Qualcommは教育の分野にも注力しており、教育に役立つアプリのSDK(ソフトウェア開発キット)を提供している。その1つが、「セサミストリート」と提携した文字の読み取りアプリ。デモをしていた英単語学習アプリは、アプリ経由で起動したカメラで、お題の文字について、実際のその文字が書かれたものにカメラをかざして読み取るというもの。例えば「milk」というお題では、牛乳パックのパッケージに記載されている「milk」の文字を読み取るという具合で、ゲーム感覚で学習できる。説明員によると、あらかじめアプリ内に登録した辞書のデータベースを用いており、単語数などはカスタマイズ可能だという。
近距離通信を可能にするP2P(Peer to Peer)を活用する「AllJoyn」のSDKを導入したアプリでは、同一のWi-Fiアクセスポイントに接続したユーザーが、対戦型ゲームを一緒にプレイしたり、データを交換したりできる。QualcommがSDKを開発しているAllJoynを教育分野にも応用。セットトップボックスとタブレットを接続し、案内役のキャラクターと一緒に写真撮影や楽器演奏などを楽しむというデモを実施していた。
AR(拡張現実)アプリのSDKを用いたアプリでは、洋服の写真をカメラで読み取って詳細情報を確認、オンラインで購入する、ギネスブックに掲載されているサメの写真を読み取ると、そのサメがギネスブックの中から飛び出してくる、といったデモを試せる。前者の洋服の写真は、例えば店頭で気に入ったサイズや色がない場合、アプリ経由で注文や購入することが可能になる。
モバイルの分野とはやや異なるが、電気自動車向けのワイヤレス給電システムも紹介している。同システムでは、車体下部に搭載した受電パッドと、駐車場などに設置した送電パッドを近づけることで給電が可能になる。コイルの位置を合わせて充電する「電磁誘導方式」の「Qi」とは異なる「磁界共鳴方式」を採用しており、「パッド同士がある程度ずれても給電できる」(Qualcomm担当者)という。
給電中は電波を発しているので、ペースメーカー利用者が車内にいる中で給電が始まる、金属が送電パッドの上に置かれた状態で給電されると熱を帯びる、といった事態を防ぐために、異物(金属)を検知すると給電を止めるシステムも実装している。
現在は商用化に向け、安全基準や、使用する周波数帯などを標準化すべく動いている段階だ。まずは駐車場での給電を想定しているが、将来的には車道の中に給電用のパッドを設置して、走りながら給電できるようなサービスも視野に入れているという。
Audiが今回のCESで、QualcommのLTEチップ「MDM9215」を搭載した「2013 Audi A3」を発表したことに伴い、QualcommはこのLTEチップを含むモジュールを展示。2013 Audi A3のサービスとして提供する「Audi connect」では、最大100MbpsのLTE通信によるリアルタイムのナビゲーション、天気予報・旅行情報などの取得ができるほか、車内では最大8台の機器でWi-Fi接続ができる。
QualcommのSDKを用いて、リクルートが行動支援型のソリューション「Gimbal」も展開している。これはスマートフォンのログデータを解析して、ユーザーに対してコンテンツやアクションを勧めるというもの。このGimbalを活用したアプリの1つとして「wityou(うぃじゅ)」をAndroidとiOS向けに配信しており、ユーザーの行動に応じてグルメ・クーポン・旅行・エンタメなどの情報を配信する。例えば、この端末の持ち主はワイン好きでよく銀座に行くので、銀座でお勧めのワイン店を紹介するといった具合だ。事前の登録は不要で、端末を使っていくほどに行動履歴が収集されるが、行動履歴はサーバではなく端末内に保存するなど、プライバシーにも配慮している。
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