シャープは10月23日、冬モデルの説明会を開催した。会見では、ドコモ、au、ソフトバンク向け新製品全7機種を紹介。中でもシャープが期待をかけているのが、高精細でバッテリーの持ちもよくなる「IGZO液晶」搭載モデルの「AQUOS PHONE ZETA SH-02E」や、「AQUOS PAD SHT21」だ。シャープの通信システム事業本部で本部長を務める大畠昌巳氏は、「IGZO液晶で継続的なユーザーエクスペリエンスを提供し、搭載モデルを一気に増やすことでシェアを挽回していきたい」と語っている。
ケータイでトップシェアを誇っていたシャープだが、11年度は3位に転落してしまった。その理由を、大畠氏は次のように分析している。
「国内市場におけるスマートフォンの販売比率が高まるとともに、グローバルメーカーの海外モデルが国内市場に入ってきた。高速なCPUや操作性などの進化が早まった一方で、インフラ面ではLTEやWiMAXなどの通信方式を含め、キャリアのサービスが大きく変化した。当社としてはこの対応に少し後れを取った感が否めず、競争力が低下してしまった」
実際、ドコモがXiに、KDDIがWiMAXに対応したスマートフォンを投入した2011年の冬商戦では、シャープ製の端末がこれらの通信方式をサポートできていなかった。最新の通信方式だけがスマートフォンの実力を左右するわけではないが、同時期に並んだ他の製品と比べると見劣りしてしまう点があったのは事実だ。また、2011年度のシェアとは直接的な関係はないが、夏モデルで人気の高かった「AQUOS PHONE ZETA SH-09D」もチップセットの供給不足で勝機を逸してしまった。
こうした反省を生かし、シャープでは「他社に負けない端末性能と独自機能」(同氏)を盛り込み対抗していく方針だ。同社の冬モデルのスマートフォンは、全機種がLTEやAXGPといった高速通信に対応。先に挙げたAQUOS PHONE ZETAやソフトバンク向けの「AQUOS PHONE Xx 203SH」は、クアッドコアCPUの「Snapdragon S4 Pro」も搭載する。「共通の開発思想に基づいてユーザーの感性に訴え、より親しみやすいスマートフォンの創出を目指す」(同氏)取り組みの一環である「Feel UX」にも、細かな改善を加えている。海外モデルと比べて見劣りしていたバッテリー容量も、「PANTONE 6 200SH」を除き、すべて2000mAh以上になった。
こうした基本性能の底上げをした上で、シャープが独自に開発した高精細、省電力、高感度タッチが特徴のIGZO液晶搭載モデルを、2機種発売する。「(冬商戦では)台数ベースで約3割強に搭載する。来年以降一気に拡大していく」(大畠氏)というように、今後のフラッグシップ端末には積極的にIGZO液晶を搭載していく方針だ。夏モデルで十分な量を獲得できなかった「Snapdragon S4」についても、「上期は本当に心配をおかけしてしまったが、下期は問題がない」(大畠氏)と自信をのぞかせる。ディスプレイはスマートフォンの顔とも呼べる部品だ。画面の見栄えはもちろん、電力消費も大きく左右する。待望のIGZO液晶搭載モデルは、冬商戦でも強い存在感を示すことができそうだ。
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