエンド・ハイスペック志向のガジェットユーザーの要望にも応えられるスペックを持っている。この製品の位置付けについて黒木氏は、DIGNOのブランド戦略が根底にあると話す。

 「“DIGNO”とはポルトガル語で“価値がある”という意味です。ユーザーにとって価値のある、パートナーのような存在にしたい。DIGNOというブランドは、そういうスマートフォン展開を目指しています。ISW11Kは第1弾のモデルですが、それだけに特定のユーザーの方だけを視野に入れることはしていません。まずは、すべてのユーザーに選んでいただけるようなスマートフォンとして開発しました」(黒木氏)

サイズとカラーにこだわった、さりげない“個性”

 スマートフォンのボディサイズは大型化する一方だが、携帯端末として扱いやすいか? という疑問も残る。DIGNO ISW11Kは、今回発表されたWiMAXスマートフォンで最薄の約8.7ミリという厚さを実現した。

 「京セラはフィーチャーフォンで薄型化にこだわってきました。この強みである薄型化を実現しながらも、さまざまな機能を凝縮しよう。そういう狙いがありました。4インチの有機ELについても、美しいディスプレイを使っていただきたい。そういうコンセプトで採用しています」(黒木氏)

photo DIGNO ISW11Kの側面

 使いやすさの面で重視されるのはサイズだけではない。デザインを担当した八谷氏は、「意匠面だけでなく、モノとして使いやすい有り様とは何か。それを考えながらデザインしました」と振り返る。端末の角は適度に落とされて手の収まりがよく、初めてスマートフォンを使う人でも使いやすいよう、ホームキーなどは物理キーを採用している。

 「製品が手のひらにどう収まるのか。単に薄くするだけでなく、快適に使えるサイズ感を確認するために、スケッチやモックアップで、かなりのパターンを考えました。例えば、スマートフォンは縦にも横にも持つので、タッチパネルディスプレイは真ん中にあったほうが使いやすいと考えられます。しかし、さまざまなデバイスを搭載するため、理想的な位置に収めることが難しい」(八谷氏)

 設計や商品開発、デザインと、各担当部署が理想とする要望は、技術的に可能な落としどころを探って1つ1つ解決していった。その結果、「内部にもう余裕は無いです」(黒木氏)というくらい、DIGNO ISW11Kは極限まで薄型化のための設計が行われている。それに加えて、いわゆる意匠面でのデザインにも、DIGNOとしてのコンセプトが貫かれた。

 「まずはシンプルであることを求めました。当社国内初のAndroidですので、個性を出す方向性も考えました。しかし、それが多くのユーザーの望むものなのかという所から考え、DIGNO ISW11Kではベーシックなフルタッチスマートフォンのデザインを狙っています。ただ、端末に愛着をもってもらうために、デザインにほどよい個性を持たせました」(八谷氏)

 その1つが、側面のデザイン処理。厚さ約8.7ミリという端末側面をさらに3分割し、それぞれ色味を変えている。ボディカラーはグラファイトブラック、オリーブグリーン、ブロッサムピンクを用意しており、3色とも正面部、中間部、背面部で質感を変えている。この3層構造を採用することで、端末をさらに薄く見せる効果が生み出され、また見る角度によって微妙にカラーリングの表情が変わる、飽きのこないデザインを実現した。

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