「PANTONE® 5 SoftBank 107SH」の放射線測定機能に開発者が込めた“技”と“思い”(2/2 ページ)

» 2012年07月30日 09時45分 公開
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ただ数値を表示するだけでない配慮も

 アプリ内には「放射線について」というガイドが用意されている。例えば、「放射線」と「放射能」の違いなど、放射線に関する分かりにくい用語をきちんと解説することで、ユーザーがより理解を深められるようになっているのである。また、年間に浴びる線量の目安の表示などに関しても、見やすく分かりやすい説明にこだわった。これらはすべて、慶応義塾大学SFCが展開する「Scanning the Earth Project」という団体の監修を受けている。


photophoto Scanning the Earth Project監修の下、放射線などに関する情報を分かりやすく解説している

 Scanning the Earth Projectは地球環境のデータを収集・提供するプロジェクト。放射線量の観測も行っており、このデータはYahoo! JAPANが掲載している「放射線情報」にも活用されている。こうした実績を持つScanning the Earth Projectとともに、文部科学省がホームページ上で掲載している放射線に関する説明なども参考にし、放射線測定アプリに関するあらゆる文言や情報を整理していったという。

 測定値以外の情報を画面で簡単に伝えられるのは、大きなディスプレイを持つスマートフォンならではの魅力だ。「測定した数値が表示されるだけでは、それが何を指すのか分からない場合もあると思いますので」と長沢氏は言う。だからこそ、アプリの要所要所で、表示中の値に関連したガイドが見られるよう工夫されている。

放射線測定モジュール搭載への障壁

 女性の小さな手のひらにもすんなり収まるコンパクトさが特徴の107SH。この小さなボディに放射線測定機能を搭載するために、さまざまな苦労があったという。まず問題となるのは、放射線を測定するセンサーモジュールをいかに小型化するかだった。

photo 実際のセンサーモジュール(左)と、その中身が見えるようにしたサンプル(右)。内部に見える2つの大きな四角い部品が、放射線を感知するセンサーだ。モジュールはSIMカード程度の大きさしかない
photo 右側が当初の試作モジュール。圧倒的に小型化された一方、センサー自体の大きさは変わっていないことが分かる

 「最初に作ったモジュールのサイズでは、スマートフォンに搭載することは到底不可能でした。そこで、放射線を測定するセンサーのサイズはそのままで、センサーをコントロールする周辺回路を1チップ化したんです」(河本氏)

 放射線測定モジュールはひとつずつ校正した上で端末に搭載される。というのも、作られるセンサーの感度にはさまざまなばらつきがあるためだ。そのばらつき具合を測定し、補正するのに必要な係数をメモリに書き込むという作業が生じるそうだ。

 電子回路が密集する携帯電話の中で放射線測定機能がきちんと動作するよう、センサーを搭載する場所も検討が重ねられた。「スマートフォンのなかにはいろんな電波が飛んでいるだけでなく、“振動”という大きな問題があります。例えば、スピーカーからの振動や着信中のバイブなど、端末自体が振動源を持っています」(長沢氏)。そのため、こうしたデバイスから放射線測定センサーをある程度遠ざけられるように基板を設計したという。

 このようにさまざまな苦労と手間の末に実現した携帯電話の放射線測定機能――これが、高価なハイエンドモデルではなく、手頃な価格の107SHに搭載されるという点は、注目に値するだろう。107SHは“手頃な価格とパフォーマンスの両立”を高いレベルで実現すべく、コストと機能のバランスを考えた設計がなされている。例えばCPUには、「GALAPAGOS SoftBank 003SH」から採用しているQualcommのSnapdragon MSM8255を採用。「こうした選択により、プラットフォーム開発費を削減できました。あとは技術者の血と涙、そしてソフトバンクさんの努力により、107SHへの放射線測定機能搭載が実現できたと考えています」(河本氏)

自社開発だからこそできたハードとソフトの連携

photo 実機を手に機能のこだわりを説明する長沢氏と河本氏

 センサーモジュールとソフトウェアが緻密に連携している点も、特筆すべきポイントだ。例えば、先述の通り正確な測定を行うためには、振動の影響をなるべく排除する必要があるのだが、107SHでは着信などによりバイブが発生した際に、放射線測定を一時停止するなどの工夫が施されている。こうして、誤差の激しい測定結果がなるべく出ないようにしているのだ。ハードウェア開発者とソフトウェア開発者が密に協力したからこそ実現した、細やかな機能制御といえよう。

 こうしたこだわりは常時測定機能にも生きている。常に放射線を測定するということは、コンスタントに電力を消費することも同時に意味しているが、開発者の努力により常時測定機能の消費電力は非常に低く抑えられている。「一般的な使い方では、常時測定をオンにするかオフにするかで、バッテリー消費の差は5〜6%程度に留まるようにしています」(河本氏)

 そもそも、モジュールを小型化することでも十分に小電流化、省電力化は図られているという。107SHではこれに加えて、端末の状況に合わせてソフトウェアの動作を変更し、バッテリー消費を極力抑えている。具体的には“ディスプレイが点灯している場合”“ディスプレイが消灯している場合”といった変化に応じて、「放射線量の算出アルゴリズムを切り替えて」(長沢氏)、省電力を図っているそうだ。また、点灯/消灯に応じて急にアルゴリズムを切り替えるのではなく、さらに別のアルゴリズムを用いて移行期間を用意するなど、細かな機能制御が施されているという。

 こうした工夫は、モジュールが自社開発だったからこそ実現できたと長沢氏は振り返る。「どういう仕組みで動いているのか、詳細な部分まで把握できていないと、ソフトウェアも含めたここまでの省電力化はできなかったと思います。モジュールの開発部署と連絡を密に取り合えたからこそ、こうした仕様にできました」(長沢氏)


 放射線の測定は多くの一般ユーザーにとって、あまり馴染みのない行為だったろう。しかし携帯電話にその機能が搭載されたことで、手軽に測定ができるようになった。原発事故によって不安を募らせるユーザーも多くいるだろうが、一方で放射線は自然界に当たり前に存在するものでもある。アプリを通じて数値を知り、また放射線に関する正しい知識を得ることで、「漠然とした不安を抱えた人たちが、安心感を得られればいいなと思っています」と河本氏。また、長沢氏はこう話す。「私は東北出身なので、このプロジェクトへの参加を自ら立候補したんです。気合いを入れて開発した端末なので、より多くの方に使っていただきたいですね」

 開発者たちの思いが詰まった、エポックメイキングなスマートフォン「PANTONE® 5 SoftBank 107SH」――店頭で見かけた際には、ぜひ一度手に取ってみてほしい。

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