KDDI、気仙沼・大島の“椿”再生活動などに684万円を寄付――「気仙沼椿Walk」プロジェクト

» 2012年09月13日 17時12分 公開
[小林健志(K-MAX),ITmedia]

 KDDIは9月6日、宮城県気仙沼市役所にて「KDDI Green Road Project au Smart Sports 気仙沼椿Walk寄付金贈呈式」を行った。

 auのスポーツサポートサービス「au Smart Sports Run & Walk」を利用した募金と、au Facebookページ内に設置したキャンペーンサイトでのクリック募金を合計した684万1799円を、「気仙沼市東日本大震災復興支援寄附基金」に寄付。寄付金は気仙沼市の離島大島の椿再生活動の他、宮城県気仙沼市の震災復興支援に活用される。

photo 左よりKDDI東北総支社長理事の菅野養一氏、菅原茂気仙沼市長、KDDIビジネス統括部長新居眞吾氏

「Walkプロジェクト」過去最高額の寄付金

photo KDDIビジネス統括部長新居眞吾氏

 KDDIは環境保全活動「KDDI Green Road Project」の一環として、「Walkプロジェクト」を2008年より展開してきた。auのスポーツサポートサービス「au Smart Sports Run & Walk」を利用して、ユーザーがウォーキングやランニング、自転車で走行した1kmを1円に換算し、その総額をKDDIが全国各地の自然保護のために寄付する活動だ。2008年11月27日〜2009年1月30日の「屋久島Walk」を皮切りに、熊野古道四万十川、高尾山などの自然保護のため寄付活動を計7回行ってきた。

 2012年5月8日〜7月16日には、Walkプロジェクト第8弾として、東日本大震災の津波により大きな被害を受けた気仙沼・大島の「椿」を再生することを目的に「気仙沼椿Walk」を実施。今回から新たに、au Facebookページ内に設置したキャンペーンサイトでクリック募金も実施。1クリックを1円に換算して寄付額に加えた。

 こうしたFacebookページを使った新たな取り組みや、ユーザーの東日本大震災からの復興への意識の高さもあり、Walkプロジェクトとしては過去最高額となる684万1799円を「気仙沼市東日本復興支援寄附基金」に寄付する運びとなった。なお、当初は「椿の島21世紀プロジェクト」への寄付を予定していたが、同プロジェクト側が大島の椿再生活動のみならず、気仙沼市全体の震災復興支援にも広く役立ててほしいという希望で寄付を辞退し、気仙沼市東日本復興支援寄附基金に寄付先が変更されたという経緯がある。寄付金は気仙沼大島の椿再生活動を含む、宮城県気仙沼市の震災復興支援に活用される。

 KDDIビジネス統括部 部長の新居(におり)眞吾氏は、「歩くとか走るという行為は、自然環境が整っていることが前提でできること。auの『Run & Walk』というものをきっかけに、KDDIのCSRとして何か自然環境の保全に役立てないかと思い、Walkプロジェクトをスタートした。第1回は屋久島で、その後は北海道、沖縄、熊野古道などでやらせていただき、今回は震災復興を進めている東北地区ということで大島の椿を選ばせていただいた。熊野古道では環境整備、沖縄ではサンゴの養殖施設の充実などにお金が使われており、徐々に形となりつつある」と、今までの歩みを説明した。

 今回、過去最高額の募金額となったことについて新居氏は「非常に喜ばしいこと。震災が起きて1年以上経っているが、皆さんが災害を忘れているわけではない。これから東北が、息の長い着実な復興を遂げていくために役に立てれば、と考えていただいた方が大勢いらしたということなのだろう」と、ユーザーの震災への意識の高さが要因と語った。

