インタビュー
» 2012年04月03日 12時30分 UPDATE

Facebook×KDDI:「ソーシャルディスカバリー」をもたらすSNS×スマホの可能性 (1/2)

KDDIとFacebookという、通信事業者とSNS大手の連携は大きな関心を集めたが、その後両者はどのような取り組みを行っているのか。現在は学生層向けの施策を中心にさまざまな展開を行っている両者に話を聞いた。

[園部修,ITmedia]

 KDDIとFacebookは2011年5月、提携を発表し、KDDIの各種サービスをFacebookの機能と連動させていくことを明らかにした。以来両者は緊密に連携を取り、さまざまな施策を行ってきた。

 例えば「au one アドレス帳」のデータやEメールの送受信履歴から友人を検索する機能を用意したり、ソーシャル電話帳「Jibe」の機能を強化し、「Friends Note」として提供したりしたのもその一環だ。携帯電話やスマートフォンのアドレス帳は、持ち主と関係を持つ人が記録された貴重なソーシャルグラフだが、これまでは端末の中にひっそりと保存されていただけだった。これがソーシャルネットワークサービス(SNS)という別のソーシャルグラフと結びつくと、より高い利便性と大きな広がりがもたらされる。

Photo Facebookのbusiness developmentを担当する森岡康一氏と、KDDI 新規ビジネス推進本部 オープンプラットフォームビジネス部 パートナーズ推進3グループ 主任の中嶋奈津子氏

 また学生をターゲットにした取り組みも積極的に行っている。KDDIは、Facebookを活用した新卒採用を行っているのはもちろん、学生生活を応援するサイト「DAIGAKU☆GRAFFITI」や、就職活動生向けの「就活生応援サイト」を立ち上げ、便利なWebサービスやAndroidアプリケーションなども開発し、提供しているほか、日本全国で開催される就職活動イベントなどにブースを出展し、スマートフォンの活用法や就職活動での使いこなし方をレクチャーしたりしている。

 両者がこうした活動を積極的に行う理由はどこにあるのか。Facebookのbusiness developmentを担当する森岡康一氏と、KDDI 新規ビジネス推進本部 オープンプラットフォームビジネス部 パートナーズ推進3グループ 主任の中嶋奈津子氏に話を聞いた。

Facebookが「必要」と感じてもらえるシーンとは

 Facebookは、言わずと知れた実名制をウリにするソーシャルネットワークサービス(SNS)だ。先般開催されたマーケティングイベント「fMC Tokyo 2012」では、Facebookの月間ログインユーザー数が1000万人を超えたことが明らかにされたが、今やmixiなどの国内大手SNSと比肩する規模に成長してきている。

 森岡氏は「2011年の前半くらいには、実名制のSNSは日本では受け入れられない、と言われていたこともありました。でも、この1年でFacebookは大きく成長しました。実名制が嫌だという人は減ってきているという印象ですね。Facebookを日々使っていただく中で、実名であることのデメリットとメリットを考え、メリットが勝っているとユーザーが実感し始めているのではないでしょうか」とその感触を語る。2012年はもっと実名制のよさが伝わっていくとみる。

 もともとFacebookは、大学生だったマーク・ザッカーバーグ氏が米国で立ち上げたサービスで、学生との親和性は高い。日本には留学経験や海外駐在経験のある人たちから日本に伝えられて広まった経緯もあり、当初は20代から30代のユーザーが多かったが、今後ユーザーの裾野を広げ、利用者を拡大するに当たって、実名制が生きるシーンにはどんなものがあるかを考えたとき「就職活動があった」と森岡氏。

 「名刺というとちょっと違いますが、就職活動というのは自分をアピールしていく場でもあるので、就職活動に活用してもらったらいいのではないか、と考えたのです。それがいいきっかけになって、20代前半から10代の若者に認知されると、さらに広がりができると思いました」(森岡氏)

 現在、Facebookでユーザー数の伸びが大きいのは20代の前半だという。前述の通り、これまでユーザーが増えるきっかけは海外と接点がある人、そしてその周りの人たちが中心だったため、どうしてもさまざまな人と出会い経験を積んだ20代後半から30代が多い傾向があった。しかし学生は新規に開拓しなくてはいけない。しかも若い世代は別のSNSを利用している率も高い。積極的に新しいSNSを使ってもらうためには、理由付けが必要だ。それが就職活動だった。

スマートフォンを使い始めるきっかけに

 一方KDDIには、学生を中心とした若年層でのプレゼンスが低下しているという認識があったという。そこを挽回するためには、学生時代にauのスマートフォンやサービスを積極的に使ってもらう理由が必要だ。

 中嶋氏は「ここ数年で学生にiPhoneが普及したこともあって、auが学生層には弱いという認識がありました。学生は、これからスマートフォンやいろいろなサービスを使い始めるタイミングです。使い始めてもらえれば、そこから長く使ってもらえるはずなので、効果的なアプローチをしていきたいと考えていました。そして、もともと提携をしていたFacebookさんと、目指すところが同じだと分かったので一緒に効果的なアプローチをしていこうということになりました」とその経緯を話す。

 2000年代の前半、KDDIは「ガク割のau」と呼ばれることもあったほど、学生には人気があった。それは、他社に先駆けて学生向けの料金割引プランを導入したからだ(現在は「ともコミ学割」として料金が安くなる学生向けのキャンペーンを実施している)。月々の利用料金に敏感な学生層には、通話料が大幅に安くなることもあり好評だった。

 しかし、スマートフォンの拡大期にKDDIは、他社の後塵を拝してしまったという反省があるという。そこでスマートフォンが普及する中で、SNSの活用が広がるところに着目し、スマートフォンの利便性を訴求しつつ、SNSを利用した就職活動の啓蒙に取り組んだ。

学生向けのサービスやアプリを共同で展開

 FacebookとKDDIの共同の取り組みは、冒頭でも紹介したように主にWebサービスやアプリと就職活動イベントでの啓蒙活動が中心だ。具体的には、学生向けの情報サイトや就活生応援サイトを立ち上げ、Facebookがアドバイスをしつつ、公開APIを利用したWebサービスをKDDIが作り、提供したり、Androidスマートフォン向けのアプリを提供したりしている。例えば同じ業界や職種を志望する就活フレンドの中でも、最も自分とマッチする人を見付けてくれる「奇跡の就活フレンド」。また、自分のFacebookの友達から、自分の長所や短所を教えてもらって自己分析に役立てられる「ソーシャル他己診断」なども用意。新卒採用を行っているFacebookページなども紹介している。

 「私自身も、就職活動をしていたときにこういうものが欲しかった、と思います。就職活動は孤独なイメージがありますが、キャンペーンのメッセージにもあるとおり『ひとりだけどひとりじゃない 就活は君の仲間が増えるチャンス』なんです」(中嶋氏)

 ちなみに、今や学生向けの必須ツールとなっているLabitのアプリ「すごい時間割」も、FacebookとKDDIのDAIGAKU☆GRAFFITIキャンペーンをきっかけにAndroid版とFacebookアプリが登場。このアプリを入り口としてFacebookを使い始めた人も多いという。

PhotoPhotoPhoto 全国各地で開催されている就職活動生向けイベントなどにブースを出展して、学生向けにスマートフォンとSNSの啓蒙活動に取り組む
PhotoPhoto DAIGAKU☆GRAFFITIやtalk.など、大学生や就職活動生向けのサービスやアプリも協力して開発している
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