インタビュー
» 2013年03月05日 10時00分 UPDATE

開発陣に聞く「ELUGA X P-02E」:「できない」は禁句――妥協なしの「ELUGA X P-02E」で到達した“真の全部入り” (1/2)

5インチのフルHDディスプレイを搭載しながら、幅68ミリに抑えた「ELUGA X P-02E」は、欠けているものは何もないと言っても過言ではないほど充実した機能を備えた。そんなELUGA Xはまさにパナモバ渾身の一台ともいえる自信作。開発の舞台裏を聞いた。

[太田百合子,ITmedia]

 ドコモのパナソニック モバイルコミュニケーションズ製モデル「ELUGA X P-02E」は、現行のスマホで必要とされる機能を網羅した、意欲的なモデルだ。パナソニック モバイルが「自信を持ってお届けする、過去最強のELUGA」と表現する本機には、同社のどのような想いが込められているのか。モバイルターミナルビジネスユニット モバイル開発センター 第一商品グループ 企画担当 主事の渡辺和伸氏、モバイルターミナルビジネスユニット プロジェクトマネジメントグループ プロジェクトマネージャーの富家渉氏、モバイルターミナルビジネスユニット モバイル開発センター 第一商品グループ 第二機構設計担当参事の小林宰氏、モバイルターミナルビジネスユニット 第一商品グループ 第3T SDL担当参事の松尾英明氏に話を聞いた。

photophoto 「ELUGA X P-02E」(写真=左)。パナソニック モバイルの開発陣。左から小林氏、松尾氏、富家氏、渡辺氏(写真=右)

真のフラッグシップを目指して開発

photo 企画担当の渡辺氏

ITmedia(聞き手、太田百合子) 本機は5インチのフルHDディスプレイにクアッドコアCPU、約1320万画素カメラ、ワンセグ、おサイフ、防水対応の“全部入り”となっていますが、当初、開発はどのような方向性でスタートしたのでしょうか?

渡辺氏 パナソニック モバイルはスマートフォンでは後発ということもあって、ブランド力も弱く、これまで市場ではかなり苦戦を強いられてきました。その時々のフラッグシップモデルにスペック面で追いつけていないところもあって、お客様からも「何かが足りない、欠けている」という厳しい声をいただいていました。今回のモデルでは、そうしたこれまでの悔しい思いを胸に、本当に欠けることなく全部の機能を搭載し、かつ、この時期の最先端のスマートフォン=真のフラッグシップを目指すということで、企画がスタートしました。

富家氏 最初にまず、フラッグシップに求められる機能とは何か? ということを、社内で徹底的に議論しました。そうした中で「5インチフルHD」が決まって、次に「幅68ミリ」という目標が設定されました。

小林氏 「幅68ミリ」を実現するには、これまで以上に狭額縁が求められますが、従来の樹脂フレームでは、タッチパネルを固定する接着面を確保するために、どうしてもフレームに幅が必要になります。そこで今回は接着剤を一切使わず、金属のフレームを折り曲げて、パネルと液晶を抱えるようにして固定する「メタルフレーム工法」を導入しています。先ほど渡辺が言った「真のフラッグシップ」を目指す上で、5インチフルHDなんだから大きくしていいという考え方では、絶対に他社には勝てない。「幅68ミリ」に「5インチフルHD」を入れてこそ価値があると信じて、構造を一から見直しました。

 メタルフレームを採用すると、アンテナも影響を受けてしまうので、電気や回路にも工夫が必要ですし、これまでとは組み立ての方法も変わるので、工場との調整も必要になります。まさにチーム全員が一丸となって取り組んだ結果、5インチフルHD搭載機では最もスリムな幅68ミリが実現できました。

photophoto メタルフレームを左右に設けることで、幅の細さと耐久性の両立に成功した
photo 片手でもしっかりとホールドできる

5インチ+物理キー搭載ながら、幅68ミリの難題に挑戦

photo 最近のスマホでは珍しく物理キーを搭載している

ITmedia 本機には物理キーも搭載されていますね。購入したユーザーの中には、これを評価する声も多いようですが、キーの搭載は当初から決まっていたのでしょうか?

