実効速度はどれくらい?――iPhone 5/5s/5cの6機種を都内15箇所でスピードテスト(3/3 ページ)

» 2013年10月17日 09時40分 公開
[田中聡,ITmedia]
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地下:東京メトロで差が出る

 地下は日本橋駅ホーム(東西線、11時30分〜)、赤坂見附駅ホーム(銀座・丸ノ内線、15時30分〜)、青山一丁目駅ホーム(大江戸線、22時45分〜)、九段下駅ホーム(半蔵門線、23時15分〜)、カレッタ汐留(地下1階)の5箇所で測定した。

 まずは下りから。日本橋駅ホームはソフトバンクとドコモが不調で、いずれもLTE圏外(3G)となっていた。赤坂見附駅ホームは、ドコモ版iPhone 5sが何度やってもタイムアウトしてしまい、測定できなかった(0Mbpsとしてカウント)。ソフトバンクの場合、東京メトロでは、地下鉄のトンネルはLTEに対応しているが、駅ホームはLTEに対応していないところが多い(ソフトバンクWi-Fiスポットは対応している)。筆者は東西線で移動することが多く、最近はソフトバンクのiPhone 5sを使っているが、駅に到着すると3Gに戻ってしまい、移動中も3Gのままでスムーズに通信できないことがよくある。

 地下の奥深くにある、大江戸線の青山一丁目駅ホームでは、au版iPhone 5s/5cとソフトバンク版iPhone 5s/5が20Mbps台と好調だった。九段下駅ホームではソフトバンク版iPhone 5s/5が30Mbpsを超える速度を出した(半蔵門線の駅ホームはLTE非対応だが、同じホームの都営新宿線の電波を補足していたと思われる)。カレッタ汐留では、商業施設だけあり、au版iPhone 5を除き20〜30Mbpsと好調だった。平均値はau版iPhone 5s/5cとソフトバンク版iPhone 5s/5が20Mbps前後で拮抗している。ドコモ版iPhone 5sは、赤坂見附駅ホームの結果(0Mbpsとしてカウント)が響き、9.17Mbpsで最下位だった。

 上りはソフトバンク版iPhone 5s/5が平均7Mbps台と好調だ。ドコモ版iPhone 5sは平均2.16Mbpsで、上りも最下位となった。

photo 地下の下り速度
※初出時に、地下の下り速度のグラフ(縮小画像)に、iPhone 5s(ドコモ)の項目が含まれていませんでした。お詫びして訂正いたします(10/18 18:09)。

photo 地下の上り速度
※初出時に、地下の上り速度のグラフ(拡大画像)が誤っていました。お詫びして訂正いたします(10/18 22:00)。

地下でのテスト結果(Mbps)
iPhone 5s(ドコモ) iPhone 5s(au) iPhone 5c(au) iPhone 5(au) iPhone 5s(ソフトバンク) iPhone 5(ソフトバンク)
日本橋駅ホーム(東西線) 通信回線/アンテナ数 3G/5 LTE/3〜5 LTE/2〜4 LTE/2〜4 3G/4〜5 3G/5
下り 3 24.92 12.78 7.01 6.7 4.26
上り 0.41 2.55 1.15 0.58 0.61 0.5
赤坂見附駅ホーム(銀座・丸ノ内線) 通信回線/アンテナ数 3G/5 LTE/5 LTE/4〜5 LTE/5 LTE/3〜5 LTE/3〜4
下り タイムアウト 17.89 13.8 9.13 8.6 7.95
上り タイムアウト 4.54 3.42 4.33 2.8 3.02
青山一丁目駅ホーム(大江戸線) 通信回線/アンテナ数 LTE/3〜5 LTE/4〜5 LTE/5 LTE/4〜5 LTE/5 LTE/4〜5
下り 8.66 22.56 28.4 15.14 22.5 28.87
上り 0.68 4.79 4.66 5.61 8.39 9.76
九段下駅ホーム(半蔵門線) 通信回線/アンテナ数 3G/5 LTE/5 LTE/3〜5 LTE/5 LTE/5 LTE/5
下り 3.97 12.86 19.84 9.6 30.61 32.89
上り 0.42 6.17 5.23 5.59 10.76 12.26
カレッタ汐留(地下1階) 通信回線/アンテナ数 LTE/4〜5 LTE/5 LTE/5 LTE/5 LTE/5 LTE/5
下り 30.2 21.62 24.2 11.43 34.07 33.99
上り 9.3 6.48 3.52 2.88 14.23 14.05
平均速度 下り 9.17 19.97 19.8 10.46 20.5 21.59
上り 2.16 4.91 3.6 3.8 7.35 7.92

トータルの結果を振り返る

 15箇所トータルの平均値を見ると、下りはソフトバンク版iPhone 5の19.34Mbpsがトップ。ソフトバンク版iPhone 5sも19.041Mbpsでほぼ同じ。同じネットワークに対応する機種ということで、実効速度の差はほとんどなかった。auはiPhone 5cが17.63Mbps、iPhone 5sが17.55Mbpsだった。iPhone 5cの内部に採用したスチール製のフレームはアンテナの役割も果たしており、通信への影響が気になっていたが、今回試した限り、5sと5cで大きな差は見られなかった。ドコモの平均速度は、赤坂見附駅ホームの0Mbpsが響いて16.13Mbpsになってしまったが、他社と比べて大差はついていない。ただ、測定アプリがタイムアウトした回数が最も多かったのは気になった。auのiPhone 5は9.2Mbpsの最下位になり、800MHz非対応が響いた。

 上りの平均値もソフトバンク版iPhone 5が8.78Mbpsでトップ、2位も8.7Mbpsのソフトバンク版iPhone 5sが続く。そして最下位は3.17Mbpsのドコモだった。特に地下で1Mbps未満のことが多く、平均値を下げた。auはiPhone 5sが7.55Mbps、iPhone 5cが3.88Mbpsだった。ドコモのスマートフォンは、従来から上り速度が低いことが多かったが(13年春モデルの比較記事を参照)、iPhone 5s発売後もその傾向は変わっていないようだ。

15箇所の平均速度(高い順、Mbps)
下り 上り
iPhone 5(ソフトバンク) 19.34 iPhone 5(ソフトバンク) 8.78
iPhone 5s(ソフトバンク) 19.04 iPhone 5s(ソフトバンク) 8.7
iPhone 5c(au) 17.63 iPhone 5s(au) 7.55
iPhone 5s(au) 17.55 iPhone 5c(au) 6.28
iPhone 5s(ドコモ) 16.13 iPhone 5(au) 3.88
iPhone 5(au) 9.2 iPhone 5s(ドコモ) 3.17

 2012年9月2013年2月にドコモのAndroidスマートフォンで速度テストを実施したときは、下り10Mbpsを超えることはほとんどなかった。そのころと比べると、着実に実効速度は上がっていると感じた。これは都内で75Mbps対応基地局が増加していることが大きい。75Mbps対応基地局は2013年3月末の6800局から6月には1万7300局に増加し、2014年3月末には約4万局となる予定だ。auはiPhone 5とiPhone 5s/5cを比べると、5s/5cの方が倍近い速度を出しており、プラチナLTEの威力を感じた。ソフトバンクは下りと上り、どちらも安定していた。来春から900MHz帯のLTEサービスが提供されることで、速度とつながりやすさがさらに安定することを期待したい。

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