―― WiMAXはいままでデータ通信量の制限がなかったが、TD-LTEになったらどうするのか。
野坂社長 これは悩みました。もう少し、サービス開始前になったら、条件などもお話ししたい。検討中。料金をどうしようか、その時に制限はどうすべきか、などを単純にどちらかとは言えない。
(★これ自分の質問。確かにTD-LTEで通信制限があったら、ユーザーはWiMAXに居座ってしまうので、移行もスムーズに行かないだろうし。悩みどころですな)
―― VoIPなども視野にいれるのか。
野坂社長 アプリレベルのVoIPは考えていない。MVNO側でそういうされることはあり得るが。
要海ネットワーク技術部長 音声通話サービスをやるつもりはないです。勝手にLINEなどを使ってもらう分には構わないが、当社が音声通話のシステムを持って提供するということは考えていません。
―― 110Mbpsと220Mbpsの提供時期はいつごろになるのか。
野坂社長 10月には110Mbps、年が明けた3月ぐらいには220Mbpsを考えています。そのあたりは、予定だと理解していただければと。
いま他社で110Mbpsがあったり、NTTドコモも150Mbpsを始めようとしているが、220Mbpsが出た段階で国内最速になる。現行のWiMAXは40Mbpsだが、ノーリミットということで喜んでもらっている。しかし、だんだん速度劣後も出てきているので、220Mbpsで国内最速に戻りたい。5年かけて1Gbpsも狙っていきたい。社会的な意味もここにあるかと。
(★確かに1Gbpsは楽しみ。バッテリーが一瞬でなくなりそうだが)
―― 計画では90万カ所ぐらいフェムトを入れるとあったが、あれは何なのか。
野坂社長 屋内が足りていないという議論があって、地下鉄、地下街、空港、駅はずいぶんがんばっているが、その次にどうやって行こうかと考えたときに、そういった公共機関で人が集まるところを先にやりましょうと。
次にイベントや大きな商業施設をやっていった。その次に法人や個人をどうしようとかと考えたときに、優先順位としては下がってしまうが、屋内対策をする必要がある。ユーザーニーズに応じて、やっていこうかと考えている。
(★確かに屋内環境はかなり弱いのでフェムトは欲しいな)
―― ネットワークの作り方で、ソフトバンクの宮川さんが批判的な言い方をしていたが。
野坂社長 その手の議論には一切乗らないと思っている。なぜかというと、何て言うか、今回はUQが400万のユーザーがいて30MHz、あちらは120万ユーザーで20MHzで、単純に割ると、あちらは1MHzで6万、こちらは1MHzで13万ということになる。そういう比較をしたのがすべてだと僕は思っています。
技術論をここで言っても意味があるとは思えない。生産的ではない。言い方悪いですけど。
(★UQ、至って冷静な感じ)
―― このような囲みでなくて、記者会見をやればいいのではないか。
野坂社長 やりたいと思っている。いまはホットな感じなってしまったので、かえってそれって話が混乱して良くないかと思っている。当社は認定をもらいましたと正々堂々とやりたいと思っています。しかし、話が混乱して良くないと思っていて、ここにもらった電波の意義は理解していただいたので、こうした技術を入れて、社会をもっと豊かにしていくのはきちんと言いたい。右だ左だという議論は、基本的には総務省さんとソフトバンクさんとの話なのだから、我々は巻き込まれず、きちんと皆さんにそういうテーマとして聞いていただけるときにやりたいと思っています。
―― サービスの開始前ぐらいになりますか。
野坂社長 そうですね。それが一番だと。ちょっと世間から面白おかしく見られたりしますので。
―― WiMAXがTD-LTE互換になる上での意味合いを改めてお願いします。
野坂社長 これは去年の10月末にWiMAXフォーラムで、AdditionalElementを入れたのが大きな転換点。グローバルで見たときにインテルがWiMAXを縮退させましたし、ちょっと状況が変わってきた。
その経験を生かした上で、やっぱりグローバルなエコシステムを築くためにTD-LTE互換はいいものだから、まずやることによって、国際的にも意味があること。我々が見ているのは韓国、マレーシアのような、いままでWiMAXをやっていたところは、こういった流れになるだろう。先ほど、副大臣も言われたが、国際のことも考えながらやっていく必要がある。
(★ホント、周波数もらえなかったら、UQは経営難になった当時のウィルコム以上に散々な状況になっていたと思う。周波数がもらえたことで、なんとか生き残れた感じ)
―― ユーザーとしてはTD-LTEでのアメリカローミングもやりたいと思うだろうが。
野坂社長 この辺はソフトバンクグループがどうするかというのもあると思いますが、僕らもいろんなことを考えていて、やっぱり単一のグループで全体を仕切ってしまうというのは、あまりなくて、僕らが知恵を出して、アメリカや中国でできるようにしていかないといけない。これは大きなテーマ。
(★せっかくTD-LTEを導入するのだから、アメリカもそうだけど、中国とかもきっちりと対応して欲しいな)
―― 先頃、現行のWiMAXでアメリカローミングが有料化されたが。
野坂社長 勘違いをされているのだが、あれはもともと予定通り。外国のクレジットカードがアメリカでは使えないというのがあって、有料にするのができなかったので無料にしていた。システムができたので、有料にした。それが買収と重なったので、あらぬ誤解を生んだのが本当のところ。
(★タイミングがばっちりすぎた)
―― M2Mの動きもあるが、当面はコンシューマーのほうが恩恵を受けられるのか。
野坂社長 高速になるし、WiMAXの世界はM2Mというのが大きな宝の山でチャレンジしないといけない。JR東日本さんとかいろんなところでM2Mをやって来ているが、まだボリューム的には足りない。これは大きなテーマとして取り組みたい。
―― 今後も電話番号いらずのM2Mか
野坂社長 M2MでSIMは厳しいが、これからシステムを考えないといけない。
またサービスが見えてきたときに、みなさんに集まっていただいて、いままでの趣旨を説明したい。いままでやってきたこと、今回、割り当てられて連続50MHz、110Mbpsから始まって、5年後には1Gbpsを目指すとなると、だいぶ日本でも固定網との関係性なども変わってくる。既存のお客様にも迷惑をかけず、オーバーレイでやっていけば割と綺麗に移行して、フルに50MHzを出せるのではないか。
既存の基地局を活用していくということは、エリアの広さ感覚も現行のWiMAXとほぼ同等に近いのかも知れない。いままで届いていない屋内はフェムトでカバーしていくという考えのようだ。
やっぱり、たった3カ月で端末や基地局を用意するというのはあまり時間がなさ過ぎるし、10月末に合わせるためにきっと事前に準備をしていたんだろう。
サービス開始時に注目は「通信制限」がないままでTD-LTEサービスを提供できるかという点。WiMAXでは制限をしなくて、ユーザーが喜ぶ一方で、逼迫して苦労している雰囲気もあるだけに、どんな施策を打ってくるかが気になるところだ。
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