開発陣に聞くARROWS NX F-06Eの「ダイヤモンドタフコート」汚れが付きにくく傷に強い(2/2 ページ)

» 2013年07月26日 10時00分 公開
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ダイヤモンドをARROWS NX F-06Eに採用した理由

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―― ダイヤモンドタフコートに使われているダイヤモンド粒子は目に見える大きさですか。

稲村氏 それならよかったのですが(笑)、見えません。見えればキラキラ光って「すごいきれいでしょ」といえるのですが、残念ながら粒子が非常に小さくて肉眼では見えません。

―― なぜダイヤモンドを使おうと思ったのでしょうか。やはり……

稲村氏 ええ、非常に硬い物質ですから。でも実際に、硬く削れにくくなっているのは、実験や社内の調査でも確かです。

 建築の分野では骨材(こつざい)効果といわれる効果があります。コンクリートの中に石や砂利を混ぜることで、その材質を入れると全体が硬くなる。ダイヤモンドタフコートの場合は削れにくくなるというのが正しいんですが、骨材硬化を同じ働きを狙っています。骨材効果は入れるものによって硬さが変わりますから、今回はダイヤモンドを選びました。

―― どれくらい強くなっているのでしょうか。

稲村氏 社内の評価方法なので一般的ではありませんが、通常の塗装から約3.5倍強くなっています(ARROWS X F-05Dとの比較)。

 評価方法は、実際の使われ方とその場合の傷の付き方を考えたものです。こすったり何かで傷を付けたりという試験を繰り返して、傷が入る、入らないをチェックします。中には「ちょっとそれはないだろう」というような意地悪試験みたいなことまでやっていますが、詳しくは申し上げられません。

―― ダイヤモンドを使うくらい、スマホに傷が付かないようにしてほしいという要望が多かったのでしょうか。

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吉田氏 そうですね。弊社では定期的にユーザーの満足度調査をしていますが、塗装の傷に関しては不満度で5本の指に入る項目です。塗装を剥がれにくくしてほしいという要望は、フィーチャーフォンでもスマートフォンでも変わらずあります。ダイヤモンドタフコートはこうした声に応えるために開発した経緯があります。

―― そもそも、塗装の剥がれや傷の原因はどういったものが多いのでしょうか。

稲村氏 いろいろありますよ。ストラップの金属製チャームが塗装面を引っかいて傷が付く、落下してヒビが入ってそこから剥がれる、ポケットの中でコインや鍵とこすれて、などさまざまです。指先や布でこすったくらいでは塗装は剥がれたり傷は付きません。塗装の基準を作ってそれをクリアさせるようにはしていますが、想定外の使い方があるのでなかなか難しいですね。

―― ダイヤモンドタフコートが適用されているのは背面だけでしょうか? 側面の端子キャップなどもコートされていますか。

吉田氏 キャップだけでなく、正面のディスプレイ下の部分もダイヤモンドタフコートを採用しました。ディスプレイはさすがにコーティングしていませんが、特殊強化ガラスを使って細かい傷が目立たないような処理をしています。またディスプレイには触っても指紋が付きにくく、操作性も考えて開発した「さらさらコートディスプレイ」も採用しました。ARROWS NX F-06Eはダイヤモンドタフコートと特殊強化ガラスでくるまれているスマホです。

ダイヤモンド粒子を使う難しさ

―― ユーザーの反応はいかがですか。

吉田氏 現場の声やネットの評判を見ると、お客様からは満足いただいているようです。

稲村氏 長く使わないと分からないですから、まだなんとも言えません。

―― このままクレームがこなければ、成功ですね。

稲村氏 そうありたいですね。

―― ユーザーがダイヤモンドタフコートの効果を実感するのはどんな場合でしょうか。

稲村氏 そこが難しいですね(笑)。長い間使っていただいて初めて出てくる効果だと思います。ダイヤモンドタフコートでも鍵でガリッとやられたら、塗装まで傷が付きます。落としたりしても結構厳しいですね。ボディが変形しちゃうと、もうダメです。あくまで塗装ですから、傷が「付かない」じゃなく「付きにくい」です。

―― 傷が付かないくらい硬くすることもできたのでしょうか。

稲村氏 そうしたアプローチも検討しました。表面が削れない方がいいと考え、当初はトップコート層にダイヤモンド粒子を使いました。ところがトップコート層にダイヤモンド粒子を入れると、その粒子自体が悪さをしてしまう。いろいろ条件を変えてみましたが、最終的な塗装の外観品質を保てませんでした。

 そこで考え方を変え、トップコートの下にダイヤモンド粒子を入れた塗装層を設けたところ、格段に塗装の外観品質がよくなりました。製品ではダイヤモンド粒子の入っている塗装層は、(表面をコーティングする)ウルトラタフガードplusの下、塗装面にあります。外観品質を維持しながら塗装の耐久性をあげることが、今回一番苦労したところです。

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デザインの自由を妨げない技術が必要

―― 非常に硬い物質としてダイヤモンドを採用されましたが、今後はどのように進化するのでしょうか。

稲村氏 いきなりダイヤモンドではなく、小出しにして徐々に強くすべきだったかなと思っています(笑)。他社との競争上はそうもいってられませんが。塗装のほかの仕様を改善して、傷付かないようにということは、今も継続して取り組んでいます。

 ダイヤモンドタフコートの実用化で大きな成果と言えるのが、端末のデザイン、特に表面仕上げの自由度を高められたという点ですね。少し前のスマホは光沢があるグロス仕上げのカラーリングが流行でした。しかし今はツヤがないマット仕上げが増えてきています。

 でもダイヤモンドタフコートは表面から下の層で傷を抑えています。トップコートに傷が入るのはある程度仕方がないとして、その下で止める。この方法なら、表面の仕上げの自由度を上げることができます。

―― どんな仕上げでも傷に強い塗装ができるようになったわけですね。

稲村氏 そうです。例えば塗装の耐久性を維持するためにトップコートの仕様が限定されてしまうと、デザインの表現まで限定されてしまう。同じツヤ消しでも、最近はサラサラだったりしっとりだったりと、さまざまな触感が求められます。いろいろな表現がなされていて、そういう中で傷の付きにくさをある程度維持できる仕様にしなくてはいけない。同時に、デザイナーの自由度を狭めてしまわないよう、多種多様なものに応用できるものでないといけません。

―― 今後、取り入れていきたいと考えている技術がありましたらお聞かせください。

稲村氏 ダイヤモンド以外のいろいろな素材も調査・検討していますが、どれが使えるのか、使いこなせるか、そもそもダイヤモンドタフコートより耐久性をあげられるのか等、課題は多いです。また見た目や作りやすさも重要です。最終的に、塗装の耐久性や外観品質の他に、デザインや生産工程など、さまざまな要件を高いレベルで満足させることが難しいところですね。

 いずれにせよ、ユーザーにとってはとにかく傷に強く汚れにくいことが求められます。ダイヤモンドタフコート以降も、汚れない・傷つかない、この要素を突き詰めていきたいですね。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2013年9月30日

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