LINE、カカオトーク、commの各サービスは、主にスマートフォン向けに無料通話やメッセージを提供するアプリだ。会員同士のコミュニケーションに注力し、手軽な認証方法やアドレス帳を用いたユーザーのマッチングなど、仕様が共通している部分も多い。
次に紹介するのは、機能的には似ているが方向性がやや異なるアプリだ。その1つがマイクロソフトが提供する「Skype」。もともとはPC向けの無料IP電話として、旧Skype Technologyが2004年に正式サービスを開始。その後対応デバイスを次々と拡大し、今ではスマートフォンでも広く使われている。旧Skypeは米eBayなどの子社会化を経て、2011年10月にマイクロソフトに買収され、現在は同社の一部門としてサービスを提供している。
歴史も古く、そのユーザー数は全世界で5億人以上と言われている。さらに、マイクロソフトが自社のメッセージサービス「Windows Liveメッセンジャー」とSkypeの統合を進めており、これが完了すればユーザー規模が一段と拡大するだろう。
SkypeはPC向けとしてスタートした背景もあり、使い始めるにはメールアドレスを登録してID(Skype名)を取得し、パスワードを使ってサービスへのログインが必要だ。実はこの点が“スマホ世代”にとってのハードルになっている感がある。
というのも、前述の3アプリのように初めからスマホ向けに開発されたサービスでは、携帯電話番号宛てに送信するSMSでユーザーの登録と認証を行っており、機種変更などをしない限りはIDやパスワードを意識することはない。Skypeも一部のプラットフォームで登録手順を簡単にする工夫をしているが、これからスマホユーザーをどう確保するかが重要になるだろう。
一方で大きな強みと言えるのが、IP電話サービスの経験に裏付けされた通話機能の充実ぶりだ。会員同士の無料通話はもちろん、スマートフォンのインカメラを使って、お互いの顔を見ながらのビデオ通話も可能だ。さらに有料にはなるが、固定電話や携帯電話へ発信できる仕組みや050番号の取得メニューも用意している。グループ通話に関しては、スマートフォンのSkype利用者が主催することはできないが、他の人が主催したグループに参加し、複数人で会話することは可能だ。
充実した通話機能を持つ一方で、テキストによるメッセージのやり取りをするインスタントメッセージ機能は非常にシンプル。ファイル送信機能は充実しているものの、スタンプはない(絵文字はある)。こうした点も、ほかの無料通話・メッセンジャーアプリとの違いが大きく出ている部分といえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.