「ケータイ」を肌身離さず持ち歩く「ライフツール」へ進化させたドコモNTTドコモの20年(後編:2002〜2012)(2/3 ページ)

» 2012年07月31日 18時00分 公開
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900iシリーズの登場でFOMAがメインストリームに

 2004年2月は、FOMAの歴史の転換点だ。このときまでFOMAは、次世代のサービスを標榜していたが、バッテリーの持ちやサービスエリア、端末バリエーションに課題があった。型番も、多くのドコモユーザーが慣れ親しんだ3ケタの数字ではなく、2001/2002シリーズ、2101/2012シリーズ、2051シリーズなど、新しいルールの型番を採用していた。

 しかし900iシリーズの登場で、FOMA端末がこれまでの主力ラインアップだった505iシリーズや505iSシリーズを超える存在になり、ドコモの端末ラインアップの主力に据えられた。型番も、505iシリーズの上位機種であることがすぐ分かる3ケタの数字になり、待受時間や使い勝手を改善。デザインにも力を入れた。2004年3月には全国で人口カバー率99%を達成し、エリアもかなり改善した。

 「専門的な話をすると、これまでFOMA機種で採用していた通信チップが新しいものに変わって、バッテリーの持ちが良くなったタイミングでした。2003年頃までFOMAは、まだまだムーバには追い付いていない部分があって、そこがユーザーの不満にもつながっていたのですが、900iシリーズではすべてでムーバを上回るくらいのスペックを実現したんです。FOMAがこれからのメインストリームになる、という強いメッセージを感じました。これは本当に衝撃的でしたね。ドコモの本気を感じました」(斎藤)

Photo ドコモの900iシリーズは、FOMA端末がドコモの主力ラインアップになった初のモデル

 Mobile編集部でも900iシリーズを大々的に取り上げた特集を展開し、さまざまな切り口から新しいラインアップを紹介。斎藤は「3Gの時代がついにやってくる」と確信した。

 「料金は定額で、ムーバより通信が速く、バッテリーの持ちも良くなり、ドコモは900iを『究極のiモードケータイ』と呼んでいましたが、実際その通りだと思いました。発売後は『N900i』や『P900i』『SH900i』などを使い、情報機器として格段に進化しているのを感じましたね。Mobile編集部でケータイの取材をする前は、PC雑誌の編集をやっていたこともあって、CPUがどうとかグラフィックチップがどうとか、個々のパーツの性能を評価して比較するようなことは昔からやっていましたので、その頃の経験を生かして比較記事などを書いていました。900iの頃から、ケータイにもPCの縮図のようなものを感じるようになったのも印象に残っています。ケータイが持ち歩けるコンピュータになり、何でもできるようになっていったのはこの頃くらいからだと思います」(斎藤)

生活に欠かせない存在となったおサイフケータイ

 FOMAが華々しく再デビューした影に隠れてしまいがちだが、実は2004年にはもう1つ注目すべきサービスがスタートしている。それはおサイフケータイだ。ソニーが開発した「FeliCa」と呼ばれる技術を採用したもので、日本では今やAndroid™スマートフォンにも搭載されている人気機能の1つだ。これが初めてケータイに搭載されたのが2004年のことである。ドコモが主導してサービスが始まったおサイフケータイは、今や日本独自の事象ではなく、上位互換の「NFC」が海外でも注目され始めている。ケータイがリアルと連携する手段として極めて重要な存在だ。

 このおサイフケータイの導入を積極的に進めたのがドコモで、今や電子マネーや会員証など、幅広い用途に活用されている。実はおサイフケータイという言葉はドコモの登録商標ながら、他社にも利用を呼びかけたことで、一般的な用語として定着した。ドコモの並々ならぬ意欲が感じられるサービスだ。

 「おサイフケータイは、初期から使っていますが、本当に使い始めると手放せなくなります。今や財布を忘れてもおサイフケータイ付きのスマートフォンがあれば電車にも乗れますし、コンビニでものも買えて、飲食店で食事もできます。ケータイの重要性というか、存在価値を変えたサービスの1つだと思いますね。Androidでおサイフケータイが使えるようになったのも、ドコモと端末メーカーの尽力のおかげだと思いますし、今後は世界でもNFCの導入が進むと見られていますが、こうした便利なシーンが世界に広がっていくのは見ていて頼もしいです。世界でも是非ドコモにリーダーシップを取ってもらいたいですね」(園部)

Photo 園部が始めて購入したおサイフケータイ対応端末「SH901iS」

 ムーバでは506iC、FOMAでは901iCシリーズとして対応端末が投入され、901iSシリーズからはほぼ全機種に標準搭載されている。ネットとリアルをつなぐ重要な技術として、これからも大切な役割を担っていくだろう。ちなみに園部はこの頃「SH901iS」を購入し愛用していた。

