NTTドコモ、「Smart Vertical MIMO」で1.2Gbps超に成功

» 2013年11月13日 17時28分 公開
[長浜和也,ITmedia]

都市部の低コスト基地局整備に目処

 NTTドコモは、LTE-Advanced向けの無線伝送技術「Smart Vertical MIMO」で屋外の走行伝送実験を行い、基地局のアンテナ1本で1.2Gbpsを超える転送レートを出した。この実験は、神奈川県横須賀市郊外と神奈川県相模原市市街地でそれぞれ7月と11月に実施した。3.9GHz帯の帯域幅100MHzを使って、Smart Vertical MIMO対応の基地局アンテナ1本と、携帯電話に相当する測定車両2台を使って4ストリーム2ユーザーの条件で測定している。

NTTドコモが行った屋外走行実験の状況と想定結果

 従来の技術では、LTE-Advancedで1Gbpsを超える転送レートを実現するには、アンテナ4本相当のMIMO伝送が必要になるため、基地局におけるアンテナ数の増加や設置場所の確保など、コストの増加が問題になっていた。NTTドコモでは、今回のSmart Vertical MIMOによる実験成功によって、アンテナ1本でアンテナ4本相当の高速大容量のMIMO伝送が可能となり、基地局の省スペース化が可能になり、エリア構築のコストを抑えるとともに空間的な余裕が少ない都市部などでも基地局が設置できるようになると、そのメリットを説明している。

 Smart Vertical MIMOでは、従来偏波技術によってアンテナ2本相当の送受信を行っている状態に加えて、アンテナの上下それぞれのグループに分割することで、アンテナ1本でもアンテナ4本相当の伝送速度を実現している。また、受信状態が悪い端末に対しては、グループ分割を解除して通信することで、広範囲なエリアカバーも可能にしている。

 NTTドコモでは、LTE-Advancedの運用開始後の早い段階でSmart Vertical MIMOを実用化する計画で開発を進めている。

Smart Vertical MIMOでは、従来の垂直偏波による2ストリーム転送に加えて、アンテナの上下でグループ化することで、アンテナ1本で4ストリームの送受信を実現している

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