これから最も市場の成長が期待されるのが、玩具系周辺機器だ。岡部氏によると、2012年は取り扱いが15種類くらいだった商品も、現在は約6倍の100種類以上に急拡大しているという。海外ではかなり一般的になってきているiPhoneと連携した知育系玩具が、日本国内でも今後さらに成長することが予想される。最近はiPhoneと通信するだけではなく、アプリと連携した周辺機器が増え始め、「おもちゃや知育系玩具は店頭での引きもよく、お客様からの問い合わせも多い」と竹下氏もクリスマス商戦に向けて期待を寄せている。
ヘルスケア商品も2013年は活発に商品が供給された。中でもJAWBONEのライフログリストバンド「UP」が人気だ。いまだに品薄の状態が続くほどの人気で、ナイキやアディダスなどのスポーツメーカーや、ソフトバンクグループもこの分野に参入するなど、今後さらに拡大していきそうだ。
急激に拡大する市場で、周辺機器を販売するためのショップの出店ラッシュが、さまざまな場所で続いている。UNiCASEショップを展開するエムフロンティアもその1社だ。2012年まで4店舗だったが、現在は9店舗に拡大。2014年には20店舗に拡大する予定だ。
同社はただ出店を加速させるだけではなく、他社との差別化を積極的に行っているという。「これだけ商品数が多くなってくると、どんなお客様にも対応できるスタッフの専門性が求められます。新人スタッフは素材や形状、使い方など、2カ月もの期間、徹底してiPhoneや周辺機器、接客などを研修し、日本一詳しいスペシャリストを育成しています」と竹下氏は語る。
また、品ぞろえも強化している。「ここでしか買えないものや、オリジナル、コラボ商品にも力を入れ始めています」と岡部氏。
周辺機器市場は、今後さらに競争が激化することが予想される。これは販売店だけではなく、メーカーにとってもだ。ここ最近は異業種からの参入も多くなってきている。LINEやGREEなどもプラットフォームの強みを生かしながら、IPのライセンス事業などにも力を入れ、周辺機器市場にも参入し始めている。
今後さらにiPhoneやAndroidなどのスマートフォンがモバイル市場を席巻し、国内だけではなく、世界でも周辺機器ビジネスが広がっていくだろう。単なるケースや機器とつながるという形から、新たな技術を使い、私たちの生活に関わるすべてとつながる新しい周辺機器市場が、近い将来起こり得るからだ。その巨大マーケットで、誰がその主導権を握っていくのか。今後も注目していきたい。
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