どこまで完成度が上がった?――「ARROWS NX F-06E」の実力を徹底検証(2/3 ページ)

» 2013年05月22日 21時51分 公開
[石野純也,ITmedia]

サクサクタッチパネルの名誉挽回、操作に引っ掛かりはなし

 過去のARROWSシリーズには、「サクサクタッチパネル」をうたいながらも、必ずしもレスポンスがよくないことがあった。スクロールがガタついたり、タッチに正確に反応しなかったりと、さまざまな課題があり、ここも品質に対する不満につながっていた。一方で、ARROWS NXについては、厳しく見ても、試用期間中、タッチパネルの反応が悪いと感じたことはなかった。スクロールに対してはしっかり画面の表示が追従し、タップしたアプリも確実に起動する。

photo タッチに対する追従性は、確実に過去のモデルより高い。これなら、ストレスなく操作できそうだ

 レビューでは、ホーム画面を富士通製の「NX!ホーム」に設定していたが、ここでの動きもサクサクと言える。ただし、ホーム画面をスクロールする際に入る“間”がないのは少々気になった。言葉で表現するのは難しいが、フワッとした動きではなく、ビュンっと素早く画面が動く。ARROWS NXに限らず、端末によってはこのようにチューニングされていることもあるが、筆者の好みはどちらかと言えば前者の方。あまりに速いと、逆に心地よさを感じない。もちろん、人によって好みが分かれるところで、こうした感覚に関する部分は実機で必ずチェックしておいた方がいい。

photo 「はっきりタッチ」で、バイブの強さを変更することが可能。この機能も、操作性を向上させるのに一役買っている

 もう1つ操作感で言及しておきたいのが、画面をタッチした際にバイブがほどよく震えること。ARROWS NXには「はっきりタッチ」という機能があり、オンにすると、画面内のキーをタップしたときや、スクロールしたときに、本体が小刻みにブルっと震える。これによって、操作をきちんとしていることが指にフィードバックされる仕組みだ。このバイブは「マイルド」「ふつう」「強い」の3段階に強さを変更できる。筆者は普段、ほかの端末を使うときもバイブをオンにしているが、端末によってはバイブが弱すぎたり、逆に強すぎたりすることがある。タッチとバイブのタイミングが合わないという機種も、残念ながら存在する。ARROWS NXでは「マイルド」に設定して使ったが、このバイブのフィードバックが的確で程よい。3段階に変更でき、好みに合わせられるのも評価したいポイントだ。

 もっとも、バイブの強さが一律で変更されてしまう点は、まだ改善の余地がある。例えば、キーボードや画面上のキーをタップしたときは強く、スクロールのときは弱くというように、設定を使い分けることはできない。個人的には、スクロール時のフィードバックは不要で、キーボートは強め、バックキーやホームキーは弱めの振動が理想的。機種によっては、このようになっているものもある。非常に細かな点だが、操作性に関わるだけに、この設定はより柔軟にできるようにしてほしい。ただ、あまり設定項目を多彩にしてしまうと、今度は、設定が複雑という印象も与えてしまいかねないだけに、悩ましいところなのかもしれない。

 また、操作性に関しては、新たに搭載されたホバリング機能が、個人的には少々使いにくかった。特に、画面の上下に指を近づけると自動でスクロールするブラウザ起動時のホバリングは、誤操作の元になることが多かった。オフにもできるため、気になったら設定は変更しておくようにしたい。

photo ホバリング機能は、ブラウザ起動時に、指を画面の上下に近づけるだけでスクロールできる機能。ギャラリーや「docomo Pallet UI」のアプリ一覧でも利用できる。ホバリング操作中は、写真のように、画面下部が水色になる
photo ギャラリーの画像を表示した際に、少々レスポンスが落ちることがあった

 一方で、「ギャラリー」で写真を表示したときは、表示にちょっとした間があるように感じた。ARROWS NXのカメラは1630万画素と“超高画素”だが、その分写真のサイズが大きくなってしまう。これをフルHDのディスプレイで描画し、なおつかつ「高性能画像処理エンジン」で色調や階調、輪郭を補正しているため、CPUやGPUに相当な負荷がかかっていることが考えられる。「画質=画素数」ではないため、「HTC J One HTL22」のようにピクセルサイズを大きくしたり、画質はそのままでもう少し低い画素数のカメラを採用したりといった、操作感を高める工夫はほしかった。

カメラは予想以上に高画質、UIもシンプルで使いやすい

 次に、その写真を撮るためのカメラを見ていこう。ARROWSシリーズは、春モデルの「ARROWS X F-02E」から、カメラのUI(ユーザーインタフェース)を一新。シャッターボタンと、フラッシュボタン、設定を呼び出す「MENU」だけが画面上に表示される、シンプルな画面表示を採用した。スマートフォンはあくまでスマートフォン。デジカメとは異なり、設定を工夫して絵作りを楽しむというより、手軽にキレイなスナップ写真が撮れる方がいいと、筆者は考えている。その意味で、このカメラのUIは高く評価したい。カメラを起動し、シャッターを切るだけで、色味や明るさも自動で調整してくれる。もちろん、細かな設定を変えたいときは、MENUをタップすればいい。

photo シンプルなカメラのUI。設定など、複雑なことは考えず、被写体にピントを合わせてシャッターボタンを押すだけでいい

 スペックは、先に挙げたように、画素数は1630万画素。センサーには、ソニーの裏面照射型CMOS「Exmor R for mobile」を採用している。エンジンは、富士通の開発した「Milbeaut Mobile」で、実は業界内での評価が非常に高く、採用例も多い(各メーカーによってカスタマイズされているため、名前が表に出ることは少ないが……)。実際、何枚か写真を撮ってみたが、そのスペックに偽りなしの仕上がりだった。屋外で撮った写真を見ると、色が鮮やかで、クッキリしている。やや暗めの室内でも、ノイズが非常に少ない。厳密に比較したわけではないが、デジカメブランドを冠してカメラを売りにしている機種と、互角かそれ以上に戦えるカメラだと感じたほどだ。

photophotophoto 屋外での写真が色鮮やかなのはもちろんだが、少々暗めの室内でもノイズが少ない優秀なカメラだ

 それだけに、画素数を1630万と高くしてしまったのは少々もったいない気もした。写真が大きくなれば、それだけデータのサイズも上がってしまう。表示に負荷がかかるのはもちろん、送受信にも時間がかかる。最近では多くのアプリがアップロードの際に、自動でリサイズをかけているが、そうでない場合には少々取り扱いが面倒だ。スペックで訴求するのは確かに分かりやすいが、ここでの競争はあまりユーザーのためになっていないように思える。

 撮った写真は、カメラ起動時に画面を左にフリックすると見られる。機種によっては画面上に小窓が表示され、そこから写真に飛べるが、ARROWS NXではそういったガイダンスがない。これも、少々不親切だと感じた。シンプルで使いやすい半面、もう少し情報量を増やしてもいいのではと感じた次第だ。

photo カメラ起動中に左にフリックすると、撮った写真が表示される

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