日本は巨大マーケット? 国際競争が進むゲームアプリの現在佐野正弘のスマホビジネス文化論(2/2 ページ)

» 2013年11月18日 16時00分 公開
[佐野正弘,ITmedia]
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主要海外マーケットで成果を上げる国内ベンダーのゲームアプリ

 海外のベンダーが日本進出を狙う一方で、日本の多くのゲームベンダーもまた、売上を拡大するべく海外進出を狙い、ゲームアプリを提供している。そしてパズル&ドラゴンズ以外にも、実際に主要な市場で実績を出すタイトルが、いくつか登場している。

 その代表例がディー・エヌ・エー(DeNA)とグリーである。両社は米国市場を主体として海外市場開拓を進めているが、DeNAは「Rage of Bahamut」(邦題:神撃のバハムート)が米国で1位を獲得するなど高い人気を得たのに加え、最近では「MARVEL War of Heroes」などで米国の売上ランキング上位を獲得している。またグリーは、買収した米Funzioの流れをくむ「Crime City」「Modern War」などで継続した人気を得ている。

 最近は国内での売上減少で苦戦が伝えられる両社だが、米国主体のアプリマーケットではそれなりに人気を獲得しているようだ。この状況は裏を返せば、現在の海外アプリマーケットと比べ、日本のソーシャルゲームマーケットがいかに大きいかを物語っているともいえる。

photophoto DeNAは米国中心に、海外向けのゲーム事業にも力を入れる。日本で提供された「Blood Brothers」や「D.O.T.」などは、海外で先行して投入されたタイトルだ

 また韓国では、現地企業にライセンスを供与して運営されているスクウェア・エニックスの「拡散性ミリオンアーサー」が継続した人気を得ているほか、直近ではソーシャルゲームベンダーのgumiが伸びを見せているようだ。実際、韓国法人のgumi Koreaがカカオトーク向けに提供した「進撃1942」が200万ダウンロードを記録するなど大きな伸びを示したほか、同社らが出資するエイリムが開発した「ブレイブフロンティア」が、10月29日のリリース直後にダウンロード、売上ランキングで上位に姿を見せるなど、好調なスタートを見せている。

競争激化で進む? 世界的な寡占化と合従連衡

 スマートフォンになってアプリマーケットが国際化し、国をまたいでの進出が容易になったというのは、App Storeが登場した時より言われていたことだ。従来は売上が大きくなかったことから、スマートフォンのゲームで世界的に注目されたのは「Angry Birds」などごく一部に限られていた。だが現在は日本や米国をはじめとしていくつかの国でゲームアプリビジネスが急速に立ち上がり、しかも大きく伸びている状況だ。

photo 「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」は、積極的なテレビCM攻勢でダウンロード数を大幅に拡大、11月7日には累計1200万ダウンロードを記録した

 一方で、スマートフォンのゲームアプリは人気の変動が非常に激しく、パズル&ドラゴンズの台頭が示すように、ふとしたきっかけで市場が激変することが多い。さらに現在は国内外から次々と新しいゲームが生まれており、市場競争が一層激しいものとなっている。それゆえ現在ヒットゲームを提供しているベンダーであっても、人気が急速に落ちる可能性は否定できない。実際、昨年の売上ランキング上位にランクしていたゲームが、今年に入って大きく落ち込むケースは、国内外問わず多く見られる。

 ゆえに今後は、ユーザーの心をつかむゲームを生み出す発想力や開発力に加え、競争激化に向けプロモーションに力を割くことができる、資金力が求められるようになるだろう。事実国内においても、パズル&ドラゴンズや、コロプラの「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」などが、テレビCMを実施するなどプロモーションに資金を積極投入したことで大幅にダウンロード数を伸ばし、人気と売上を獲得している。

 こうしたことから、世界的な市場ゲームアプリ市場の広がりとともに、規模の拡大を狙ってゲームベンダーの合従連衡が急速に進む可能性は、非常に高いと考えられる。ガンホーとsupercellを共に傘下に収めたソフトバンクの動きは、その傾向を先取りしたものといえるかもしれない。

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