―― 擬音や名ゼリフなどで写真を加工できる「ジョジョカメラ」についても聞かせてください。ジョジョの擬音を組み合わせたアプリは他にも出ていますが、意識されましたか?
鹿島氏 あまり意識はしていないです。最初はARの案もあったんですよ。
岡野氏 ARは、カメラをかざしたときに、後ろにスタンドが合成されるものですね。こういうアイデアは、一般のアプリが出る前から考えていました。逆に言うと、ジョジョカメラは誰でも考えつくもの=みんなが欲しいものですね。
―― 「グレイトフル・デッド」(※第5部の敵キャラ、プロシュート兄貴のスタンド。攻撃されたものは年老いていく)のスタンド攻撃で、年老いたように見せる効果も考えていたとか。
鹿島氏 本当はやりたかったんですよ。(辻彩の)「シンデレラ」(※第4部の登場人物。対象人物の手相や人相などを変えることで運勢を操る能力を持つ)で美化させたり、アレッシーの「セト神」(※第3部の敵キャラ。自分の影を動かし、相手に接触させることで相手を若返らせる能力を持つ)で若返らせたり、アクトン・ベイビー(※第4部に登場した謎の赤ん坊のスタンド。自分を含めた周囲の物体を透明にする能力を持つ)で透明にするとか……。お金と時間があればできたのかもしれませんが、もう一次元上の技術が求められるので、今回は見送りました。
岡野氏 カメラアプリは難しいんですよ。簡単に加工できないので、どうしても合成のみになってしまいます。
鹿島氏 合成は一番コミュニケーションしやすい形ですね。バリエーションも豊富に作れますし。
―― ドッピオの「とぉるるるる……」(※第5部の敵キャラ、二重人格者であるディアボロのもう1つの人格。主人格の「ボス」と会話をする際に、周囲の物を受話器代わりにして「とぉるるるる……」と自ら発信音を発して話す)の着信音がないのか気になります。
岡野氏 着信音はないんですけど、着信画面に出ます。着信音は、あえて何も入れなかったんです。それは鹿島のこだわりでもあるんですが。
鹿島氏 ジョジョといえば擬音ですが、そもそも2次元の媒体で音を表現しているので、新たに音をつけるのは違うなと。音のイメージはファンそれぞれが持っているはずなので。例えばドッピオのとぉるるるる……を入れたら、「これ声優誰だよ?」「納得いかねぇ」「おれにやらせろ」とかなりますよね。音はジョジョの世界ではやらない方がいいと判断しました。
―― 人によって音のイメージが違うと。
鹿島氏 そうですね。ドッピオの場合は自分でやるのが一番原作に忠実だと思うので、電話がかかってきたら自分でとぉるるるる……と取るのがいいです。
―― 「採用した」「しない」にはそれぞれ理由があるんですね。
岡野氏 考え尽くしました。それだけは自信を持って言えます。
―― 泣く泣く見送った機能も……。
鹿島氏 いっぱいあります。表現1つにしてもそう。OSの制約で、どうしても描画ができないものもありました。例えばパターンロック解除のラインを(スティッキィ・フィンガーズの)ジッパーにする案もありました。
―― 今後のアップデートでコンテンツが増える可能性はあるんでしょうか?
岡野氏 可能性はありますけど、何とも言えません。(やるとしても)無料は厳しいかもしれません。スマートフォンのアプリやウィジェットを作り込むのはお金がかかるので、有料配信になる可能性は大いにあります。
―― ファンなら有料でも買うのでは?
岡野氏 そう思います。少なくとも僕はそうします。
―― 電源を入れたところから違いますよね。バッテリー残量のウィジェットにレッド・ホット・チリ・ペッパー(※第4部の敵キャラ、音石明のスタンド。電力を操る)が登場したり。
鹿島氏 (起動直後に表示される)防水の注意書きも変えられると聞いたので、じゃあゲブ神(第3部の敵キャラ、ンドゥールの水を使ったスタンド)かアクアネックレス(第4部の敵キャラ、片桐安十郎の液体を媒介にするスタンド)か悩んで……ゲブ神の方が絵になるかなと。
―― こういった基本のグラフィックなどは、全部ジョジョ仕様に変えているんですか?
岡野氏 全部変えてますよ。(電源を切る直前に聞かれる)「だが断る」と「やれやれだぜ」を選んでからの画面も変えてますし
―― ファンにはうれしいですね。
鹿島氏 僕は政治的なことや制約条件はほぼ一切考えずに、やりたいことを言い放つ係だと思っていたので。実際に形にしていただいたLGさんには本当に「感謝いたします」(※第7部の敵、リンゴォの決闘後のセリフ)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.