スマホとはっきり違う、7型タブレットのベンチマーク機──「Nexus 7」詳細検証「Nexus 7」をよりお得価格で入手する方法も探る(2/3 ページ)

» 2012年10月17日 16時30分 公開
[坪山博貴(撮影:矢野渉),ITmedia]

スマートフォンとはっきり違う7型サイズ、ほぼ実サイズでコミックも読める「ちょうどよい」サイズ

photo eBookコンテンツの表示は実際の単行本と同等の表示サイズになるので、スマートフォンと比べると小さい文字も相対的に非常に読みやすくなる

 本機は7型サイズで解像度1280×800ドットのディスプレイを搭載する。解像度だけなら昨今のスマートフォンでも同等のモデルは多数ある(それ以上のモデルもある)。ただし、7型という絶妙な画面サイズだからこそのメリットが随所に体感できるのは見逃せない。

 例えばコミックビュワーとして利用する場合、7型サイズのNexus 7は縦長画面でB6版単行本の1ページをほぼ同サイズで表示可能となる。さらに青年誌コミックなどに多いA5版も違和感ないレベルであり、文字を読むのに目を凝らしたり、拡大表示してスクロールしながら読む──といった読書に余計な手間が発生しない。

 また340グラムという重量は、縦位置でも横位置でも苦労・不安なく持てる重さの範ちゅうにあり、成人男性であれば親指でのページ送り動作も片手で持って違和感なくできるだろう。例えばビュワーアプリ「Google Play ブックス」ではボリュームボタンでもページ送りできる機能があるものの、それを使わずとも片手でがっちりと本体の左右を挟むように持ってスライド操作でページ送りできる範囲のサイズ感なのだ。

 動画の再生も、本機なら高解像度なHDコンテンツのきれいさをスマホよりはっきりと体感できるうえ、やはり軽量なので、手に持って楽しむのも気兼ねなく行える。もちろん動画については画面サイズが大きいほど迫力あるものが楽しめるが、もう1段階上の画面サイズのAndroidタブレットとなると重量500〜600グラムの10.1型クラスになる。もちろんこちらも決して持てないことはないが、例えば通勤途中でそれを取り出すとなると……少し戸惑う人は多いように、モバイル時のお手軽感はかなり減る。それが7型クラスであれば入れようと思えばポケットにも入るほどなので、そんな心理的なブレーキはかなり減るはずだ。

 マルチメディア利用以外にもスマートフォンに対するアドバンテージがある。

 例えばTwitterや地図アプリ。文字サイズを考慮すれば、複数ペインでの同時表示が可能なTwitterクライアントが違和感なく活用できるようになるし、ブラウザや地図アプリなども、スマートフォンと比べるとたとえ解像度が同じでもパッと見で得られる・視認できる情報量がはっきり違うと感じられる。


photophoto マルチカラム表示に対応したTwitterクライアントの1つ「Plume」で表示。Nexus 7では横位置画面で2列表示が可能だ。フロート表示に対応した動画プレイヤーなどと組み合わせて、動画を見ながらつぶやく──といったこともやりやすくなる
photo メガネケエス3とフローティング表示対応のブラウザを組み合わせてみた。7型画面ならTwitterを確認しつつも、十分快適な情報量でブラウジングができるようになるのが便利だ

 さて、タブレットはスマートフォン比で大容量のバッテリーを実装できる分、より長時間動作するのもメリットの1つだ。サイズ相応の容量のバッテリーを搭載しているからと言ってしまえばそれまでだが、バッテリーは容量が多ければ当然重くなる。つまりはバランスが重要であるがNexus 7はどうか。

photophoto アプリで待機状態でのバッテリー残量をチェック。グラフは横幅一杯で24時間だ。(ときどき確認のためにスタンバイ状態を解除したが)24時間で7〜8ポイントほどバッテリーを消費していた感じだ(画像=左) 一方、かなりガンガン使った時のバッテリー残量の推移。それでも14時間ほど断続的に使用しつつ、20%以上残量があった(画像=右)

