肝心の使い勝手(UI)だが、以前のシャープ製Android機の特徴だった「TapFlowUI」ではなくなった。
カメラを起動すると、上下(あるいは左右)にアイコンがずらっと並ぶデザインに。TapFlowアイコンが1つあるだけだったシンプルな操作系に比べると極めて普通だ。どっちがとっつきやすいかというと、SH-01Dの方だろう。個人的にはTapFlowのデザインや思想は好きだったんだけどなあ。
アイコンは(横位置の場合)、上から撮影モード、画像サイズ、AFモード、セルフタイマー、各種設定。普通、ライトのオン/オフは分かりやすい場所にあるものだが、SH-01Dでは「ライトは普段はオフで撮りましょう」と言わんばかりに各種設定の中にある。それでよいと思う。
面白いのはブログモード。アップロード先を登録しておくと、撮影した写真をその場でアップできるのだ。Google+を使っていれば撮るたびにバックグラウンドで自動的に上げてくれるんだけれども、それ以外の活用をしたい人に。
基本的な撮影方法は従来通りだ。顔を見つけたら自動検出をするし、画面上のタッチしたところにピントが合って自動追尾してくれる。タッチシャッターをオンにすれば、タッチしてからすぐ撮影してくれる。指を左右にスライドさせるとデジタルズーム、上下にスライドさせると露出補正ができる。このへんの操作系は滑らか。で、撮影はさすがデュアルコアCPUだなあというレベルで、待たされることなくサクサクと撮れる。これはよい。
カメラ機能自体はシンプルで、色鉛筆や魚眼、フレーム、ミニチュア風といった特殊効果は再生用のギャラリーアプリで行う。ただ、フルサイズのままだと編集できない。編集時にフルサイズはダメといってリサイズさせられるのだ。最初にダメって言われると気分的によくない。ここは編集した後、保存するときにリサイズすればいいだけじゃないかと思う。そんな感じである。
確かに光学式手ブレ補正の効きはいい。フラッシュが非力な分、光学式手ブレ補正の有無は重要なのだ。室内での多くの写真が手ブレしちゃう現状では特にそうである。ディテールの描写力も素晴らしい。1210万画素らしい絵を見せてくれる。
でもカメラ性能全体で見れば、やや期待はずれだったかなあ。
2011年に「これはよく撮れる」と感じたスマホのカメラはソニエリのXperia arc/acroとAppleのiPhone 4Sがトップ2で、少し後にSamsungのGALAXY S IIだった。SH-01Dがその一角に食い込んでベスト4を形成してくれると期待してたのだが……。
具体的にはヒット率。ホームランは多いけど、打率があまり高くないというか、得意なコースはすごいけど苦手なコースがあるというか。光の状態がいいときはめちゃきれいな写真を撮れるのだけど、そうじゃないと階調や色調に不安定さを感じる。CCD時代に見られた色ノリの良さが影を潜めたのも残念な点。まあ、このクラスのスマホのカメラは要求されるレベルも上がってるのだ。
冒頭で「本職デジカメがスマホに勝てるのは光学ズームと明るいフラッシュと光学式手ブレ補正くらい」と書いたが、それにもう1つ「長年デジカメを作り続けてためこんだ絵作りに関するノウハウ」も追加すべきだな。
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