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» 2013年03月25日 14時30分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(3月11日〜22日):スペックだけじゃない「GALAXY S 4」の見どころ/「ダブルLTE」の狙い/「タップでコンシェル」の新しさ (1/3)

3月14日にはSamsung電子のフラッグシップモデル「GALAXY S 4」が米ニューヨークで発表され、世界中で話題を集めた。ソフトバンクのiPhone 5でイー・モバイルのLTE網を使えるようになったことも大きなトピックだ。ドコモが発表した新サービス「タップでコンシェル」も取り上げる。

[石野純也,ITmedia]

 3月11日から22日にかけての2週間で、世界的にもっとも注目されたニュースは、Samsung電子が発表した「GALAXY S 4」で間違いないだろう。導入国の詳細は明らかにされていないが、日本での発売も期待される。一方の日本では、21日から、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5」がイー・モバイルのLTE網に接続できるようになった。同社ではこれを「ダブルLTE」と呼び、訴求していく。22日にはNTTドコモのR&Dから生まれた「タップでコンシェル」という新サービスが発表されている。今回は、この3つを順に取り上げ、それぞれのニュースに解説を加えていきたい。

世界各国から注目を集めた「GALAXY S 4」、日本での展開にも期待

 Samsung電子は14日(現地時間)、米・ニューヨークで「UNPACKED」と呼ぶイベントを開催。5インチ、1080×1920ピクセルの「Full HD Super AMOLED」(有機EL)ディスプレイや、1.6GHzでコアを8つ内蔵した「Exynos 5 OCTA」を搭載する同社のフラッグシップモデル、「GALAXY S 4」を発表した。

photophoto 「Life companion(生活のお供)」と銘打った、「GALAXY S 4」。カラーはBlack MistとWhite Frostの2色

 このほか、GALAXY S 4は、2GバイトのRAMや16/32/64GバイトのROM(ストレージ)、2600mAhの着脱可能なバッテリーを搭載。OSには、Androidの最新バージョンであるAndroid 4.2.2が採用されている。カメラは裏面照射型CMOSセンサーで、13メガピクセル。通知パネル上のボタンをカスタマイズできたり、設定メニューがタブでジャンルごとに整理されていたりと、UI(ユーザーインタフェース)も「GALAXY S III」から大きく変化した。

photophotophoto GALAXY S 4の主なスペック(写真=左)。通知上のボタンのカスタマイズが可能になったり(写真=中)、設定メニューがタブで分けれたり(写真=右)と、UIも進化している

 このように華々しいスペックを引っさげたGALAXY S 4だが、UNPACKEDでは、これらが大きくフィーチャーされることはなかった。CPUやメモリについては、ほぼ言及がなく、スペックはスライド数枚でサッと紹介された程度に留まっている。Samsung電子はGALAXY S IIIのときから発表スタイルを大きく変え、具体的な利用シーンや端末のコンセプトの紹介に重点が置かれるようになった。昨年、ドイツ・ベルリンで開催されたIFAで「GALAXY Note II」を発表したときにも、このスタイルが踏襲されている。

 GALAXY S 4の発表では、その傾向がさらに顕著になった。イベントの冒頭では、同社のモバイル部門を統括するJK・シン氏が登壇。同氏が「我々1人1人にとって、人生は“旅”だ。我々は、その旅に参加することを可能にするデバイスを求めている。それは、人生を充実させるお供になるものである」と述べていたように、端末そのもよりも、新機能やそれがどう生活の中で役に立つのかの解説に時間が割かれた。

photophotophoto 会見に登壇したJK・シン氏も、端末のスペックではなく、新たな機能がいかに役立つかの紹介に徹底していた(写真=左)。シン氏が退場後、舞台には大掛かりなセットが現れ、演劇のようなスタイルで端末が紹介されていった(写真=中、右)

