ただし注意点もある。それは、ドコモのiPhoneは本体価格が他社に比べて高いことだ。iPhone 5cは16Gバイトが8万5680円、32Gバイトが9万5760円、5sはどの容量も9万5760円に設定されている。店舗によっては、ここに頭金がつく可能性もあるという。auやソフトバンクが、モデルや容量によって段階的に価格を変えているのに対し、ドコモはiPhone 5cの16Gバイトのみやや安く、ほかはすべて金額が同じだ。つまり、月々サポートで実質価格をコントロールしているということになる。
実質価格は、あくまで2年間利用して割引をすべて受けた際の参考価格にすぎない。何らかの理由で機種変更すると、割引はストップしてしまう。そうなると、ユーザーに残るのは他社と比べても高額な残債だ。例えば、「iPhone 6(仮称)」が登場した1年後に、各社のiPhone 5c、32Gバイト版を購入したユーザーが機種変更した場合の実質価格は以下のようになる。ドコモで購入する場合は、きっちり2年間使ってから機種変更するつもりでいないと、痛い目を見ることになりそうだ。
キャリア | 実質価格 |
---|---|
ドコモ | 4万7880円 |
au | 3万3900円(新規・MNP) |
ソフトバンク | 3万3900円(新規・MNP) |
料金プランの基本的な考え方は、Androidスマートフォンと同じだ。ただし、パケット定額サービスは月額5460円、最大7Gバイトの「Xiパケ・ホーダイ for iPhone」しか選択できない。従来の「Xiパケ・ホーダイ」より525円割安だが、一方で月3Gバイトまで4935円の「Xiパケ・ホーダイ ライト」で済む利用スタイルだと525円割高になる。また、月額700円の「Xiカケ・ホーダイ」が12カ月間、350円になるキャンペーンも実施する。料金は他社とほぼ横並び。固定通信とのセット割引がない点は、特に「auスマートバリュー」の適用事業者が多いKDDIと比較した際に見劣りする部分だろう。
3社から同じiPhoneという人気モデルが出たことで、上記に挙げたようなサービスや料金の競争に焦点が当たりやすくなった。これらに加えて、ネットワークもキャリアを選択するうえで最重要視したいポイントだ。ネットワークに対して最初に仕掛けてきたのはKDDIだった。同社はiPhone 5cの予約が始まる14日に緊急記者会見を開催。取締執行役員専務の石川雄三氏が、電波のまわりこみがいい800MHz帯の基地局数をアピールした。2GHz帯にのみ対応していたiPhone 5とは異なり、iPhone 5s、5sは幅広い周波数帯で利用可能になった。
ここには、KDDIの800MHz帯(バンド18)や、ソフトバンク(イー・モバイルから借り受けて使用)の1.8GHz帯(日本では1.7GHz帯とも呼ばれるバンド3)、ドコモの800MHz帯(バンド19)も含まれる。iPhone 5では基盤のバンドの800MHz帯に対応しておらず、ソフトバンクに対して劣勢だったKDDIが一挙に巻き返した格好だ。ドコモとソフトバンクはLTEの基地局数ではほぼ互角となる。もちろん、基地局の数だけの比較に意味はなく、通信の快適さは3Gまで含めたトータルでの環境が物を言う。また、ソフトバンクは900MHz帯のLTE化を来年春に巻き上げる計画で、ドコモも10月以降に1.8GHz帯(バンド3)のサービスを開始する予定だ。今後は“つながりやすさ”や“速度”といったネットワークでの競争も激化しそうだ。
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