iPhone 5sとXperia Z1のウリの1つがカメラだ。「iSightカメラ」と呼ばれるiPhone 5sのカメラはF2.2の明るいレンズに、従来より15%大きくなったCMOSセンサーを備える。画素あたりのサイズは1.5ミクロンとなり、より多くの光を取り込めるようになった。「A7」チップを搭載したことでオートフォーカスの速度が上がったほか、1秒間に10枚の連続撮影ができる「バーストモード」や、毎秒120フレームで撮った720pの動画を4分の1の速度で再生できる「スローモーションビデオ」といった新機能も搭載した。画素数はメインカメラが8メガピクセル、インカメラが1.2メガピクセルだ。
Xperia Z1では、サイバーショットでもおなじみの「Gレンズ」をスマートフォンとして初めて搭載したことが話題を集めた。F2.0のGレンズに加え、高感度なセンサー「Exmor RS for mobile」、そしてソニー独自の画像処理エンジン「BIONZ for mobile」が三位一体となり、明るくて美しい写真を撮れる。画素数は有効2070万だが、プレミアムおまかせオート設定時には、20メガピクセルで撮った写真を8メガピクセルに凝縮することで、全画素超解像ズームや、感度の高い写真撮影が可能になる。インカメラは有効約220万画素だ。
実際に暗い場所や夜景を撮影してみたが、iPhone 5sよりもXperia Z1の方が明るく、かつノイズを抑えられている。下の夜景写真は、パッと見は2機種ともキレイだが、拡大して道路や空などよく見ると、iPhone 5sはノイズが目立つが、Xperia Z1はなめらかだ。薄暗い部屋で撮ったクマのぬいぐるみの写真は、iPhone 5sも光が少ない場所にしてはよく撮れているが、Xperia Z1と比べるとノイズが目立つ。ぬいぐるみの色もXperia Z1の方が自然だ。なお、Xperia Z1の作例は基本的にプレミアムおまかせオートに設定している(以下同)。
解像感を保ったままデジタルズームができるのも、Xperia Z1ならでは。iPhone 5sとXperia Z1で約3倍ズームをし、道路の案内を撮影して見比べたところ、Xperia Z1で撮った写真の方が文字がくっきりしている。暗い場所に強く、ズームをしてもある程度は鮮明に撮れるXperia Z1のカメラは、スマートフォンの撮影シーンを大きく広げてくれると感じた。
一方で、iPhone 5sの方が優れている感じるポイントもある。1つがフォトライトだ。iPhone 5sのカメラには、白色とアンバー色のライトを組み合わせ、被写体に最も合う輝度と色温度で撮影してくれる。実際にフォトライト付きで撮影してみたが、iPhone 5sの方が自然な色味で撮れている。Xperia Z1のフォトライトも1メートルほどの近距離で撮ったわりには、被写体が白飛びすることもなくキレイに写せているが、やや青みがかっている印象だ。
明るい場所でも、iPhone 5sの方がキレイで自然な色味で撮れることが多いと感じる。特に料理は、iPhone 5sの方がおいしそうに撮れている。Xperia Z1のプレミアムおまかせオートは明るく撮ることを優先するためか、全般的に白っぽい写真になってしまい、食べ物の温度感があまり伝わってこないことが多い。料理を撮るときは、マニュアルモードにして「シーンセレクション」を「料理」にするといいだろう。また、プレミアムおまかせオート設定時に至近距離から料理を撮ろうとすると「接写」と認識することが多いようで、料理の写真全体にピントが合っていないケースがよく見られる。
iPhone 5sのカメラは画質や解像度に関する設定が一切ないシンプルな作りだが、それでも撮影環境に合わせてナチュラルな一枚を撮れるのには感心してしまう。暗い場所での撮影も、Xperia Z1と比べるとアラが目立つが、スマートフォンのカメラとしては十分ともいえる。
カメラの操作性は、どちらもシンプルで使いやすい。iPhone 5sは画面を左右にスライドさせると、ビデオ、写真、スクエアなど撮影モードが切り替わる。Xperia Z1は左下のアイコンから撮影モードを選択できる。スローモーションビデオやスクエア(正方形)の写真を撮れるのはiPhone 5sだけ。シャッター専用のキーを用意しているのはXperia Z1のみだが、iPhone 5sもボリュームキーからシャッターを切れる(ただしフォーカスロックはできない)
