デザインと使い勝手で“URBANO”の世界観をスマホで表現開発陣に聞く「URBANO PROGRESSO」(2/3 ページ)

» 2012年06月13日 18時15分 公開
[房野麻子,ITmedia]

シングルコアでもハイパフォーマンス

ITmedia OSがAndroid 4.0になって、デュアルコアCPUを搭載する端末が多かったと思うのですが、URBANO PROGRESSOはDIGNO ISW11Kと同じシングルコアですね。デュアルコアにする必要はなかったということなのでしょうか。

大西氏 DIGNO ISW11Kを出したときも、デュアルコア端末が多く出ていましたが、シングルコアでパフォーマンスを追求して使いやすい操作感を実現し、実際にユーザーの方から高い評価をいただいています。今回のモデルを検討するにあたっても同様にパフォーマンスを追及し、ISW11Kと同等以上の操作感を実現しております。

photo 製品企画を担当した大西氏

ITmedia Android 4.0の標準的なインタフェースでは、ホームキーなどがセンサー式になりました。その割には今夏モデルはAndroid 4.0なのに物理キーを採用したモデルが多いと感じます。メーカーやブランドによっては「キーの仕様は決まっているので変えない」と明言しているところもありますが、URBANO PROGRESSO(DIGNO)としてはどういう考え方で物理キーを採用したのでしょうか。

大西氏 この商品のターゲットは30代から50代のビジネスマンですが、その中でも特に、フィーチャーフォンを使っている方が乗り換えで購入していただけるのではないかと思っています。まるっきりフルタッチ操作にするよりも、ある程度物理キーがあると安心感があると思い、このモデルでも物理キーを残すことになりました。スリープ状態でもホームキーを押すと復帰しますし、「BACK」「HOME」「MENU」の文字表記も分かりやすいと思います。

photo Android 4,0のタスク一覧はホームの長押しで確認できる

 また、本来、Android 4.0の場合はBACK、HOME、TASKですが、このモデルではTASKをMENUにしています。フィーチャーフォンでは、表示中の画面でできることをサブメニューで呼び出していく構造なので、それとの整合性を考えてMENUにし、各画面で使える機能を出すことにしています。これも使いやすさの取り組みの1つです。

ITmedia ISW11K同様、このモデルもヘッドフォン端子を搭載していませんね。変換ケーブルを使うかBluetoothヘッドセットを利用することになりますが、ヘッドフォン端子はどうして搭載されないのでしょうか。

大西氏 URBANO PROGRESSOは端末のサイズ感を優先させたモデルです。手になじむ感覚や持ちやすさを大事にしていて、極力要素を落とすようにしています。一方で、ヘッドフォン端子がほしいという要望はいただいていますので、今後のモデルではそれも含めて検討していきます。

新搭載の「スマートソニックレシーバー」とは

ITmedia 「簡単ケータイ K012」とともに新たにスマートソニックレシーバーが搭載されましたが、どういう原理で聞こえるのですか。

水田氏 本体内に入っている圧電素子が、振動をディスプレイパネルに伝えて、音と振動により相手の声が聞こえています。圧電素子は世の中にたくさんあって、パネルスピーカーやパソコンにも同じような圧電素子が使われていたりしますが、今回搭載しているものは、弊社の部品部門が、KDDI様協力のもと、この携帯端末のレシーバー用に開発したものです。受話口がなく、パネル全体で音を出していますので、受話口の位置を探す必要がなく、携帯端末を耳に当てたらすぐ音が聞こえるのが一番のメリットだと思います。さらに、騒音下でも耳をふさぐように携帯端末を当てると、聞こえますので、聞き取りやすいというメリットにもつながっています。

photo スマートフォンへの搭載は世界初の「スマートソニックレシーバー」。タッチパネル全体が振動して耳に音声を伝える。URBANO PROGRESSOには通話用スピーカーの穴が存在しない

ITmedia 振動によって音が伝わるというと骨伝導スピーカーがありますが、それの仕組みとは違うのでしょうか。

水田氏 振動だけではなくて、音と振動の両方で音を伝えるというのがスマートソニックレシーバーの基本的な考え方ですので、必ずしも振動だけで聞こえているのではありません。今までの受話口と同じようにディスプレイから音も出ています。さらに振動もしているので、耳に当てると振動も伝わり、人に対しては音と振動がミックスされて伝わっています。

ITmedia 背面のような、ディスプレイパネルではないところを当てても聞こえるのですね。

水田氏 確かに、ディスプレイの振動が背面にも伝わっているため、ある程度、音は聞こえると思います。しかし、スマートソニックの最大メリットである「聞こえやすい」という特長を十分に生かしきれませんし、マイク位置が適切ではないので、

