チョウ氏が「スマートフォンのイノベーションはカメラだ」と言うように、HTC J Oneのカメラにはいくつかの“はじめて”が詰まっている。従来のスマートフォンは画素数を上げることでスペックの高さをアピールしてきたが、伊藤氏は「画素数を上げることが果たして進化なのか」と疑問を抱いたという。UltraPixelは、画素サイズを大きくして光量を増やしたことで、低照度の環境でも自然な色合いを実現した。
村井氏も「確かに数字を上げることで一般受けはするが、安易に画素数を上げることはしない。時間はかかるかもしれないが、お客様には店頭で撮影画像のきれいさを知ってほしい。この設計思想は次のモデルにも継承していく」と語った。「あえて400万画素という数字に決めた理由は」という質問に対して、伊藤氏は「PCのディスプレイやテレビなどで閲覧するときにクオリティが保てること、あとはモジュールのサイズが決定要因」と述べ、あくまでクオリティを重視する姿勢を貫く。
「時間のウィンドウを記録する」がコンセプトの「HTC Zoe」は、シャッターを押す1秒前から4秒間の20枚の写真と、シャッターを押してからの3秒間のビデオを撮影する。撮影した写真と動画を、音楽とエフェクトに合わせて30秒間の動画として自動編集される「ビデオハイライト」も用意した。田中氏は「音楽にマッチした動画を再生することに感動した」と驚いていた。写真の編集機能も充実させ、目や輪郭の大きさまでも自由に変えられる。説明員も「プリクラのような感覚で写真が編集できるので、女性ユーザーの満足度も高いのでは」と自信を持つ。
HTC J Oneのデザインは、3つのコンセプトから成る。「シンプル」、細部にまでこだわる「クラフト」、人の使い方に合わせて作り込む「ヒューマン」だ。「素材をそのまま生かしたフルメタルボディは、技術的にもブレークスルーだった」と伊藤氏。従来のスマホは電波を通しやすいプラスチックを使う必要があったが、HTC J Oneは独自のアンテナ技術で問題なく信号を受信できる。さらに「中心部からサイドにかけて徐々に薄くなっていくデザインを実現するのに最も苦労した」と続けた。なお、「フルメタルにこだわったため、今回は防水仕様を見送った」という。
西田氏も、細部への作り込みに注目した。「裏蓋を外すと、バッテリーケースなどの細部までしっかり作り込まれている。堅牢で、弱々しさや安っぽさがない。表面を触ってみると、ちょっとした出っ張りがあり、画面の縁が分かりやすくなっている」と、実際に使用したからこそ分かる魅力を語った。今回はホワイトメタルとブラックメタルの2色だが、HTC J butterfly HTL21のレッドのようなビビッドなカラーは出ないのかという質問に対して、伊藤氏は「色はグローバルのディレクションに合わせた。色の追加は検討している」と答えたので、期待したい。
また、ニューヨークタイムズやウォールストリートジャーナルなどに寄稿する有名な海外コラムニストからも、HTC J Oneは高い評価を受けていると伊藤氏は紹介した。
「HTCは世界的には有名だが、日本での認知度はまだ低い。今後どのようにブランドイメージを構築するかは重要なテーマ。CMや店舗プロモーションで、根気強くHTC J Oneの魅力を伝える。使いやすさを知ってもらうためにも、継続することが大事」と、村井氏はHTC J Oneに懸ける思いを語った。「ターゲットは20代〜30代の男女。ものにこだわりがあって、自分の言葉で商品の良さを伝えられるような人に使ってほしい」と述べた。
チョウ氏は「2人のCEO(チョウ氏と田中氏)の情熱を感じてほしい。単なる製品の供給ではない。KDDIのユーザー向けに最適化されたHTC J Oneが提供する、まったく新しくすばらしい経験をぜひ体感してほしい」と胸を張る。
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