 新たに搭載される「Dual Camera」や「Smart Scroll」「Smart Pause」「Air View」なども、その流れの中で紹介されている。Dual Cameraは、インカメラとアウトカメラを同時に使って撮影する機能。撮影者自身も、写真の中に収まることができるのがメリットだ。Smart ScrollやSmart Pauseは、GALAXY S IIIに搭載された「Smart Stay」を発展させたもので、ユーザーの視線を検知して端末の操作を行う。画面を見ているときだけ傾きを検知して自動でスクロールするのがSmart Scroll。一方のSmart Pauseは、動画再生中に画面から目を離すと、自動的に再生がストップする機能だ。ほかにも、日本語にも対応した音声翻訳機能「S Translation」や、健康機器と連動する「S Health」、自動車で利用することを想定した「S Voice Drive」なども、GALAXY S 4から搭載される新機能となる。

photophotophoto インカメラ、アウトカメラの両方で同時に撮影を行う「Dual Camera」(写真=左)。ユーザーの視線を追う機能も強化された(写真=中)。また、「GALAXY Note II」に初搭載された「Air View」は、指での操作に対応した(写真=右)
photophotophoto 車での利用を想定した「S Voice Drive」(写真=左)や、健康機器と連携する「S Health」(写真=中)、翻訳機能の「S Translation」なども加わった(写真=右)

 スマートフォンのスペックをけん引してきたSamsung電子のGALAXYシリーズだが、昨年から徐々に他社の追い上げもペースが上がってきた。フルHDディスプレイを例に取っても分かるように、グローバルでも、すでに同じ解像度を持つ「Xperia Z」が発売されている。GALAXY S 4より前に発表済みの「HTC One」や「Optimus G pro」「Ascend D2」「ZTE Grand S」も同様に、フルHD対応ディスプレイを搭載している。

 オクタコアのプロセッサーは新しい点で、チップセットまで一貫して開発しているSamsung電子の強みだが、実態はクアッドコアCPUに、省電力コアを4つ足したもの。省電力にはプラスになるが、スマートフォンで最もバッテリーを消費するのがディスプレイであることを考えると、効果は限定的だ。またGALAXY S 4では、クアッドコアCPUを搭載するQualcommの「Snapdragon 600」を採用するモデルもある。「LTE対応モデルは基本的にクアッドコアになる」(Samsung電子関係者)という事情もあり、インフラの進んだ地域ではCPUも他社の端末と同じになるだろう。

photo LTEは最大6バンドに対応するが、オクタコアのCPUとはトレードオフになる可能性もある

 機能そのものや、スペックで他社を引き離すのは難しい。であれば、アプローチを変え、新たな利用シーンを創造した方がユーザーにも喜ばれ、差別化にもつながる。同社のGALAXY Noteシリーズもこうした状況の中で生まれた、新しいコンセプトの製品だ。

 ただ、GALAXY Noteシリーズとは異なり、GALAXYシリーズはより広い層に向けた、現時点で最高の1台という位置づけの製品になる。その分、利用シーンもGALAXY Noteより広くなりがちだ。発表会を見て、少々焦点が絞り切れていないと感じたのは、そのためかもしれない。GALAXY Noteシリーズにある「Sペン」のような象徴的なデバイスがないのも、そのような印象を与えた理由の1つだろう。もちろん、端末の完成度は抜群に高く、発表会で少し触っただけでも、UIまでよく考え抜かれた設計になっていたことはすぐに分かった。総合力の強さが光ったGALAXY S IIIにさらに磨きをかけたGALAXY S 4の世界的なヒットに、疑いの余地はない。

 導入国やキャリアの詳細は明らかにされていないが、JK・シン氏によると、「155の国や地域、327のキャリアから発売される」ことが決定している。発売は4月下旬から。今までドコモやKDDIがGALAXYシリーズを取り扱ってきたことを考えると、日本でも、GALAXY S 4は夏モデルとして登場する可能性が高い。GALAXY S IIIやGALAXY Noteに搭載されていたおサイフケータイやワンセグも、期待できそうだ。ただ、CPUは上述のようにLTEとの兼ね合いがあり、クアッドコアになると予想している。日本は、フルHDディスプレイ搭載のハイスペックなライバル機が多い市場でもある。その中でGALAXY S 4をどうプロモーションしていくのかは、キャリアやSamsung電子の手腕が問われるところと言えるだろう。

photo JK・シン氏は、GALAXY S 4が、155の国と地域で、327のキャリアから発売されることを明かした
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