5月21日は、九州南部、四国、紀伊半島、中部から関東までの、日本各地で金環日食が観察できる。時間は地域によって異なるが、早いところでは朝6時過ぎから太陽が欠け始め、9時前まで日食が続く。金環食が観察できる地域では、7時過ぎに食の最大を迎える。ちなみに東京では7時32分から7時37分の約5分間、金環食が観察できる。
この天文イベントは、そう頻繁に観察できる機会があるわけではないため、多くの人の関心を集めている。書店や家電量販店の店頭では太陽観察用の「日食グラス」も多数販売されており、「完売」といった掲示も見かけるようになった。
しかし、日食グラスさえ用意すれば日食観察の準備は万全か、というとそうではない。朝7時台の太陽がどこにあるのか、日食当日はどのように太陽が移動するのか、といったこともしっかり確認しておく必要がある。東の空が開けている場所なら、ほぼ問題なく観察できるだろうが、都市部で家のベランダなどから観察しようと考えている人は、ビルや高木などが障害となり観察ができない可能性があるからだ。
そんなとき便利なのが、AR(拡張現実)機能で日食をシミュレートできるスマートフォンアプリだ。カメラを立ち上げ、5月21日の朝、日食が見られる方向にスマートフォンをかざすと、障害物の有無や見るべき方角、見上げる角度などが確認できる。
iOS向けには、アストロアーツの「金環アプリ2012」や倉持義一氏の「金環食2012」といったアプリが無料で提供されており、観察場所の選定の際に役立ちそうだ。いずれのアプリも自分の現在地情報などを取得したのち、カメラを起動すると矢印で太陽の方向を指し示してくれるほか、空に向かってiPhoneなどをかざすと金環食状態の太陽の位置なども表示する。
Androidには、残念ながらAR機能を持った無料アプリは見付からなかったが、TSOFTの「金環日食シミュレーター2012」を購入すれば同等のAR機能が利用できる。価格は500円とちょっと値が張るものの、事前に予習したい人は購入しておくといいだろう。なお、このアプリは動作確認されていない機種もけっこうあるため、購入後すぐに機能をチェックしたほうがいい。うまく動かなかった場合は、購入から15分以内なら返金手続きが取れる。AQUOS PHONE SH-06DではAR機能がうまく利用できなかった。開発者は可能な限りの対応はしてくれているようだが、
なお、観測時はくれぐれも太陽を直接見たりしてはいけない。太陽を肉眼で注視するのは大変危険なので、太陽の方向を確認するときには「太陽観測用」のグラスを利用すること、カメラを介して見る際にも、適切なフィルターを装着することなどの手段を講じた上で、長時間見ないことを心がけてほしい。
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