キャンペーンからインフラ整備まで――NTTドコモ関西支社に聞く、春商戦期戦略携帯電話事業者の熾烈なシェア争いと局地戦(後編)(2/3 ページ)

» 2013年03月15日 18時20分 公開
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2.先進的なキャンペーン「家族でいっしょキャッシュバック」の成果は?

 昨年6月に関西が「家族でいっしょキャッシュバック」を全国で先行した。これは、KDDIはスマートバリューの影響が強く、世帯・家族に対するメッセージとなっていること、ソフトバンクは以前から白戸家による家族に向けたメッセージ性があるので、ドコモとして足りていない家族向けのメッセージとして、端末購入価格を割り引く形で試した施策だ。

 実際に、学割などの施策が5月末で終わり、転出などの厳しい数字が予想されるなか、一定の成果が得られ、予想よりも転出が少なかった。具体的には「スマートバリューが始まる前のレベルまで、いったん戻すことができた」という。6月は夏モデルが出そろう前のタイミングながら、冬春モデルの価格がこなれてきた時期でもあった。5月末にほかの施策が終わり、ドコモポイント失効の駆け込み需要の後で、ドコモだけではなく各社の数字が伸び悩む時期だっただけに、トライアルとしては十分な成果が得られたといえる。

 その後、全国展開の「家族セット割」に発展し、夏モデルが出そろった8月は、例年にない良い数字が出ている。ドコモ施策としては珍しく延長を数度繰り返して、1月17日までという半年以上にわたって展開できたことは、関西の先進的なトライアルの成果として評価できる。また多くのヘビーユーザがドコモの保有回線数を増加させ、多くの端末を購入したはずだ。

3.Web来店予約はうまくいっているか?

 「ドコモショップ順番予約サービス」は、ドコモ関西エリアがほかに先駆けて昨年3月13日に導入した、来店者向けのオンラインでの受付順番予約サービスだ。従来は店頭の発券機でのみ受け付けていたものを、他社を含むスマートフォン、またはiモードケータイから受付順番予約ができるようになった。

 ショップでの待ち時間を最小化し、順番が近づくとメールで通知されるなど、かなり利便性が高く、全国で導入を待ち望む人が多いと思われるサービスだ。導入から約1年がたち、実際の現場ではどのような状況なのかが気になるところだ。

 「便利なだけではなく、お待たせしないことが一番」という前提で、「システムを入れれば上手くいくということはなく、店の運用があって初めて成り立つが、定着・浸透しつつある状況」「明確には定まっていないが全国化を進める」「マイショップ活動の中で、商品予約・順番予約といったリアルな店舗とバーチャルの融合を進めていきたい」と一定の成功を収めており、今後の展開強化も計画しているようだ。

 マイナス面としては、予約だけして来店しない人や、店頭で長時間待っている人が後から来たネット予約の人に抜かれていくことなどによるトラブルが想定される。「ネットでの順番予約サービスを認知してもらうことが大事なので、来店されたお客様にフロアスタッフが説明するなどの活動を行っている」とのことで、現場での認知活動に力を入れているようだ。店舗側も運用に慣れて、ユーザーもその利便性を知ることになれば、ユーザー満足度の高い施策になるだろう。

 今後のドコモショップの混雑緩和という根本原因の解消は、製品の品質向上は当然として、長時間化する接客時間を減らすための施策、来店不要とする施策の強化と浸透が必要になるだろう。

 スマートフォンは短期間に普及し、さらに普及スピードが加速しており、大幅に増加した機種・OSのバージョンごとの違い・多種多様なアプリなど、複雑化が増す中で、ドコモショップ来店数・来店頻度の増加や、1人あたり接客時間の長時間化を避けることができず、サポートする側も高いレベルのスキルやノウハウが必要となるケースも多い。店頭スタッフのスキル向上と業務の効率化が求められるが、それ以前に混雑時間のピークに合わせてスタッフ数を十分に配備することは、コスト的には困難であり、それだけでは解消しないはずだ。

 今後は、昨年2月にスタートして11月に100万契約に到達した「スマートフォンあんしん遠隔サポート」の認知度向上と、サービス加入・利用促進することで、使い方やトラブル対応などの各種相談による来店混雑を抑制することを期待する。また、My docomoの利用促進や、My docomoで処理が可能な各種手続き項目を増やすことで、不要な来店者数を抑制することも期待される。

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