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» 2012年04月26日 01時22分 UPDATE

“auモメンタム完全回復”を宣言、3M戦略の立ち上がりも好調――KDDIの田中社長

「期初に掲げた4つのKPIが劇的に改善し、auモメンタムは完全回復した」――決算会見に登壇したKDDIの田中社長は、こう宣言。年明けから本腰を入れ始めた3M戦略も好調に推移していると自信を見せた。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏

 「期初に設定した『au解約率』『MNP』『純増シェア』『データARPU』という4つのKPIが劇的に改善した。auモメンタムは完全回復した」――。2012年3月期の決算会見に登壇したKDDI 代表取締役社長の田中孝司氏はこう宣言し、“auらしさ”の復活に自信を見せた。

 新たなビジネスモデルの創出に向けて打ち出した「3M戦略」の各種新サービスも順調に立ち上がり、好調な業績を後押し。2013年3月期は幸先のよいスタートとなった。

 2012年3月期の連結決算は、売上高が3兆5721億円(前期比0.4%増)、営業利益が4776億円(前期比1.2%増)の増収増益。売上高が4期ぶりに増収に転じたほか、売上高、営業利益、経常利益が期初見通しを上回るなど、業績は好調に推移している。

auモメンタムが完全回復

 スマートフォンで出遅れたKDDIが、「何としてもauモメンタムの回復を成し遂げたい」という田中氏の指揮の下で復活ののろしを上げたのが2011年の初頭。以降、同社は矢継ぎ早にスマートフォンの新モデルを投入して巻き返しを図ってきた。

 解約率は、過去最低水準の0.66%(通期)まで改善され、MNPは6カ月連続で純増トップを獲得。純増シェアは通期で27.2%となり、4Qには33.4%と大幅に増加した。データARPUも前年比で240円増を達成している。

 スマートフォンの販売台数は期初に目標として掲げた400万を大幅に上回る563万に達し、総販売数の41%をスマートフォンが占めるまでに成長。この好調なスマートフォンシフトを支える要素の1つとなっているのがiPhoneだ。KPI改善への貢献度について聞かれた田中氏は「非常に大きいと認識しており、満足している」と説明。同社が販売するスマートフォンのうち、iPhoneのシェアがどの程度なのかという質問には、具体的な数字は分からないとしながらも「週当たりで低いときには10数%、高いときには40%近く」と答えている。

 なお、211万という通期の純増数は、「auが好調だった2008年3月期なみの高水準」(田中氏)。こうしたさまざまな要素から、auモメンタムの完全回復を宣言した格好だ。

sa_kd20.jpgPhoto 解約率とMNPの推移

sa_kd23.jpgPhoto 純増シェアとデータARPUの推移

Photo スマートフォン販売台数の推移

“固定とセットで携帯割引”プランも好調

 スマートフォンへのシフトを進めると同時に、KDDIが2012年の年明けから本腰を入れ始めたのが「3M戦略」だ。これは、同社が新たなビジネスモデルの創出を目指すもので、“マルチネットワーク、マルチデバイス、マルチユース”を生かしたサービスを展開する計画だ。

 この第1弾として提供を開始したのが、固定通信サービスとスマートフォンをセットで申し込んだユーザーに対し、スマートフォンの月額利用料を毎月1480円割り引く「auスマートバリュー」。3月末時点の契約数は、auの契約数が66万(世帯数44万)と好調で、MNPを利用した加入者も多いという。また、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行を検討するユーザーの“スマホにすると、月額利用料が上がる”という不安を軽減するのにも一役買っているようだ。

 3月1日にサービスを開始したスマートフォンユーザー向けコンテンツサービスの「auスマートパス」も、1カ月で50万会員を突破するなど、「こんなに短期間で有料サービスが伸びることはなかった」(田中氏)というほどの好調なスタートを切っている。

 4月からスタートしたばかりの2013年3月期については、3M戦略を本格化させて競争優位性を確保する考え。また、同社の強みであるマルチネットワークを生かし、高速で快適な通信環境を提供することで、新時代の事業を成長をさせたいとした。

 今期のスマートフォンの販売目標については、端末の総販売台数見込み(1180万台)の約7割にあたる800万に設定。auの純増数は「競争激化を見込んで少し保守的な210万を確実に達成したい」(田中氏)と話している。

sa_kd40.jpgPhoto スマートバリュー、スマートパスといった施策も好調に推移している

事業セグメントは3M戦略に即したものに再編

 なお同社は、今期から3M戦略を本格化するのに伴ってモバイルとブロードバンドを組み合わせたサービスが増えることから、新たなセグメントに再編することも明らかにした。

 従来の「移動通信」「固定通信」「その他」という3つのセグメントから、「パーソナル」「バリュー」「ビジネス」「グローバル」「その他」という5つのセグメントに再編。売上構成比の約7割を占める家庭/個人向け通信サービス分野の「パーソナル」では、auスマートバリューをフックに契約数の拡大を目指すとし、今期末までの目標としてスマートバリュー適用のau契約数を310万、世帯数を155万に設定している。

 家庭/個人向けコンテンツサービスや決済サービスを提供する「バリュー」セグメントでは、auスマートパスの会員数拡大が戦略の軸になると田中氏。そのための施策として、“390円でアプリ取り放題”のauスマートパスの上に、定額聞き放題の音楽サービスや定額見放題のビデオサービスなどを追加するほか、対応端末をPCやテレビ、タブレット端末に拡大することで、今期末500万会員の獲得を目指す。

sa_kd30.jpgPhoto 3M戦略に合ったセグメントに再編

sa_kd32.jpgPhoto パーソナル、バリューセグメントの事業戦略

sa_kd34.jpgPhoto ビジネス、グローバルセグメントの事業戦略

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