渡辺氏 昨年5インチの「ELUGA power P-07D」を出したときに、お客様から2つの声があったんです。1つは、やはり大きい画面は臨場感があって良いという声。もう1つは画面が大きい分だけ指が届きにくく、操作しにくいという声です。また、ボタンを押したかどうか、分かりにくいという不満も挙っていました。センサーキーにすれば、ガラス1枚に見えるすっきりしたデザインになる。それが今のスマートフォンのトレンドだということは認識していますが、片手での操作のしやすさを考え抜いた結果、今回はあえて物理キーを搭載することにしました。

富家氏 物理キーを入れると、その分だけ端末が縦長になってしまうんですが、今回はそこも工夫をして、当初決めていた目標のサイズを守り抜きました。センサーキーを採用しているライバル機と比べても、ほとんど変わらない長さに抑えています。

小林氏 ユーザーの声を受けて物理キーを搭載することになったんですが、目指す全長のスペックは当初から変えないという、無理難題に挑みました。しかも単に長さを抑えるだけではだめで、横に倒したときに美しく見えるように、画面の両サイドを左右対称にしたかった。今までだったら、どこかで妥協していたかもしれないと思うくらい、本当に大変な難題でした。

「フィットUI」では、ユーザーの声を反映して細部を調整

photo 片手での操作性に配慮した「フィットホーム」

ITmedia 片手操作を実現するために、今回は物理キーだけでなく、UI(ユーザーインタフェース)もまったく新しくなっています。このUIについても教えてください。

渡辺氏 ハードウェアだけでなく、ソフトウェアもあわせた両方のアプローチで、大画面でも片手で持ちやすく、操作しやすいスマートフォンにしたかった。片手でタッチ操作するためのさまざまなアイデアを検討する中で、指の届く範囲だけにアプリ一覧を表示し、それをぐるぐる回して切り替えられる「フィットホーム」にたどり着きました。

富家氏 今のカタチに至るまでにはたくさんの試行錯誤があったのですが、そのときに優先したのは、我々作り手の意見ではなく、お客様の視点。実際にモニターの声を拾いながら、この機能はいらない、この動きは不自然だといったことを1つ1つやってきました。

松尾氏 例えばフィットホームは、縦表示のときには画面が回転するように切り替えられますが、横表示にすると、画面を切り替える動きが回転からスクロールに変わる。これは横でも回転だと、動線が不自然だからです。言われないと気付かないような、ものすごく細かいところですが、モニター調査を反映してぎりぎりまでチューニングした結果、より使いやすいものになったと思います。

「P」ファンだった人のファーストスマホに選ばれたい

photo ケータイ風のUIを採用した「ケータイモード」

ITmedia UIではフィットホームのほかに、ケータイのUIを踏襲した「ケータイモード」も選択できるようになっていますか、こちらはどのような狙いで搭載されたのですか?

渡辺氏 こういうハイエンドモデルに「ケータイモード」はいらないんじゃないかという声もあったんですが、我々のお客様の中には、フィーチャーフォン時代にPを好きでいてくださったファンの方、ロイヤルユーザーの方がまだ大勢いてくれる。そういう方が初めてスマートフォンを買うときに、手に取ってもらえる端末にしたかったんです。「スマホでもPを選んで良かったな」と思ってもらうためには、最先端のスペックと使いやすさを両立させなければならない。フィーチャーフォンで多くの方に選んでいただいたパナソニック モバイルだからこそ、やっていかなきゃいけないことだと思っています。

松尾氏 ケータイの操作性をスマホでも実現するだけでなく、ケータイのデータをスマホに簡単に引っ越せるようにもしています。ファーストスマホとしての機能をどこまで入れるかは、バランスの難しいテーマではありますが、ユーザーの声も聞きながら、シンプルで使いやすいものになったと思います。

渡辺氏 作っている僕やソフトの担当者は、やっているうちにどうしても視野が狭くなってしまうので、今回の端末では特に意識して、モニターいただいたユーザーの方の声を取り入れるということを、積極的にやりました。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.