YTLは、スマートフォンでも利用しやすいWi-Fiルータタイプも用意する。1台で最大5台までの無線LAN機器で利用できるので、複数台機器を所持する人や、家族や友人同士で共用利用するならこのタイプがよい。ルータ本体の価格は399リンギット(約9940円)だ。基本的にYTLでしか利用できないので少々割高感はあるが、複数人で共同購入すればその分割安になるだろう。
機器代金に加えて、ユーザーID(Yes ID)取得費用が50リンギット(約1245円)かかる。前述したUSBモデムセットはカードにIDとパスワード付きで販売されていたが、Wi-Fiルータタイプはマレーシア居住民と同様の一般的な契約となるので、別途料金を払ってIDを取得するスタイルとなっているようだ。最後に利用料金(残高追加)を支払う。料金プランは上記で挙げた従量課金制と2つの上限定額制、計3種類より選択する。Wi-Fiルータで利用するなら、68リンギットのプランがちょうどよいだろう。
なお、Wi-Fiルータタイプの場合はYes IDの登録作業などがあるためか、店頭スタッフがその場で手続きを代行してくれる。登録に必要な情報は、氏名、パスポート番号、ホテル/滞在場所の住所など。Yes IDとパスワードは自分の好きなものが指定できる。流れとしては、
となる。いずれも実作業は店頭スタッフが代行してくれるので、こちらは見ているだけでOK。ルータの初期ログインID/パスワードはどちらも小文字adminだった。
クアラルンプール市内でのYTL WiMAXサービスは、意外とかなり快適だ。
市内の繁華街やオフィス街は問題なく利用可能、3Gサービスより高速なことが多いのもメリットの1つだろう。ただし、絶対的なエリアはまだ3Gサービスのほうが広く、建物の奥や、鉄道の地下部分などでふとエリア外となるのは否めない。このあたりは日本の3GとWiMAXの状況と似ていると思ってよい。
クアラルンプール市内での実通信速度は下りが5M〜10Mbps、上りが1.5M〜2.5Mbpsといったところ。Mbps単位の速度が出るので、YouTubeなどのストリーミング放送や大容量のファイルの送受信もかなり快適だ。タクシーやモノレールといった比較的低速な乗り物での移動中であれば、そのあま途切れず利用できたりもする。
マレーシアでのWiMAXサービスは、安価で便利なUSBモデムタイプは基本的にPCのみでの利用に、Wi-Fiルータタイプは日本円換算で約1万円ほどとなる初期費用の高さが若干悩ましいところ。ルータタイプは2012年7月現在、年に数回マレーシアへ訪れるような人か、家族・知人など複数人数で共用したい場合に向いている。
ただ、開通に時間がかかる(ことがある)3Gでのプリペイドデータ通信サービスに対し、YTLのWiMAXサービスはUSBモデムもWi-Fiルータタイプも、購入後すぐ利用できた。さらに速度面に優れ、Web作業で残高追加ができる点も便利だ。ともあれ、WiMAXなど新世代サービスの海外プリペイド手段もかなり広く利用できるようになってきたものだ。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1000台に達した(2012年3月時点)。
マレーシア渡航時のデータ通信手段確保は、国内のレンタルルータ事業者を利用するのもおいしい手段の1つだ。
海外渡航者向けの海外対応データ通信機器をレンタルできるサービス「グローバルデータ」では、タブレットやスマートフォンなどでも便利に使えるWi-Fiルータ型は680円/日から、Windows/Macで利用できるUSBモデム型は480円/日よりレンタルできるカントリータイプ「マレーシア 定額プラン」(対象国A)を用意する。
レンタル申し込みは同社Webサイトで行える。機器の受け取りは、宅配か空港受取りにて。出発日2日前17時までの申し込み(成田、羽田は申し込み日が平日の場合、前日17時)で、出発当日に成田、羽田、関西国際、中部国際の各空港で受けとることも可能となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.