 社会的に重要なサービスとしては、「災害用伝言板サービス」にも触れておきたい。2004年1月から、ドコモがiモードの仕組みを活用して提供を始めたもので、災害時に安否確認の電話が集中し、電話がつながりにくくなる状態を少しでも緩和して災害復旧活動に必要な通信を確保するものだ。災害時はどうしても電話が被災地に集中しがちだが、そうした状況を緩和しつつ、ユーザーが確実に安否確認ができる仕組みは、一刻も早く無事を確認したい、あるいはすぐにでも無事を伝えたいユーザー同士を迅速につなぐ大切な仕組みとして今も活用されている。実際に2004年10月下旬の新潟県中越地震などでサービスを提供し、多くの人がこのサービスでの安否確認を行った。地震以外にも、豪雨や台風のような風水害発生時に活用されている。

 実際に災害が起きた際に、ドコモがこのサービスの有用性を証明したことで、他キャリアにも採用が広がり、今ではすべての通信事業者が連携して災害用伝言板サービスを運用している。ちなみに緊急地震速報を配信する緊急速報「エリアメール」のサービスが始まったのは2007年のことだが、このときもドコモの社会インフラ企業としての自負の強さを感じた。

FOMAが普及、ケータイはライフツールへ

 900iシリーズの立ち上げ成功から1年、FOMAは2005年に入って1000万契約を突破し、2005年末には2000万契約を超えた。FOMAが一般に認知され、ムーバからの移行が進んだ。2006年5月に2500万契約を突破し、翌6月にはFOMAの契約数がムーバの契約数と逆転し、過半数がFOMAになった。ドコモの優位性を訴えるCMキャラクターとして「ドコモダケ」が登場したのもこの頃だ。通信時業者間の競争は激しく、端末だけでなく料金プランやサービスの競争も熾烈さを増していた。

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通信事業者のキャラクターといえば、元祖はこのドコモダケ。今なお愛され続けるドコモダケがデビューしたのは2006年だ
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余談だが、2006年にデビューして間もないAKB48をいち早くCMに起用していたのもドコモだった

photo 2006年4月からMobile編集部の編集長に就任した園部

 園部がMobile編集部に配属されたのは、2006年1月のことで、まさにドコモのサービスがFOMAへと急速に転換する時期だった。斎藤がMobile編集部を離れたのはこの年の春で、その後を園部が継いだ。ドコモ初のワンセグ対応端末「P901iTV」や、下りの通信速度を3.6Mbpsに高速化した「FOMAハイスピード」に対応した「N902iX HIGH-SPEED」などが登場した年で、端末を持ってあちこちで視聴テストや通信速度テストをした。FOMAハイスピードは、それまで384kbps(0.384Mbps)だった通信速度が3.6Mbpsになるということで、かなりの高速化が期待されていたが、実際にテストをしてみたところかなりダウンロードが速く驚いたと園部は言う。通信が速くなると、既存のサービスもより快適に使えるようになることが改めて実感でき、「速さは正義」と感じたという。

 これまでは1ユーザーとしてケータイを使っていた園部だが、通信事業者や製品メーカーの取材を通して知識を深め、この頃には「ケータイがライフツールとしてますます重要になっていく未来がひしひしと感じられた」という。2006年の時点でiモードケータイはすでに生活に密着するツールになっていたが、その後のスマートフォンの登場を通じて、周辺の機器やサービスとの連携はさらに深まり、その重要性はさらに増している。

 奇しくも2006年は10月から番号ポータビリティ(MNP)制度が導入され、通信時業者間の競争が激化した年でもあり、Mobile編集部では連日取材と記事執筆に追われていた。配属当初から大変な業界に関わることになったと思っていたが、2006年の秋は本当にてんてこ舞いだったことが昨日のことのように思い出される。

 MNPは、力を持った契約数の多い事業者から他の事業者へ、加入者が動きやすくすることが大きな目的の制度だったため、ドコモはずっと苦戦を強いられているが、それでも解約率は世界的に見て驚異的に低い。これはひとえにユーザーの満足度が高い証と言えるだろう。ドコモには長期間利用しているユーザーが多いのも特徴で、ユーザーからの信頼と安心感は非常に強い。園部も15年以上ドコモを使っているが、この品質の高さは魅力だ。

 「長期間利用しているユーザーに対して、月々のポイント付与率を優遇していたりと、3キャリアの中では一番対応が手厚い印象ですし、ドコモがつながらないことはやはり経験としてとても少ないのです。いざというときに電話やメールが使えないのはとても困るので、ドコモからはなかなか離れられないですね」(園部)

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※掲載の内容は2012年7月31日現在の情報です。
※「Android」は、Google inc,の商標または登録商標です。
※FeliCaは、ソニー株式会社が開発した非接触ICカードの技術方式です。
※FeliCaは、ソニー株式会社の登録商標です。

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