 Nexus 7は重量340グラムとする7型Androidタブレットでもそこそこ軽量な部類のボディに、3.7ボルト/4325mAhのリチウムポリマーバッテリーを内蔵する。カタログスペックは連続動画再生9時間、Webサイト表示/読書時で10時間、連続待機約300時間だ。こちら、実機でチェックしてもスタンバイ状態では1日7〜8ポイントほどしか消費しなかったので、カタログスペックはおおむね正確といえる。

 一方、ポータブルルータに無線LAN接続しつつ、Webサイト表示、コミックビュワー、Twitterクライアントなどを平行利用する通常利用時は、1時間で10ポイントほどバッテリーが消費する感じだ。こちらも連続動画再生時におけるカタログ値である9時間に近いといえる。ただし、無線LAN接続でフルHDクラスの動画コンテンツをストリーミング再生するような通信+高解像度動画再生のシーンでは、1時間で20ポイントほどバッテリーを消費することもあった。

 こちら、使い方やディスプレイの明るさ設定などで値は変化はするのだが、おおむねどのような使い方をしても5〜10時間程度はバッテリーでの利用が可能ということになる。一般的な使い方においてはかなりガシガシと使ったとしても、少なくとも日中活動時の1日分が持たないということはないだろう。

 ちなみに充電端子はスマートフォンでもなじみのあるMicro USBなので、スタンバイ時においては付属するACアダプタやPCのUSBポート以外に、(あくまで動作保証外の行為になるが)USB出力型のACアダプタ、USBバッテリーなどでも充電(給電)できる。かなりアクティブに利用する人も充電のことで困るシーンは少ないと思う。

多数あるAndroidアプリを活用すれば、録画したデジタル放送のネットワーク再生も可能

photo DTCP-IPに対応するDLNAクライアント「Twonky Beam」でスカパー!HDのSTBの録画番組を一覧。もちろん再生も可能

 本機を購入する上で国内メーカーのAndroidタブレットと比較して気になるのは、国内メーカー製では半ば標準機能となりつつある家庭用テレビやレコーダーと連携した著作権保護コンテンツのネットワーク再生機能が標準ではない点や、メモリカードスロットを持たないという点だ。

 録画したデジタル放送の無線LANストリーミング再生については、(もちろんサーバ側となるDTCP-IP対応テレビやBlu-rayレコーダーも所持していることを前提に)例えば利用者も多いDLNAアプリケーションの1つ「Twonky Beam」(無料)をインストールすると、DLNAサーバからDTCP-IP暗号化に対応した動画の再生が、つまり録画した番組のネットワーク再生が可能になる。TwonkyではAndroid OS 4.0以降で機能追加されたアプリごとに安全に暗号キーを保管できる機能を用いてDTCP-IP対応を実現しているが、こちらは本機が最新のAndroid OSを採用しているおかげとも言える。実際には(筆者確認時では)DRモード(放送波をそのまま保存する録画モード)で録画した番組は音声のみの再生となってしまうのだが、MPEG-4 AVC/H.264コーデックを利用する長時間録画モードで録画した番組は難なく再生が可能だった。

 メモリカードスロットを持たない点についてはどうだろう。本機のUSBポートはUSB OTG(On-The-Go)仕様となっており、PC用のUSBメモリやメモリカードリーダーを(変換ケーブル経由で)直接差して利活用できる。メモリカードスロットを持つ製品ほど手軽とは言えないシーンがあるのは確かだが、ファイルサイズの大きな動画ファイルを出先で再生する、デジカメで撮影した写真を吸い出して大画面の本機で表示するといった用途は普通に行えるばかりか、場合によってはこちらの方がラクなこともある。メモリカードスロットがなくとも、これでたいていは対応できるという判断としたい。



 やはりサイズ感、実パフォーマンス、Webサイト/サービスの利用、写真/動画/eBookリーダーとして、7型サイズのタブレットはかなり幅広く活用シーンがあると感じる。Nexus 7は、特にスマートフォンの機能にどこか物足りない──と感じたことがある人に、ぜひ導入を検討してほしい1台だ。

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