OSアップデートに先駆けて、開発者向けにWindows Phone 7.8対応のSDKを提供している。すでに構築したWindows Phone 8の開発環境の上にもインストールが可能だ。このSDKの内容は、新しいライブタイルの動作を確認するエミュレータが中心で、新しいAPIの追加はない。APIに変更がないということは、Windows Phone 7.8専用のアプリも存在しないことを意味する。唯一、新しいライブタイルを活用するには、アプリ側の修正が必要となっているが、これはAPIではなく設定ファイルの変更で対応できる。
このように、Windows Phone 7.8の根幹はWindows Phone 7.5とほとんど変わっていない。Windows Phone 7.5のアプリがそのまま動作する一方で、Windows Phone 8のアプリは一切動作しない。OSバージョンからも想像できる通り、Windows Phone 7.8は「Windows Phone OS 7.1」系の最新版といえる。
Windows Phone 7.8は「OS 7.1」系として最後のアップデートとなるのだろうか? この点についてNokiaが作成したスライドでは、今後も“7.x”系列のアップデートが続くことを示唆している。また、MicrosoftはWindows Phone 7.8のサポート期限を2014年9月と定めており、セキュリティアップデートなどを随時提供する予定だ。
Windows Phone 7.8の提供開始後、ライブタイルに関する不自然な挙動が多数報告されている。具体的にはスタート画面のライブタイルについて、タイル内容をアップデートしなくなったり、パケット通信量が急増するなどの現象が報告されている。ライブタイルはWindows Phoneにおいて最も重要な機能の1つで、リリースに至るまでの品質管理プロセスに疑問を感じざるを得ない。
これに関連してMicrosoftはアップデートの提供を一時中断していたが、現在はこの問題を修正したとみられるアップデートの提供を再開しており、auも3月21日からIS12T向けのアップデート配布を順次再開した。
この修正により、新たに「7.10.8860.142」(約343Kバイト)と「7.10.8862.144」(約136Kバイト)の小規模アップデートを追加し、最終的なWindows Phone 7.8のOSバージョンは7.10.8862.144となった。
Windows Phone 7.8を導入した新製品は、主に新興国市場を想定した低価格モデルとなる。そのコストダウンの一環として、物理的なカメラボタンを持たない端末をサポートする。これは、Windows Phone 7.8のアップデートの一部である「7.10.8783.12」に含まれる変更点だ。
これまでのWindows Phoneでは、ハードウェア要件を定める「シャーシ」仕様において、物理的なカメラボタンを必須としてきた。しかし、Windows Phone 7.8世代では、カメラボタンのない端末もサポートすることになった。
その具体例として、2012年12月に登場した「ALCATEL ONE TOUCH VIEW」がある。すでにロシアで販売しており、価格は6990ルーブル(約2万1500円)。同じくローエンドのWindows PhoneであるNokiaの「Lumia 610」より3000円ほど安い。
Windows Phone導入デバイスでは、カメラボタンを長押しすることで、ロックを解除せずにカメラアプリを起動できる。これは、Windows Phoneの特徴的な機能の1つだったが、一方で、この変更により、Android導入端末とハードウェアを共通できる部品が増えることにもなる。この効果によって、低価格端末が今後増加することを期待したいところだ。
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