連写は2モデルとも画面のカメラアイコンか、カメラキー(iPhone 5sはボリュームキー)を押しっぱなしにすれば撮れる。Xperia Z1は設定の「長押し連写」から連写をオン/オフにできる。iPhone 5sの連写は1秒間に10枚の撮影が可能だが、Xperia Z1が新たに搭載した「タイムシフト連写」では、シャッターを押した瞬間に1枚と前後30枚ずつ、計2秒で61枚の高速連写が可能。より高速な動きを記録するならXperia Z1の方がよさそうだ。タイムシフト連写で撮影すると“61枚の写真集”として保存され、写真を表示してから時計アイコンを押し、画面下部をスライドさせると、アニメーションのように表示されて面白い。
このほか、パノラマ撮影、エフェクト付き撮影、動画撮影中に静止画をキャプチャーする機能も、2モデルとも対応している。
オートフォーカスの操作はXperia Z1の方が煩雑だ。iPhone 5sのカメラはタッチしてAFロックをした状態で指を離してから、カメラボタンを押して撮影できる。しかしXperia Z1ではこの操作ができない。プレミアムおまかせオート設定時には、画面をタッチしてピントを合わせる位置を指定できるが、この時点でAFは固定されず、シャッターキーを押してからAFが作動してシャッターが切れる。この方法だと、撮影直前に必ずAFが作動するので、その分タイムラグが生まれてしまい、シャッターチャンスを逃しやすくなる。ピントを合わせたい場所をタッチしてからカメラキーを半押しすればAFロックされるが、iPhoneより1ステップ多いし、縦向きで撮るときは画面のカメラボタンの方が押しやいこともあるので、“タッチしてAFロック”は実装してほしかった。
Xperia Z1の「タッチ撮影」をオンにしてから、画面をタッチして押しっぱなしにすると、ピントが固定されるが、指を離した瞬間に撮影されてしまう。画面を押しっぱなしだと指に隠れてピントが合っているのかが分かりにくいし、連写をオンにした状態で押しっぱなしにすると、そのまま連写されてしまう。筆者がiPhoneの撮影に慣れているせいかもしれないが、Xperia Z1のAFには、ちょっと違和感を覚えた。
また、シャッター音は仕方ないとして、Xperia Z1はAFロックの「ピピッ」と鳴る音がやたらと大きいのが気になった。
撮影直後に、撮影した写真をプレビュー表示できるのはXperia Z1ならでは。写真の出来映えを手軽に確認できて便利だ。初期状態ではオフになっているので気付かなかったが、撮影画面の設定で「プレビュー」を選ぶと、プレビュー写真の表示時間を設定できる。iPhoneのカメラではプレビュー表示ができず、撮影した写真をチェックするには、撮影画面右下のサムネイルをタップする必要がある。
スマートフォンのカメラといえば、さっと取り出して素早く撮影できるのが大きなメリット。iPhone 5sはロック画面に表示されているカメラアイコンを上にフリックすると、またXperia Z1はロック画面のカメラアイコンを左にフリックすると、カメラが起動する。Xperia Z1には「クイック起動」という機能もあり、画面消灯時にカメラキーを長押しすると、即座にカメラが起動して撮影までこなせる(カメラ起動のみにもできる)。構図を確認することなく撮影してしまうので、あまりお勧めできる設定ではないが、とくにかくシャッターチャンスを逃したくないときには便利だ。
では、カメラを起動してから撮影するまでは、どちらが速いのか? iPhone 5sはロック画面から起動、Xperia Z1はクイック起動で撮影してみた。iPhone 5sとXperia Z1の電源キーを押したと同時にiPhone 5のストップウォッチをスタートし、その画面を撮影した。そのときに写っていた数字が、起動+撮影の速度というわけだ。それぞれ5回試したところ、平均値はiPhone 5sが2.022秒、Xperia Z1が1.526秒で、Z1の方が0.5秒ほど速かった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.