気仙沼市との縁で実現した「気仙沼椿Walk」

photo 気仙沼市長の菅原茂氏。寄付のみならず震災直後の迅速なインフラ復旧へ感謝の言葉を述べた。

 寄付を受けた気仙沼市の菅原茂市長からは贈呈式の席上、「KDDIさんありがとう、と言うのはこれが2回目。1回目は震災後の未明からどの会社の携帯電話も通じなくなった時に、いち早くアンテナを市役所前に設置していただいた時。安否を知らせるために本当に必要で市民は本当に助かった。auを持っていた人の勝ちだった」と、震災当時の迅速なインフラ復旧への感謝が述べられた。

 気仙沼とKDDIの縁はこれだけではない。KDDI東北総支社長理事菅野養一氏は「CSR活動は重点的にやっていかなければならず、通信だけにかかわらず、KDDIとしてプレゼンス向上を図らねばならない。KDDIとしては気仙沼には事ある毎に社員を募って数回ボランティアに来ている。7月も当社の労働組合と協力して、組合の全国大会を気仙沼で行い、翌日に唐桑半島へ行って、雨の中みんなカッパを着て牡蠣の稚貝をロープに結びつけるお手伝いを行った。なるべくお土産も気仙沼で買って、気仙沼の復興に協力しようとした」と、気仙沼でのボランティアによる支援を継続的に行っていることを明かした。

 KDDI新居氏も「気仙沼に関して言えば、市長がおっしゃった通り、いち早いタイミングで基地局も送らせていただいたり、元々縁のある地域。大島を選んだのは、大島の椿は観光資源であり、農業的な意味合いも持っているというお話も伺い、震災の復興にも自然保護にも役立つ場所をいろいろ調べさせていただいた結果、私どもなりに大島でやらせていただこうと考えた」と、今回の気仙沼椿Walkが行われた経緯を語った。

 KDDIの今後の震災復興への取り組みについてKDDI菅野氏は、「復興支援室を7月1日に立ち上げて、室長以下現地に5名、東北にゆかりのある社員を公募で集めた。被災3県でICTを活用した復興が進んでいないところに、提案するだけでなくて出向して職員と一緒になって街づくりをしていこうとしている」と説明。まだ実際に出向している自治体はないそうだが、様々な自治体にアプローチを行っているという。また、通信に関しては震災前の状況に復旧しているそうだが、「仮設住宅が建設されたのは高台で、エリア外の部分が多かった。新たに通信を担保した際、まず音声を担保したが、時間が経つにつれデータ系も必要になっていったので、トラフィックを見ながらそうした場所についてデータ通信の部分も見直しを図っている」と、人の集まる場所が震災後移動したことによるトラフィックの変化にも対応していく考えも示した。

 今後の災害対応に関しては「東日本大震災では自衛隊の力が大きかったと感じ、陸上自衛隊と災害時の協定を結んだ。7月29日の陸上自衛隊の航空隊の訓練において、ヘリコプターに実際に可搬型基地局の資材を積んで、飛行して通信を担保する訓練を行った。有事があった時にやろうとしても重量や容積や積み方が分からないので、自衛隊が音頭を取って訓練を進めた。短時間で迅速に行くのがポイントで、訓練の中で用意した方が良い物や、もう少しコンパクトに積んだ方が良い物など課題も出たので、非常に有意義だった」と語り、可搬型基地局を災害時より迅速に設置するための訓練を自衛隊と協力して行っていることをアピールした。

photo KDDI東北総支社長理事の菅野養一氏

 KDDIは、通信以外の分野でも、被災地の復興に様々な貢献をしようとしている。今回の気仙沼椿Walkによる寄付はその一環だが、観光・農業資源である椿の再生の支援は非常に意義のある試みだろう。

 菅原市長は「今回は気仙沼大島の自然の復活で寄付を賜った。いろんな方々から支援を受けてきたが、これからは急場をしのぐと言うよりも、長い目で地域の資源を回復し、今後に繋がるお金が必要。我々が願っていた寄付をいただいたので、島民の皆さんとしっかり相談して、島民の皆さんの思いに叶った使い方をさせていただきたい」とコメントしている。今回集まった寄付金が、気仙沼大島の椿の再生、ならびに気仙沼市の震災復興のために有効に使われることを心より期待したい。

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