実際の通話には適していません。背面での利用はおすすめしません。

ITmedia やはりディスプレイの中央部だとよく聞こえますが、圧電素子はディスプレイの中央に入っているのですか。

水田氏 詳細な場所をいうことは控えたいのですが、パネルの裏に付いているとご理解いただいて間違いないです。従来モデルはディスプレイ上部の受話口の位置と耳を合わせないと聞き取りにくかったのですが、今回は耳に当てて聞こえる範囲が広くなりました。

ITmedia スマートソニックレシーバーを搭載する上で難しかったのはどういう点ですか。

水田氏 従来モデルと同じように聞こえなくてはいけないということが1つあります。今回スマートソニックを搭載している簡単ケータイ K012のディスプレイ面はアクリルパネル、URBANO PROGRESSOはガラス。2機種とも基本的な考え方は同じですが、振動するものによる合わせ込みが難しく、搭載過程でのチューニングが別物になっています。こうした課題の上で、聞いた感じがこれまでと同じように聞こえるようにするのが難しかったところです。

photo スマートソニックレシーバーなど、技術面を担当した水田氏

ITmedia 以前、他社のフィーチャーフォンでフラットパネルスピーカーを搭載したモデルがありましたが、今回、京セラとしてこの2機種に導入された理由は何でしょうか。

水田氏 スマートソニックレシーバーには受話口がなく防水モデルのスマートフォンを開発しやすいということもありますが、弊社の部品部門がKDDI様の協力のもと開発を続けて、効率よく振動させるものが開発できましたので、実際に実機に搭載することになりました。

ITmedia スピーカーフォンにもできますか。

水田氏 スマートソニックレシーバー自体はスピーカーフォンのときは使われません。スピーカーフォンのときは、ほかのケータイと同様に着信音などが鳴る背面のスピーカーから音を出しています。

ITmedia 通常のスピーカーとスマートソニックレシーバーで電池の消費に違いはありますか。

水田氏 ほとんど変わりません。

ITmedia ディスプレイ全体で聞こえるといっても、周りにすごく聞こえるというわけではないのですね。

水田氏 そうですね。よく心配されますが大丈夫です。一般のスマートフォンと同等です。

ITmedia スマートフォンが出始めの頃、「フィーチャーフォンのときより音が聞きづらくなった」「受話音量を最大にしてもフィーチャーフォンほど大きくならない」という声を聞きましたが、そういった事実はあるのでしょうか。

水田氏 全部調べてはいませんが、恐らく出している音量はスマートフォンでも同じだと思います。考えられる要因としては、受話口の耳への当たり方がスマートフォンになって変わってきたことや、画面が大型化して受話口が端に追いやられたために聞き取りにくくなったことが挙げられます。受話口の位置を探さなくてはならなかったり、受話口が端にあると小さく聞こえてしまったり、というケースがあります。フィーチャーフォンはまだ耳当たりが考慮されているモデルが多いと思いますが、スマートフォンでそこが変わってきているのは事実だと思います。

大西氏 URBANO PROGRESSOは、耳に当てるだけでよく聞こえます。実機でぜひ試していただきたいですね。

使いやすさを追求したUIや新機能

ITmedia  URBANOはKDDIのブランドですので、キャリアからURBANO PROGRESSOに対して意見や意向はあったと思います。また従来のユーザーの希望や期待も意識されたと思います。フィーチャーフォンのURBANOから引き継いだ共通機能やユーザーインタフェース(UI)などはありますか。

大西氏 URBANOシリーズにはデザインと使いやすさという二本柱があります。使いやすさといっても、フィーチャーフォンとスマートフォンでは違ってきますので、必ずしも同じ機能を意識したわけではありません。フィーチャーフォンからスマートフォンのURBANOに買い換えていただくときに、抵抗なく使っていただけるような取り組みはしています。

 例えば「シンプルメニュー」。通常のAndroid端末ですと、ホーム画面からランチャーアイコンをタッチすると、ランチャー画面(アプリ一覧)が出て、左右フリックやスクロールでアプリを確認できます。しかし、シンプルメニューは従来のフィーチャーフォンと同じような3×4のマトリクス構成の1画面のメニューで、今までのフィーチャーフォンと同じような感覚で使っていただけます。カメラ、ワンセグ、電話帳など、基本的な機能はここにそろっていますので、従来の使い方であれば、この画面で完結できます。

 このシンプルメニューはオン/オフ設定ができまして、オフにすると直接ランチャー画面が表示されます。ランチャー画面も、検索、カメラ、基本機能などのカテゴリごとにアプリを分け、使いたい機能を探しやすい構成にしています。

photophotophoto シンプルメニュー(写真=左)と、通常のアプリ一覧画面(写真=中央、右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年