―― 3つのサービス、改めて既存のユーザーの顧客満足度を上げるためなのか、それとも離反を防ぐためという背景があるのか。
舛田執行役員 もちろん、我々として、多くのユーザーをいただいているが、我々が進化しなくては、すぐに我々の元を離れてしまうという危機感があります。ビデオ通話であれば、テキストから始まり、無料通話の品質を上げ、先ほど発表したように900%以上、利用頻度が向上している。ようやくこの段階になって、次にシフトできる。
ほかにも、スタンプから始まって、マンガに行って、コンテンツプラットフォームとして我々も自信が出ましたし、ユーザーとしても理解してくれた。その次は音楽だということ。
―― マイレージサービスが遅れている理由は何なのか。
出澤剛取締役 最初にお伝えしたのも目処だったので、いま企画を練りに練っている段階。
―― 反応はどうか。
出澤取締役 それも含めて、熱い期待をいただいている面と、ヒヤリングを進めるにつれ、もっとこういうものが欲しいと言うオーダーも見えている。そういうものも含めて練り込んでいる状態。
―― マストバイの効果で、象徴的なものはあるか。
出澤取締役 さきほど、ご説明したように、桃の天然水などは非常に効果が出ており、16%という数字は詳しくないとわからないのだが、結構、すごい数字で、出荷数の16%がキャンペーンに参加してくれたというのは、効果があったと。担当の方ももっと出荷しておけば良かったという話も頂戴した。5つぐらいキャンペーンを手がけているが、すべて効果があった。失敗しているものはない。
(★ マストバイとは商品を買った人だけがスタンプをダウンロードできるというもの。確かに16%は驚異的な数字と言えるかも)
―― 最近、メディアがやたらとLINEを悪者にしようとしているが、それについての反論は。
森川社長 注目されているということだと思う。僕もメディア出身なので、僕らがどれだけ本当に理解をしていただくかが重要だと思っている。努力はしているが、メディアの方々から、まだ足りないという認識だと思いますので、それに対しても真摯に受け止めて、より強化していきたいと思います。
(★ これ自分の質問。新しいプラットフォームは、大きくなり始めるとメディアに叩かれるものなので、LINEにはなんとか踏ん張って欲しいな)
―― グループの利用人数を減らすといったことは考えていないのか。
森川社長 そういうことではないのではないか。機能で対応することではなくて、LINEはどういう目的で使うものなのか、どういう価値があるのかをしっかりと理解してもらうことが重要かなと思っている。世の中、歴史的にも便利なものが出てきて、事件が起きてダメなんだというのではなく、正しい使い方をちゃんと理解してもらうことが重要だと思っている。そこが僕らはできていないからこういうことが起こっていると思うので、まず、しっかりやっていきたい。
―― 国内では飽和している危機感があるのか。焦りがあるのか。そのための海外強化なのか。
森川社長 ユーザー数を増やすことはそうなのだが、日本で求められているのはLINEが生活のなかでどれだけ意味があるのかという点に僕らはチャレンジしている。新しいサービスも出しますし、安心、安全も重要。おそらく海外においても同じようなプロセスになっていく。僕たちが生活のインフラになっていくということは、そういうことだと思っている。
まずはユーザー規模を増やすのだが、ちゃんと生活においての安心、安全を確保することが大事だし、現地のパートナーとエコシステムを作っていくかが重要かと思っている。
―― ユーザー数の拡大を掲げていくのは変わらないのか。
森川社長 世界でナンバーワンのサービスを目指すと言うことだ。
―― ドコモとの協業における進捗はどうか。
森川社長 らくらくホンでのサービス提供への準備は順調に進んでいる。家族の利用が増えており、お孫さんとおじいちゃん、おばあちゃんとのやりとりが増えている。文字だと打てないが、スタンプなら気持ちが送れるといったことや、夏休みの旅行の写真を共有するといったり、既読が出たら家族が安心するといった使い方が増えているので、数も大事だが、使い方も多様化している。
―― 最近、既読疲れといった言われ方もしているが、機能面の見直しはしないのか。
森川社長 おそらく、いい面と悪い面の両方がある。悪い面ばかり目立ってしまうのかも知れないが、既読があることで返事を返さなくていいとか、安心感があるというのは強みだと思う。変えることは考えていない。
(★ これも自分の質問。別に既読したからって返事を返す必要なんてないと思うんだけどねぇ。そこを強要する風潮がある限り、どんなサービスでも堅苦しくなるだけだ)
―― 新興国のユーザーの広がりを意識して、FirefoxOSなどの対応はしていくつもりか。
森川社長 随時、必要があれば対応していく。
―― だいぶ前に黒字化しているのか。
森川社長 何を持って黒字化しているのかという定義は難しく、今日は答えられない。
―― 海外展開や新サービスにあたっての資金力、エクイティファイナンスの必要性は考えているか。
森川社長 投資のバランスだと思っている。我々も闇雲に投資しているのではなく、意味ある投資を続けながら成長していきたい。時にはそういう必要もあるが、闇雲に必要だというわけではない。
―― いま、資金的に困っているわけでない?
森川社長 そうですね。
―― コンソールゲームへの進出はないのか。
森川社長 私どもはインターネットサービスの会社ですし、強みもそこにあると思っている。それ以外は得意ではないので、得意なところにリソースを集中して、イノベーションを起こしていきたい。
去年はヒカリエホールで開催したカンファレンスだったが、今年はかつてシルク・ドゥ・ソレイユが常設劇場にしていた場所で、とにかく舞浜は遠いという印象であった。「何もこんなところでやる必要があったのか」というのが参加したメディアたちの共通の感想。それにしても、パートナーが750名、国内外メディアが300名、一般ユーザーが150名という1200名が参加していたのには驚いた。特に海外メディアはLINEが招待したっぽいが、ホール内の同時通訳が、英語、中国語、韓国語、タイ語、インドネシア語の5カ国語に対応していた。これまで数多くのカンファレンスや記者会見に参加してきたが、こんな多くの言語に対応したイベントはITUぐらいしかないように思う。
それだけLINEがグローバルを意識したサービスになっているということだ。
カンファレンスを取材して感じたのが「去年のほうがワクワク感があって面白かったな」という点。去年はLINEが大きくなり始めた時で「いよいよプラットフォームになる」と高らかに宣言していたので、「これはスマホ時代のiモードになる」と思って興奮したのだった。だが、1年が経過し、今回のカンファレンスは無理くり機能をくっつけ、さらに広告メディアとしての価値を強調しまくっていたので、なんだかすっかり興ざめしてしまったのだ。しかも、カンファレンスは4時間近くもあったし。
LINEはユーザーが拡大し、いままで興味のなかった層にまで広がるなど、本当に世界を席巻するスマホ向けコミュニケーションツールになり得る可能性を秘めている。業界からの期待値も高い。しかし、今回ばかりは「マネタイズを焦っているのかな」という印象を感じてしまった。せっかく、順調に来ているのだが、もうちょっと見せ方を工夫してもいいのではなかったのではないだろうか。
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