今回、2014 International CES取材の後、サンディエゴへ立ち寄った。サンディエゴからは徒歩でメキシコの国境の街、ティファナへ入ることができる。初メキシコを経験してみたかったのだ。
サンディエゴ市内からトラムに揺られること40分で国境へ到着。メキシコ側への入国はイミグレーションもなく回転ドアを開いて入るだけとあっさり簡単。もちろんアメリカ側へ戻る際はしっかりイミグレーションがあり、パスポートを提示する必要がある。72時間以内のティファナ滞在であれば自由に出入りが可能である。
ティファナは物価が安い。アメリカ人もよく買い物にくるようだ。特に薬が安く、国境近くにはたくさんの薬局が店を構えている。観光客用のみやげ物屋も多いので、アメリカのものとはちょっと違うおみやげを買いたいならぜひ訪れてみてほしい。為替レートは2014年1月現在で1メキシコペソ=7.86円。みやげ物屋は米ドルもそのまま換算して使える。
ティファナへ来たからはまずはメキシコのプリペイドSIMカードを買おうと思ったのだが、手元のAT&TルータのUniteを電波表示を見ると国境を越えてもつながったままだ。事業者名表示も当然AT&Tとあり、ローミングしているわけではない(そもそもこのプランはローミング利用ができない)。
そういえばここは国境の街。ある程度奥へ入ってもAT&Tの電波が届くならそのまま利用できるわけだ。さすがに建物の中やモールの建屋内側などまで行くと途切れてしまい、事業者名表示が地元の「Telcel」に変わってしまうものの、観光で半日程度の滞在であればアメリカ契約のAT&T通信でそのまま使うことができそうである。
とはいえせっかく来たのだからメキシコのプリペイドSIMカードもほしい。もちろん、街中のあちこちにあるコンビニエンスストア「OXXO」に最大手事業者TelcelのプリペイドSIMカードが売られている。このほか、Telcelのキャリアショップも繁華街周辺や大型ショッピングモール「Plaza Rio Tijuana」に店舗が入っている。
価格は150メキシコペソ(約1145円)で、50ペソ分の通話料入り。コンビニではペソ払いのみだが、モールのTelcelの店などでは米ドルでの支払いも可能だ。
ただ、どの店も英語がまったく通じなかったのにはまいった。「Prepaid SIM」程度の単語もだめで、どうやらここではSIMカードのことを「Chip」と呼ぶことを学んだ。確かにTelcelのプリペイドSIMパッケージには「Chip 5.0」と書かれている。「Telcel Chip」と言って150ペソを見せると理解してくれた……ようだ。
というわけでプリペイドSIMカードは購入できたが、そもそもどんな仕様かどう設定するか分からない。試しに手持ちのスマートフォンへ差してみたが、アンテナは立つが発信はできず。ひとまずまだ開通(アクティベート)されていない仕様のようだ。
開通手続きは、残高照会コマンドである「*333」へまずは発信。スペイン語のアナウンスだが、「2を押せば英語」とやらが聞こえたので2を押すと後のアナウンスが英語になった。ふう。いったん切ってから再度スマホで発信してみると今度は発信できた。どうやら無事開通されたようだ。
TelcelのAPN設定 | |
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APN | internet.itelcel.com |
ユーザー名 | webgprs |
パスワード | webgprs2002 |
データ通信はかなりたくさんのプランがあり、いずれもSMSコマンドで申請できる。希望プランのコード(Clave)をSMS本文へ記載し、電話番号5050宛に送ればよい。ちなみにこのSMS発信料金は有料。このプリペイドSIMでは3G通信が利用可能だ。APN設定は右記の通り。
実は、今回持ち込んだHuawei「E589」は、3Gでは900M/2100MHz帯のみに対応するルータ。Telcelの3Gは850MHz帯を使用する。滞在時このことに気が付かず、現地では遅い2G/GSMでしか利用できず……。せっかく買ったメキシコの3GプリペイドSIMでの通信を存分に楽しめなかったことを告白する。メキシコのプリペイドSIMは、改めて首都のメキシコシティを訪問する時にリベンジしたい。
山根康宏 :香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯/SIMカードコレクターとしても知られ、所有する海外端末数は1100台以上(2013年5月時点)。
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