スマホ向け無料通話・メッセージアプリの現状を探る(前編)利用者急増中(4/5 ページ)

» 2013年04月22日 13時00分 公開
[佐野正弘,ITmedia]

全世界で5億人が利用 通話機能に強みを持つ「Skype」

photo 「Skype」

 LINE、カカオトーク、commの各サービスは、主にスマートフォン向けに無料通話やメッセージを提供するアプリだ。会員同士のコミュニケーションに注力し、手軽な認証方法やアドレス帳を用いたユーザーのマッチングなど、仕様が共通している部分も多い。

 次に紹介するのは、機能的には似ているが方向性がやや異なるアプリだ。その1つがマイクロソフトが提供する「Skype」。もともとはPC向けの無料IP電話として、旧Skype Technologyが2004年に正式サービスを開始。その後対応デバイスを次々と拡大し、今ではスマートフォンでも広く使われている。旧Skypeは米eBayなどの子社会化を経て、2011年10月にマイクロソフトに買収され、現在は同社の一部門としてサービスを提供している。

 歴史も古く、そのユーザー数は全世界で5億人以上と言われている。さらに、マイクロソフトが自社のメッセージサービス「Windows Liveメッセンジャー」とSkypeの統合を進めており、これが完了すればユーザー規模が一段と拡大するだろう。

photophoto IP電話アプリの先駆けともいえる「Skype」。手軽さではほかのアプリに譲る部分もあるが、充実した通話機能を備えるのはメリットだ(写真=左)。別途有料の料金を支払うことで、会員同士だけでなく、固定電話や携帯電話に対して通話発信することも可能(写真=右)

 SkypeはPC向けとしてスタートした背景もあり、使い始めるにはメールアドレスを登録してID(Skype名)を取得し、パスワードを使ってサービスへのログインが必要だ。実はこの点が“スマホ世代”にとってのハードルになっている感がある。

 というのも、前述の3アプリのように初めからスマホ向けに開発されたサービスでは、携帯電話番号宛てに送信するSMSでユーザーの登録と認証を行っており、機種変更などをしない限りはIDやパスワードを意識することはない。Skypeも一部のプラットフォームで登録手順を簡単にする工夫をしているが、これからスマホユーザーをどう確保するかが重要になるだろう。

photophoto ビデオ電話ができるのも、他にはないSkypeの大きな特徴。最近はインカメラを搭載したスマートフォンも増えたことから、活用しやすくなったといえる(写真=左)充実した通話機能を備える一方、インスタントメッセンジャー機能はスタンプ機能ももなく非常にシンプル(写真=右)

 一方で大きな強みと言えるのが、IP電話サービスの経験に裏付けされた通話機能の充実ぶりだ。会員同士の無料通話はもちろん、スマートフォンのインカメラを使って、お互いの顔を見ながらのビデオ通話も可能だ。さらに有料にはなるが、固定電話や携帯電話へ発信できる仕組みや050番号の取得メニューも用意している。グループ通話に関しては、スマートフォンのSkype利用者が主催することはできないが、他の人が主催したグループに参加し、複数人で会話することは可能だ。

 充実した通話機能を持つ一方で、テキストによるメッセージのやり取りをするインスタントメッセージ機能は非常にシンプル。ファイル送信機能は充実しているものの、スタンプはない(絵文字はある)。こうした点も、ほかの無料通話・メッセンジャーアプリとの違いが大きく出ている部分といえる。

photo iOS版「Skype」
photo Android版「Skype」

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