iPhone 5cとの違い、そしてiPhone 5から進化した大きなポイントが、「チップ」「指紋センサー」「カメラ」の3つだ。
チップは、iPhone 5の「A6」チップから、64ビットアーキテクチャ搭載の「A7」チップに進化。A6と比べて、CPUとGPUともに2倍の性能を実現しているという。iOS 7のアプリはこのA7チップに最適化しており、例えばカメラではオートフォーカスが2倍高速になり、撮影も速くなった。なお、CPUのコア数、RAM、バッテリー容量は公表していないが、Appleの説明員によると、バッテリー容量はiPhone 5からわずかにアップしているという。
iPhone 5では加速度センサー、ジャイロスコープ、コンパスなどのセンサーをA6チップに統合していたが、iPhone 5sでは、これらセンサーの処理を独立して行う「M7」チップを新たに搭載。このチップの特徴は、端末が静止しているか(机に置いているかなど)、動いているか(持って歩いているかなど)を自動で判別してくれること。これによってCPUへの無駄な負荷を抑え、消費電力を軽減できるメリットが生まれる。例えば、iPhone 5sのディスプレイをオフにして(机に置くなど)静止している場合、M7チップが「通信は必要ない」と判断し、LTE/3Gネットワークに接続する頻度を減らしてくれる。
主に地図アプリで利用する電子コンパスの精度も向上している。端末を持ちながら歩いていると、M7チップがバックグラウンドで進行方向を検知し、地図アプリを立ち上げた時点で進行方向を示してくれる。このお陰で、地図アプリを立ち上げて、進行方向を示すボタンを押す必要がなくなる。一方、端末を机に置いているときは「持ち主が歩いていない」と判断し、この状態で地図アプリを起動しても進行方向は示さないので、無駄にバッテリーは消費しない。このほか、より精度の高いデータを計測できる、健康やフィットネス関連アプリの増加も期待される。
もう1つ、ハードウェア上の大きなトピックが、ロック解除やコンテンツの購入時などに使える指紋認証センサー「Touch ID」を、ホームボタンに搭載したこと。ホームボタンの内側には触知性スイッチと容量性シングルタッチセンサーが埋め込まれており、ボタンの周りにはステンレススチールの感知リング、ボタンの上にはサファイアクリスタルをあしらった。
あらかじめ指紋を登録しておくと、ディスプレイを点灯した状態ではホームボタンに触れるだけ、ディスプレイが消灯した状態ではボタンを軽く押すだけで、ロックが解除される。本人が使うときに限り、パスコードを設定していないのと同じ感覚でロック解除できるわけだ。登録できる指紋は最大5つ。すぐにロックを解除したければ、持ち手の親指を登録しておくのがいいだろう。この指紋センサーは、使うほどに学習して認証の精度が上がり、より短時間で認識できるようになる。
指紋を登録するにはパスコードの設定が必須となっており、指紋の認証に失敗すると、パスコードの入力を求められる。指紋認証は、あくまでパスコードのプラスαの機能として使うことになる。一方、指紋を登録した状態でも、ホームボタンを長押しすると「Siri」を呼び出せてしまうので、セキュリティが気になる人は、設定からオフにしておきたい。
「iSight」と呼ばれるカメラ機能も、iPhone 5sでさらに進化した。8メガピクセルの画素数はiPhone 5と同じだが、1画素あたりのサイズが15%大きい1.5ミクロンとなったことで、集光面積がアップ。CMOSセンサーのサイズはiPhone 5から15%大きくなり、F値も2.4から2.2になった。これらの相乗効果で、感度が最大33%向上したという。フォトライトには、LEDを2基積んだ「True Toneフラッシュ」を搭載。白とアンバーのライトを用いることで、最適な色温度に調整してくれるので、より自然な色合いで撮影ができる。ただし光量は従来から変わらない。
撮影ボタンを押し続けて連写ができる「バースト」機能も用意した。撮影ボタンを押し続けているとひたすら連写が続き、最大999枚まで記録できる。撮影後には、最も手ブレの少ない写真を1枚選んでくれる。人物を撮影した場合は、瞬きをしていない/笑顔の写真を優先的に選んでくれる。このほか、720pのサイズで120fpsのスローモーション動画も撮影できる。ここに紹介した新しいカメラ機能は、iPhone 5sでのみ利用できる。
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