前回はみまもりケータイのハードウェア的な特徴をご紹介した。今回は運用面でのポイントを見てみよう。みまもりケータイは、一応通常の携帯電話と同じように販売店経由で回線契約とともに購入するものであるが、初期設定は販売店で行なう必要がある。
1つはオーナー設定だ。「みまもりケータイ 005Z」の場合、ボタンが1つしかないので、子どもからの発信は1カ所に限られる。その相手が「オーナー」となる。オーナーとなる携帯電話はソフトバンクモバイルとディズニーモバイルのものに限られるが、フィーチャーフォンでもスマートフォンでも登録は可能だ。
もう1つ特徴的な機能として、「位置ナビ」の設定がある。これはオーナー側の電話から、みまもりケータイの位置が確認できるというサービスだ。これにはオーナー側の契約として「S!ベーシックパック」(月額315円)と、「位置ナビ」(月額210円)の加入が必要だ。「S!ベーシックパック」はMMSの送受信に必要なので、通常はすでに契約しているはずである。追加として位置ナビの210円の加入が必要になる。なお1回検索するごとに、検索利用料として5.25円かかる。
ところがこの位置ナビの利用開始までが、ややこしい。この機能を生かすためには、同時に「指定先操作ロック」の申し込みが必要になる。指定先操作ロック自体は無料サービスだが、この申し込みはソフトバンクショップでしか申し込みができない。筆者のように量販店で買った場合は、その場で申し込みできず、後日ソフトバンクに出向く必要があった。
ソフトバンク広報によれば、この設定がソフトバンクショップでしか行なえないのは不便だとして、量販店でも設定できるようになっているそうである。しかし筆者が購入した販売店では、店員さんが端末と15分も格闘したあげく「うちではどうもできないようだ」ということだった。販売店かソフトバンクか、どちらかの努力が足りんということであろう。
指定先操作ロックは、名前からしてケータイを紛失したときなどにリモートで操作ロックをかける機能だとばかり思っていた(初出時にはそのように書いていた)が、ソフトバンク広報によれば「名前は操作ロックだが、子どものケータイの設定メニューを保護者のケータイから閲覧・編集する機能」の事なんだそうである。分かるかそんなもん!
筆者が想像するに、リモートで操作ロックする機能を利用して、みまもりケータイの設定を行なっているということなのではないかと思うのだが、カタログやサイトの説明が不十分で、さっぱり意味が分からない。みまもりケータイのためにサービスを整備したり、文言をさいて詳しく説明することなど、めんどくせえということなのだろうか。
確かにこのサービスは、どちらかというと福祉的な意味合いが強く、キャリアが課金で儲かるようなものではない。だからといって、現状で動いてんだから我慢しろよということなのだろうか。おそらくみまもりケータイに関しては、これまできちんとしたレビューがされてこなかったのもひとつの原因だろう。今回の記事をきっかけに、少しでも消費者と子どものためにプラスになるよう事態が進むことを願ってやまない。
みまもりケータイ 005Zにはボタンがひとつしかないため、本体の設定が本体操作ではでできない。本体でできるのはマナーモードへの切り替えや着信音量調整ぐらいである。それ以外の設定は、ソフトバンクのWebサービスである「My SoftBank」にログインして行なう。
作りは普通のケータイなので、固有の電話番号も持っているが、みまもりケータイ側からはオーナー宛にしか発信できないことはすでに述べた。一方着信は、20回線まで登録でき、これ以外の番号からの着信はしない。
オーナーの変更は、オーナー番号のMy SoftBankからはできない。改めてみまもりケータイの番号からMy SoftBankに入ると、オーナー番号が変更できる。ただ、みまもりケータイの番号でログインするためのパスワードが郵送でしか届かないため、契約してからパスワードが届くまでは、変更はできない。先日筆者が米国に出張する時に、出張先に電話がかかってきてもしょうがないのでオーナー番号を変更したかったのだが、間に合わなかった。
メール受信機能もないので、メールのトラブルとは無縁だが、メールの発信機能はある。子ども側からオーナーに発信すると、同時にSMSが送信され、現在位置情報がリンクとして貼られている。このリンクをクリックすると、ゼンリンの「いつもNAVI」というサイトが立ち上がり、発信位置が分かる。またケータイの緊急ブザーを引っぱると、通話しなくてもSMSで位置情報がオーナー宛に送られる。
なお前出の位置ナビは、オーナー側のアクションによって005Zの位置を知る機能だが、メール自動発信は005Z側からオーナー宛に位置を知らせる機能といえる。
着信モードは、自動と手動が選択できる。自動は3回ほどコールしたのち、自動的に通話状態になる。手動は通常の電話と同じで、子どもがボタンを押すまで着信音が鳴り続けるというモードだ。
どちらも試してみたが、自動モードでは子どもが出なくても、どんな様子なのか聞くことができる。ただ子どもが電話に出なければずっとそのままなので、連絡事項が伝えられないというデメリットがある。これはこれで使い道はあるので、自動と手動と電話番号のサブナンバーで鳴り分けができるなど、用途が瞬時に選べればより便利だろう。
運用してみた感想としては、携帯電話というよりは通話機能付き位置確認デバイスといった感じだ。携帯電話から機能を削ったというよりも、小学生低〜中学年向けに携帯電話技術を使って新設計されたデバイスである。
ただ運用する親側としては、設定をWebサービス側ですべて管理していくので、ある程度インターネットの知識がないと難しいだろう。どういう仕組みで動いているのかを理解していないと、普通のケータイと同じつもりいたらうまく使いこなせないと思われる。
映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia +Dモバイルでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。
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