テニスショットを即時分析してスマホに表示――ソニーが「Smart Tennis Sensor」を発表見て、盛り上がって、上手くなる

» 2014年01月20日 21時16分 公開
[石野純也,ITmedia]
photo テニスラケットのグリップエンドに装着する「Smart Tennis Sensor」

 ソニーが1月20日、テニスラケットに装着する小型のセンサー「Smart Tennis Sensor」を発表した。5月下旬の発売を予定しており、オープン価格ながら市場推定価格は1万8000円前後と推定されている。同日、ソニーは報道関係者向けに記者会見を開催。Smart Tennis Sensorの狙いや詳細な機能を語った。

 Smart Tennis Sensorは、1月7日から10日に米・ラスベガスで開催された「CES 2014」に参考出展されていたモデルの製品版。直径31.3ミリ、高さ17.6ミリ、重さ8グラムという、コンパクトで軽量なデバイスで、テニスラケットのグリップエンド部分に装着して使用する。本体には、振動センサーと加速度センサーが内蔵されており、データをスマートフォンにBluetoothで飛ばすことで、ボールの当たった場所や回転の仕方、スイングの速度、ボールの速度などを表示する。

photophoto スマートフォンとセットで使用し、ボールの当たった場所やスイング速度などを測定できる

 この解析をリアルタイムで行えるのが特徴で、友人やコーチなどがアドバイスをしながらテニスをプレイできる。データを取得しながら動画の録画もでき、あとから再生してプレイを振り返ることも可能。Smart Tennis Sensor内部にもメモリを持ち、プレイ後に映像とデータを同期するといった使い方にも対応する。連続使用時間はBluetoothオンで約90分。IPX5の防水仕様や、IP6Xの防塵仕様も備える。充電は、専用のクレードルに装着してMicro USBで行う。アプリはAndroidに加え、iOSでも提供される。

photophoto データと同時に、プレイ中の動画を撮ることも可能だ(写真=左)。データは時系列にまとめられ、「プレイレポート」として表示される(写真=右)
photophoto 動画はデータとともに記録されている。あとからフォアハンドの動画とデータをソートして見るといった使い方にも対応(写真=左)。充電は、専用のクレードルで行う。Micro USB形式のため、モバイルバッテリーでも充電できる(写真=右)
photo Smart Tennis Sensorの狙いを語る、ソニーの古海氏

 会見では、ソニー 業務執行役員 SVP UX・商品戦略本部長 古海英之氏が、Smart Tennis Sensorの狙いを語った。古海氏によると、ソニーは「Listen(聴く)、Watch(見る)、Create(創る)、Play(楽しむ)というキーワードで、体験をもとに商品を提案してきた」という。最近はCESやIFA、Mobile World Congressといった大規模な展示会でも、こうしたキーワードに基づき、ブースが構成されている。今回発表されたSmart Tennis Sensorは、4つの中の「Play」に基づくもの。「見て、盛り上がって、上手くなる。よりテニスを楽しんでいただける体験をお手伝いしたい」というのが、商品のコンセプトとなる。

photophotophoto Listen、Watch、Create、Playのうち、Playに基づいて開発された

 ソニーは、CESで「スマートウェア」という概念を発表しており、センサーを内蔵した「Core」や、それを埋め込むリストバンド型端末の「SmartBand」を披露している。センサーで取得したデータをスマートフォンや、スマートフォン経由のクラウドで解析し、ソニーならではの味つけをしたうえでユーザーに提供するというのが、スマートウェアの基本的な考え方になる。古海氏によると、このSmart Tennis Sensorも「スマートウェアの1つという位置づけ」であり、将来的にはCoreと連携するライブログアプリとの連携も視野に入っているという。

 古海氏が「見ることでなりたい自分とのギャップが分かり、盛り上がる。可視化されたデータを友だちやコーチと共有もできる。それによって、新しい気づきがある。新しいテニスの楽しみ方をうながせるのでは」と語るように、Smart Tennis Sensorはリアルタイムでショットの分析をして、そのデータを時系列に保有し、Facebookに共有するという機能を備える。

 Smart Tennis Sensorは、「テニスの好きなエンジニアが、こんなことができたら面白いのではないかと、社内のオープンハウスで言い始めた」(UX・商品戦略本部 SE事業準備室 中西吉洋氏)ことが開発のきっかけとなっている。そこから体験して開発してを繰り返し、「3年ぐらいかけて、ここまでこぎつけた」(同)という。

 上記の仕様で触れたように、内蔵されているセンサーは振動センサーとモーションセンサーの2つ。中西氏が「振動センサーでどの位置にボールが当たったのかが分かる。これは、AVの分野で培った音響解析技術が、メンバーそれぞれの知見を生かして新規開発したもの。加速度センサーやジャイロセンサーを使って、流れも見える化できる。小型のセンサーでセンシングする技術と、そこから得たデータを解析する技術がソニーのコア」と語るように、センサーとアプリのそれぞれにソニーの技術や経験が生かされている。

photo 振動センサーと加速度センサーで得られたデータを、スマートフォン側で解析して結果を表示する仕組みだ

 ラケットのグリップエンドに装着する形だが、対応するラケットはメーカー1社1社と協議をしたうえで増やしていく。ラケットごとの差は、データをアプリ側にダウンロードして対応する仕組みとなる。こうしたデータを取得する必要もあり、ラケットメーカーとコラボレーションを行う形を取った。現時点で対応しているのはすべてYONEXのラケットで、「EZONE Ai 98」「EZONE Ai 100」「EZONE Ai Lite」「VCORE Xi 98」「VCORE Xi 100」「VCOR Xi Tour G」の6本で利用できる。対応ラケットは順次増やしていく予定だ。

photo 対応するラケットは、現在YONEX製のみ。メーカーやラケットの種類は、順次増やしていく予定だ

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