7日には電気通信事業者協会(TCA)が、1月の携帯電話純増数を発表した。既報のとおり純増数1位はソフトバンクモバイルで、22万6600となる。2位のKDDIは18万1100の純増で、MNPのポートインは全キャリアで最多となる5万3300だった。その他のキャリアについては、以下の数値を参照してほしい。
グループ名 | 2012年1月純増数 | 累計 |
---|---|---|
NTTドコモ | 8万5800 2in1:−1万1200 |
5971万200 2in1:30万8000 |
KDDI | 18万1100 | 3447万9000 |
ソフトバンクモバイル | 22万6600 DN:−900 |
2806万1900 DN:2万5600 |
イー・アクセス | 非公開 | 非公開 |
携帯総計 | 49万3500 | 1億2225万1100 |
この発表では、ドコモのISPサービスであるiモードやspモードが純減していたことも話題を呼んだ。原因を端末のラインアップや1月に発生した通信障害に結びつける声も聞こえてきたが、実は純減の仕組みはもっとシンプルだ。大きな理由は、spモードの契約形態の変化にある。2011年11月18日にドコモは「dメニュー」を開始し、同時にiモードからマイメニューの引き継ぎが可能になった。このタイミングで、spモードの契約が2種類に分かれている。ドコモ広報部によると、「spモードには、iモードを同時に契約できるタイプと、spモード単独でしか契約できないタイプが存在する。マイメニューの引き継ぎなどができるのは後者のspモード」とのことだ。一部ドコモのサービスも、新spモードでしか利用できない。
もちろん、前者の旧spモードもそのまま残っており、「店頭でもお客様の意向に合わせた案内をしている」(広報部)が、実際にはiモードの契約を残すユーザーは、秋冬モデル登場以降、徐々に減っているようだ。ドコモも「スマートフォンのご利用が浸透した結果、iモードを外す方が増えている」(広報部)と認める。「ISPセット割」が適用され、spモードを単独で契約する場合と料金が変わらなかったため、“保険”として2つをセットで利用するユーザーが多かったが、その必要がなくなってきたというわけだ。特に秋冬モデルのラインアップが充実してきた1月に、こうした傾向が顕著に表れ、純減につながってしまったと考えられる。逆に、1回線につき2契約のISPがカウントされていた今までの純増数が、実態を正確に反映していなかった数値ともいえそうだ。
いわゆる携帯電話やスマートフォンの範ちゅうに収まらない商品も増えており、純増数がキャリアの勢いを正確に示す数値ではなくなりつつあることは多方面で指摘されている。以前は比較的実情に近いと考えられていたISPの契約数についても同様で、何を示すデータなのかが分かりにくくなっている。業界を挙げて、キャリアの勢いを表す、新たな指標を作るべき時期が来ているのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.